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2007(Sun)

「忘れな草」佐々木丸美著

読感/国内小説

「忘れな草」佐々木丸美著を読みました。
ブッキング社での復刻本の第二弾。孤児シリーズの二作目ですね。
↓もう詩的な文章が癖になりつつあります。

もし運命というものがあるならば、それが時間の堤によってせきとめられているならば、今こそ私の運命は満潮となり堤を切らんと渦巻いているに違いない。愛の水門がひと足さきに開かれ、私の将来の使者として訪れたのだ。
~中略~
青い空も広大な大地も、雪どけ水も春のそよ風も、私を生かしめる大自然のすべてが運命の揺りかごとして揺れた。内在的感動の目で見る自然造形美、それはほとんど衝撃に近い美しさだった。命と愛の源をそこに結びつけ敬虔に祈る初めての日だった。


ノスタルジアという美しい言葉が私を打った。空を愛し海を愛し雪を愛してきたのは、無意識の郷愁ではなかっただろうか。愛と孤独は兄弟であり、その母が広大な無限の闇ならば、この世の愛に人々が満たされないのは自然である。心の神秘はノスタルジアだ。私は今、大自然のあらゆるものにむかって心の扉を開放しよう。

「忘れな草」佐々木丸美著から抜粋


このような文章をどうやってひねり出すのだろうと、感心するばかりです。
お話の内容は、二人の孤児の少女が企業の継承権争いと策略に巻き込まれ翻弄されるという。
どちらが、本物の弥生であるかというところから、二人が愛した高杉青年が何者であるかという、気になる要素で話を引っ張っていきます。
「雪の断章」に登場した人物も顔を出したりして、単品作品だけとしてでなく続編としても楽しめました。
あの人の最後の決心や。まさか、かの人が御曹司だったとはビックリでした。
そして、前作の飛鳥さんの素性も明らかになったり、第三作へと続く伏線も気になります。
第三作「花嫁人形」第四作「風花の里」は今月刊行予定とか。
二月は出費が多くて、懐が痛いのですが、買いますよ!
(もう完全に虜)
東京創元社の方で出る「水に描かれた館」も購入決定です。
というか、復刻を支援されたファンの方々に感謝です。復刻されなかったら、多分、私はこの作家さんの存在を知らずに終ったと思う。
惜しむべくは、作家さんご自身がもうお亡くなりになっているということ。
ご冥福をお祈りします。

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