ブログランキング

28

January February March April May June July August September October November December
2008(Sun)

「踊るジョーカー」 北山猛邦著

読感/国内小説

読感です。

「踊るジョーカー」 北山猛邦著

推理作家の白瀬は、とっても気弱な友人・音野順が秘める謎解きの才能を見込んで仕事場の一角に探偵事務所を開いた。今日も白瀬は泣き言をいう音野をなだめつつ、お弁当のおにぎりを持った名探偵を事件現場へ連れてゆく。殺人現場に撒かれた大量のトランプと、凶器が貫くジョーカーが構成する驚愕の密室トリック(「踊るジョーカー」)、令嬢の婿取りゆきだるまコンテストで起きた、雪の豪邸の不可能殺人(「ゆきだるまが殺しにやってくる」)など5つの難事件を収録。

●収録作品
「踊るジョーカー」「時間泥棒」「見えないダイイングメッセージ」「毒入りバレンタイン・チョコ」
「ゆきだるまが殺しにやってくる」

↑本の内容紹介から。

出版社サイトで紹介されているのを見つけてから、気になっていた「お弁当のおにぎり」(……気にするところが間違っている)
きっと、音野くんは、お弁当にこだわりを持っているんだろうと思っていましたが……違った。
「踊る」ではサンドイッチだった!(だから、気にするところを間違っている)
「時間」ではおにぎりを用意していましたが、中身は全部「おかか」だった!(梅干しとか、明太子は?)
時間がない場合はコンビニに寄ってと、別段お弁当にこだわりがあるわけじゃなかったです。
うーん、そこにこだわりを見せれば、音野くんのキャラがいっそう濃く引き立つと思うんですが……。
(それでも、今までの北山さんの作品のキャラよりは、キャラ作りがされていると思います。他の作品はトリック重視で登場人物が淡白で存在感が薄い)
気弱で白瀬さんの背中に隠れているような、依頼に来た人がことごとく、白瀬さんの方を探偵と間違えるほど、探偵に見えない小動物的な音野くんが可愛いです。
でも、どっちかというと「名探偵」という存在に夢を見て、音野くんを名探偵として盛り上げようとしているミステリ作家の白瀬さんの方が私には可笑しかった。
今までの北山さん作品には見られないコミカル指向で、各話短編で、内容も重くないのでサクサク読めました。
そうしながら、北山さんらしくトリックもしっかり織り込んでいて、楽しめました。シリーズ化するなら、また読みたいです。

踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿
(2008/11)
北山 猛邦

商品詳細を見る

Edit

Page up▲

18

January February March April May June July August September October November December
2008(Thu)

「荊の城(上・下)」 サラ・ウォーターズ著

読感/翻訳小説

読感です。

「荊の城(上・下)」 サラ・ウォーターズ著

19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、故買屋の一家とともに暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師がある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その財産をそっくり奪い取ろうというのだ。スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。

スウが侍女として入ったのは、俗世間とは隔絶した辺鄙な地に建つ城館。そこに住むのは、スウが世話をする令嬢、モード。それに、彼女の伯父と使用人たち。訪ねてくる者と言えば、伯父の年老いた友人たちだけという屋敷で、同い年のスウとモードが親しくなっていくのは当然だった。たとえその背後で、冷酷な計画を進めていようとも。計画の行方は? 二人を待ち受ける運命とは?

↑上下巻、本の内容紹介から。

ネタバレに注意すれば、書きたいことの半分しか書けなかったけれど。

第一部はスウ、第二部はモード、第三部がスウの一人称で語られます。
お話は、陰鬱な雰囲気を漂わせるロンドンの下町と辺鄙な城、精神病院を舞台にしています。
ハッキリ言って、明るさは欠片にもありません(でも、読後はそんなに悪くない)
孤児のスウは育ての親サクスビー夫人に大事に育てられ、その育ての親のために詐欺師「紳士」が持ってきた話に乗ります(この養い親を慕うスウが後々、切ないんだ)
そして、侍女となって令嬢モードを騙すことになるんですが、孤独なモードを騙すという立場から、同情しては母性本能的な感情から、モードに惹かれていく。
モードも孤独であったところに、自分を認めて甲斐甲斐しく世話してくれるスウに惹かれていく。
だけど、騙す者と騙される者であるが故に、すれ違う。(スウは養い親を裏切れない)
視点を交互にして話が語られているので、実は裏で彼女はこんなことを考えていたとか、沈黙した意味とか、嘘をついたのはこういう想いがあってとか、読んでいる人間には明らかになるんですが、登場人物には当然わからない。
行き違う想いが、切なくて。「違うよ、そうじゃないよ――」と叫びたくなる。
(また、スウとモードの関係だけじゃなく、色々と切ない部分がある)
そうして、二転三転とどんでん返しが起こる。どうなるんだろうと、先が気になります。
前にも書きましたが、同性愛傾向にあります(レズ)
その辺りが苦手ではなく(私自身、BLなどは苦手傾向にありますが、この作品にはすんなりと感情移入できた)、切ない話、どんでん返しが好きな方には、一読の価値ありだと思う。

