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2008(Wed)

「闇を見つめて」ジル・チャーチル著

読感/翻訳小説

読んだ本の感想です。

「闇を見つめて」ジル・チャーチル著

世界大恐慌で全財産を失ったロバートとリリーの兄妹がヴォールブルグに来てから間もなく一年。長引く不況が町に様々な影響を及ぼすなか、リリーは金持ちのふりを続けることに疑問を感じていた。そんなとき、ロバートは敷地内の氷貯蔵小屋で、ミイラ化した身元不明の死体を見つける。一方、リリーが参加している地元婦人会でも、メンバーの身内が殺される事件が起こり……。
《グレイス&フェイヴァー》シリーズ第3弾。

↑本の内容紹介から。

このシリーズ、事件と謎解き自体は正直に言って薄味です。割とわかりやすい。
だから、ミステリーと構えて読むのではなく、気軽に読んでほしい作品です。
このお話の魅力はとにかく、出てくるキャラたち。
リリーとロバートの兄妹キャラが読んでいて楽しいということもありますが、二人を取り囲む人たちもまた魅力的。とりたてて奇抜なキャラ造形ではなく、身近にいたら絶対に好きになるというような、気のいい人たち。
だから、最初は遺産を相続するために、半ば我慢するようにヴォールブルグに住んで、プライドから金持ちのふりをし続けていた二人も、その秘密を町の人たちと分かち合いたいと思うようになる。
そうやって町に馴染んでいく辺りが自然に感じるのは、周囲の人たちの存在に好意を抱かせる文章(人物描写)だからだと思います。

また、恐慌時代が舞台というのも、興味深いです。
アメリカの過去の歴史と言っても、何だか現在に通じるとこがあるような気がします。
「ボーナス行進」の部分を読んでるとき、ふと「末期高齢者医療制度」に反対しているご老人方のニュース映像が頭に浮かびました。
……本当に国は、弱者に優しくない。
未来も大事だと思うけど、今も同じぐらい大事なはず。今が続かなければ、未来もないだろう――と、色々考えさせられる部分もあったり。

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