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January February March April May June July August September October November December
2008(Fri)

「向日葵が咲かない夏」 道尾秀介著

読感/国内小説

読感です。

「向日葵が咲かない夏」 道尾秀介著


明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。慌てて学校に戻り、先生が警察と一緒に駆け付けてみると、なぜか死体は消えていた。「嘘じゃない。確かに見たんだ!」混乱する僕の前に、今度はS君の生まれ変わりと称するモノが現れ、訴えた。―僕は、殺されたんだ。半信半疑のまま、僕と妹・ミカはS君に言われるままに、真相を探る調査を開始した。

↑本の内容紹介から。

「シャドウ」という作品で、ミスリードが巧い方だなーと思いまして、機会があれば別の作品を読んでみたいと思っていたところ、この本が文庫になっていたので購入。
……ちょっと、読み手を選ぶお話だなと思います、はい。
最初に犯人のような存在を明かされ、それを追い詰めていくお話かと思いきや、幾つもの嘘に翻弄されつつ人間の内面を抉りながら、辿り着いたラストは一見清々しそうに見えて……。

ネタばれになるのかも知れないので、反転。
歪なまま放置された感が……。サスペンスホラー(?)というジャンルにしては、恐怖に突き落とされるという落とし方ではなく、毒を飲まされたような読後

読後はあまり良いとは言えませんが……。
(オススメするなら「シャドウ」を推します。内容は重いですが、ミスリードの巧さとラストに希望を感じさせるところが人に薦めても大丈夫と思える。この「向日葵~」は直接、自分の手で取るか否かを決めた方がいい)
違和感を感じさせつつも、その違和感を「生まれ変わり」という設定で、読む者を混乱に陥れ、だけど、最後にすべてに整合性をつけることで「ああ、そういうことだったのか」と納得させるのはさすがと言いますか。
また、悪意と呼べるものから発端したわけではない、そんなところから生じた狂気が……果てしなく物悲しく、人が抱える弱さと言うか、狡さが生み出す「闇」は色々と考えさせられました。

他の作品も、また読んでみたいです。

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫 み 40-1)向日葵の咲かない夏 (新潮文庫 み 40-1)
(2008/07/29)
道尾 秀介

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January February March April May June July August September October November December
2008(Mon)

「皆川博子作品精華 「幻妖」」 皆川博子著

読感/国内小説

読感です。

「皆川博子作品精華 「幻妖」」 皆川博子著

ミステリー・幻想小説・時代小説の各分野にわたって活躍する著者の、入手困難な作品を含むジャンル別傑作選集第2弾。幻妖幻想小説編には、書き下ろし作品ほか29編を収録。

↑本の内容紹介から。

ちまちま読み進めていた作品集。
幻想系のお話が集められています。内容紹介にあるように、入手困難な幾つかの作品目当てで、色々と探して(絶版で、普通に手に入らない)そうして、何故か二冊も持っているという……。
幾つか、他の短編集で読んだ作品も入っていましたが、初読で気に入ったのは「禱る指」「ゆびきり」「あの紫は」「丘の上の宴会」「カッサンドラ」「トリスタン」「流刑」「結ぶ」などなど。
皆川さんの作品は、何というか色彩鮮やかで、読んでいて視界をさまざまな色で染められるような感覚がします。美しい。
「カッサンドラ」「トリスタン」など、原典のあるお話も(実は、原典を知らなかった)読むことで、そちらへと興味を向けさせられます。
そして、他の本の解説などで話題になっていて、読んでみたかった「結ぶ」は……何というか、語る言葉が思いつかない!(……何故に、アルマジロ)
とにかく、どの話も導入部分からがっしりと掴まれ、妖しい世界に引きずり込まれます。
この本を手に入れられた幸運に、感謝!
(ああ、他の本も欲しい)

※今、アマゾンで見たら中古の↓本が一万円を超えている……(大汗)
言っておきますが、私はほぼ定価で買いました! 後、ブックオフで安く買えたんだ!(意外と穴場か知れないよ)

皆川博子作品精華「幻妖」―幻想小説編皆川博子作品精華「幻妖」―幻想小説編
(2001/11)
皆川 博子東 雅夫

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10

January February March April May June July August September October November December
2008(Wed)