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)
(2004/04/22)
サラ・ウォーターズ

商品詳細を見る
荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)
(2004/04/22)
サラ・ウォーターズ

商品詳細を見る


Edit

Page up▲

15

January February March April May June July August September October November December
2008(Mon)

「太陽の坐る場所」 辻村深月著

読感/国内小説

読感。

「太陽の坐る場所」 辻村深月著

高校卒業から10年。クラス会に集まった男女の話題は、女優になったクラスメートの「キョウコ」。彼女を次のクラス会へ呼び出そうともくろむが、「キョウコ」と向かい合うことで思い出される、高校時代の「幼く、罪深かった」出来事―。よみがえる「教室の悪意」。28歳、大人になってしまった男女の想いを描き、深い共感を呼び起こす傑作ミステリー。辻村深月の新境地。

↑本の内容紹介から。

辻村さんの小説の面白さは、複雑な人間の心の在り方を心理描写で共感させるところと、(私にとって辻村さんの登場人物たちは本来なら、あまり共感できないタイプの主人公が多いんですが)
仕掛けから「あっ」と驚かされるところにもあると思います。
この作品も、読みながら、ちょっとした違和感を覚えつつ、その違和感に答えを見つける前に、やっぱり仕掛けに騙された!
「キョウコ」に関わったクラスメイト一人一人の、羨望からくる妬み、卑屈といった闇の部分をぐいぐいと抉るように描かれているので、読んでいる間はあまり気持ちがいいとは言えないかも知れません。
でも、読み終わった後は、俯くのではなく自然と顔を上げている。顔を上げて、空を仰ぎたくなる。
そんな読後の清々しさは、良かったです!

太陽の坐る場所太陽の坐る場所
(2008/12)
辻村 深月

商品詳細を見る

Edit

Page up▲

03

January February March April May June July August September October November December
2008(Wed)

「インディゴの夜 ホワイトクロウ」 加藤実秋著

読感/国内小説

では、読感です。

「インディゴの夜 ホワイトクロウ」 加藤実秋著

オープンから3年、ホストたちの要望から、店のリニューアルを図ることになったclub indigo。ある伝手で有名インテリアデザイナーによって生まれ変わることになる。仮店舗探しに奔走する晶を尻目に、ホストたちはプライベートで事件に巻き込まれることに。ジョン太は地元商店街での落書き騒ぎ、アレックスは所属するキックボクシングジムでの事件、犬マンはホームレス殺人事件。一方店の方でも店舗リニューアルにかかわる騒動が持ち上がって……。若者の“いま”をクールな筆致で描く、好評〈インディゴの夜シリーズ〉第3弾。
●収録作品
「神山グラフィティ」「ラスカル3」「シン・アイス」「ホワイトクロウ」

↑本の内容紹介から。

シリーズ第三弾です。
プロローグで晶さんと四十三万円こと、まりん(ワンコです)との対決にニヤリと笑うも、今回も基本は短編集。
そして、今まではホストクラブオーナーの晶さんの一人称だったのですが、今作はプロローグと表題作の「ホワイトクロウ」が晶さんの一人称で、他の三編は内容紹介にあるように、ジョン太、アレックス、犬マン(ホストたちの源氏名ですよ)それぞれが巻き込まれた事件を三人称で語っています。
あー、私は晶さんのホストたちとのジェネレーションギャップからくる、クールな突っ込みが好きなのに!
(残念)
キャラは相変わらず、個性的ですね。
なぎさママの迫力も、憂夜さんの謎な部分も(リンゴうさぎが癖ってっ!)
新キャラで面白かったのは「ラスカル3」に出てきたポンサックさんかな。
(生粋の日本人なのにバリバリのタイ人顔なので、出稼ぎにきたタイ人のキックボクサーという設定をジムの会長に押し付けられて、表向き片言の日本語を喋っているんですが、素に戻ったり日本語喋れないふりをするところとか、笑う笑う)
サクサクしたテンポで読み進められます。ある種、マンガ的というか。絵を想像するのが、この作品の楽しみ方の一つじゃないかなと思います。
DJ本気(ホストです)のタイスキを阻止しようと、街中を皆で疾走する姿を想像すると可笑しい。
ただ、やっぱり私的には前二作に比べると……物足りない感じが。
晶さんが好きなので。

とはいえ、このシリーズは軽快でテンポがいいお話が好きな方には、オススメです!

インディゴの夜 ホワイトクロウ (ミステリ・フロンティア)インディゴの夜 ホワイトクロウ (ミステリ・フロンティア)
(2008/11)
加藤 実秋

商品詳細を見る

Edit

Page up▲

Designed by mi104c.
Copyright © 2008 この瞳に映るもの, all rights reserved.
11 | 2008/12 | 01

sun

mon

tue

wed

thu

fri

sat

- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

Page up▲