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2012(Sun)

「聴き屋の芸術学部祭」市井豊著

読感/国内小説


「聴き屋の芸術学部祭」市井豊著/

生まれついての聴き屋体質の大学生・柏木君が遭遇した四つの難事件。芸術学部祭の最中に作動したスプリンクラーと黒焦げ死体の謎を軽快かつロジカルに描いた表題作をはじめ、結末が欠けた戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」、模型部唯一の女子部員渾身の大作を破壊した犯人を不特定多数から絞り込んでゆく「濡れ衣トワイライト」、そして深夜の温泉旅館で二人組の泥棒とともに“いったいここで何が起こったか”を推理する力作書き下ろし「泥棒たちの挽歌」の四編を収録。聴き屋の柏木君ほか、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生作家など、文芸サークル部第三部“ザ・フール”の愉快な面々が謎解きを繰り広げる快作。

↑本の内容紹介から。

「放課後探偵団」の「横槍ワイン」を読んでから楽しみにしていました。
(その「横槍ワイン」は今回収録されていない)
第一話「聴き屋の芸術学部祭」
第二話「からくりツィスカの余命」
第三話「濡れ衣トワイライト」
第四話「泥棒たちの挽歌」

――の四編収録。
人の話を聴くことに(愚痴であろうが何だろうが)抵抗を感じない、聴き上手(?)な大学生・柏木君が主人公のミステリです。
日常の謎系から、殺人事件までありますが、柏木君が割と飄々としているせいか、深刻さはないです。
うん、柏木君の一人称が(性格も)さらりとしていて、また周りのキャラも個性的で会話のテンポがよく、楽しくサクサク読めます。
(演劇やら美術やら文芸といった芸術学部に所属しているので、まあ、個性が強いというか。変人が多いというか)
既に文学賞を受賞している推理マニアの川瀬君は、第一話では女装して登場するし。
ネガティブ思考の先輩は、幽霊の如く柏木君の背中に隠れているし。
演劇の月子さんは人の話なんて聞かずに、自分ペースに巻き込むし。
梅ちゃんは腐女子で、妄想力が半端ないし、と。
いや、もう、楽しい。
お話は四編の短編のうち、舞台劇脚本の途切れた結末を推理する「からくりツィスカの余命」が一番好きだな。
後、第四話は何と言うか、梅ちゃんの腐女子パワーに誘導された気がしないでもないですが(苦笑)
期待どおり、楽しかったです。続編も予定されているとのことで、楽しみです!

聴き屋の芸術学部祭 (ミステリ・フロンティア)聴き屋の芸術学部祭 (ミステリ・フロンティア)
(2012/01/27)
市井 豊

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放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)
(2010/11/27)
相沢 沙呼、市井 豊 他

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