「聖女の島」 皆川博子著

読感/国内小説

読感です。

「聖女の島」 皆川博子著

修道会により絶海の孤島に建てられた更生施設。盗みや恐喝を重ね、幼くして性の歓びを知る31人の少女たちが聖女のもとで暮らしていたが、3人が死亡し、ホームは炎に包まれ、悪魔の罠ともいうべき悲劇に見舞われる!28人になったはずの少女たちが何度数え直しても31人いる……!!甘美な謎に満ちた傑作幻想ミステリー。

↑本の内容紹介から。

皆川さんの作品は、現実なのか幻想なのかあやふやな感じで、どこか足元がおぼつかなくて。
どこへ連れて行かれるのか、いつ落とされるのか、不安でドキドキします。
そのドキドキが、ページをめくる快感なんですけど!(楽しみ方、間違ってる?)
今作もそんな不安でドキドキしながら、読み進めました!
元は炭鉱として栄えた島に建てられた更生施設。そこに派遣された修道女と、更生施設の園長の一人称語りで構成されるお話。
前半のどこか冷めた目で修道女が淡々と語る様子と、自己弁護が饒舌な園長が語る島の様子。少しずつ歪んでいっているようで……実は。
どこまでが現実なのか、どこからが妄想か、はたまた夢かという、境界線のあやふやさに惑わされます。
真実を知りたくてページをめくる手が止まらず、そして明かされた真実に……混沌へと突き落とされる。
もう、凄い……。
後、ネタばれになるのかも知れないので反転(園長の自己弁護姿勢が何というか、そういうことばかりに囚われているから、抜け出せないのよ――という、メッセージが込められているように思うのは、私の勘違いでしょうか? どちらにしても、言い訳より反省が大事だよなと読後にしみじみ思ったり。後、「終わらない」っていうのが……やっぱり、怖いなと

面白かったです!

(ただ関係ないんだけど……本の表紙が微妙だな、と思ったり)

聖女の島 (講談社ノベルス ミB- 4 綾辻・有栖川復刊セレクション)聖女の島 (講談社ノベルス ミB- 4 綾辻・有栖川復刊セレクション)
(2007/10)
皆川 博子

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05

January February March April May June July August September October November December
2008(Fri)

「人魚は空に還る」 三木笙子著

読感/国内小説

読感です。

「人魚は空に還る」 三木笙子著

「しずくは観覧車に乗りたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まり、最後の願いを口にした見世物小屋の人魚は、観覧車の客車から泡となって消えた。水神の怒りに触れて浅草は水中に沈んだのか。いや、地上という水底から人魚がその身を縛るもののない空へと還っていったのか――(表題作)。
心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きるふたりの青年の交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれるデビュー作品集。

●収録作品
「点灯人」
「真珠生成」
「人魚は空に還る」
「怪盗ロータス」

↑本の内容紹介から。

明治を舞台にした探偵物語。
「超絶美形の天才絵師」という有村礼が、探偵役かと思っていましたら、違った!
作中の文章では高飛車なワトソン――でした。
「心優しき雑誌記者」の里見高広が――腰の低いホームズ。
その辺の設定は面白いかなと思いましたが、謎解きは劇的に明かされるという感じではなく……微妙に地味だ。探偵役が主張しないからなんでしょうか?(汗)
この二人の関係も坂木司さんのひきこもり探偵シリーズの鳥井さんと坂木さんに似ている感じがする。
全体的な雰囲気は嫌いじゃないです。登場人物はいい人たちが多く、温かい。
むしろ、好きな方だけれど……。
良かったと言い切るには、うーん。
オススメと言うにも、……言葉に詰まるな。
悪くはないんですが、突出したものがないから、誰に対してお勧めしていいのか、わからないという感じ。
笑えるお話なら、笑える小説をお探しの人にお勧めですと言えるんですが、そういう明確なものがない。
温かいお話も優しいお話も、この本を推薦するより他の本を勧める。
どこをとっても、他の作品に比べて薄味といいますか……。
悪くないんですよ、本当に。表題作「人魚は空に還る」と「真珠生成」は好きです。
デビュー作と言うから、次回作に期待して名前を覚えておこうと思ってます。
雰囲気は好きな方だもの。
でも、ここがこのお話の魅力!と言い切る決定的なポイントが、わからない……。
明治という時代背景なら、もっと妖しく書いても良かったのでは?

人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア 47)人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア 47)
(2008/08)
三木 笙子

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