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January February March April May June July August September October November December
2009(Mon)

「線」 古処誠二著

読感/国内小説


「線」 古処誠二著

過酷な自然、重い疲労、マラリアの蔓延――。第二次世界大戦時のニューギニアを舞台に、冷徹なまでのリアリズムで、戦場の人間ドラマを描いた短編連作集。

この一線、超えるのか、踏みとどまるか――。

↑本の内容紹介から。

「下士官」「糊塗」「生木で作った墓標」「病兵の宿」
「銃後からの手紙」「たてがみ」「蜘蛛の糸」
「豚の顔を見た日」「お守り」全九編。

作品自体は短編で、お話は登場人物たちがそれぞれに違います。
しかし、ニューギニアの兵站線上での兵隊たちのお話です。それが共通しています。
この方の作品は、戦争という極限状態で剥き出しにされた人間の狡さ、弱さ、傲慢さや健気さ、儚さ、切なさ、強さといったものをそのまま描こうとしているように思えます。
(戦争の善悪を声高に主張したりせず、淡々とその場に生きたであろう人たちを誠実に描こうとしていると思う)
雑誌の方で発表されたのは、本に収録された順番通りではないようですが、本に収録されている順に読むことをオススメします。(この並びは秀逸)
徐々にマラリアや糧食不足が深刻化し、戦況が不利になっていく様子がわかります。
一番印象に残ったのは「たてがみ」かな。
徴兵されたのは人間だけではなかったというところが、目から鱗でした。

線
(2009/08/26)
古処 誠二

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25

January February March April May June July August September October November December
2009(Tue)

「祝山」 加門七海著

読感/国内小説

「祝山」 加門七海著

ホラー作家・鹿角南のもとに、旧友からメールが届く。ある廃墟で「肝試し」をしてから、奇妙な事が続いているというのだ。ネタが拾えれば、と軽い思いで肝試しのメンバーに会った鹿角。それが彼女自身をも巻き込む戦慄の日々の始まりだった。一人は突然の死を迎え、他の者も狂気へと駆り立てられてゆく―。著者の実体験を下敷きにした究極のリアルホラー。

↑本の内容紹介から。

この作品は、怖いと思う人にはとことん怖いと思うけれど、怖くない人には怖くないお話だと思います。
私は怖くない派です。
だって、心霊スポットなんかには、行かないもん!(言い切った!)
怖がりの見たがりですけれど、危険なところには近づかない自制心は持ち合わせている(単に臆病と言ってしまえば、それまでですけど。でも、人間って本能が危険を感じるから、怖いと思うのではないかな)
というわけで、登場人物に共感することなく、もうどちらかと言うと、「自業自得だよ、あなたたたち」と冷淡な立場で読んだから、怖くなかったです。
別に、肝試しするなとは言わないです。(まあ、そういうところに安易に近づいて、何かあっても同情はしないけれど)
ただ、この作品に出てくる登場人物たちは、呪われて当たり前のことをしている。
勝手にものを持ち帰ったり、神社に唾を吐いたり……。
良識的な部分が欠落している人に、同情できない(実話が元だと言われてもね)
それとこの呪いようなものは、無関係な第三者を否応なく巻き込んでいくという感じではなかったので、理不尽さに恐怖するということもなかったんです。
主人公は巻き込まれている感じだけど、それも自分から首を突っ込んだ部分があるので……。
だから、自分の身にこの災いが降りかかったらと、想像して背筋が凍るということもなかった。
最後まで、傍観者という位置から動くことはなかったので、私には怖くなかったです。
でも、過去に心霊スポットなどに行ったことがある人とかは、一歩間違えていたら――とか、想像したら相当に怖い話になるのではないかな。
怖くはなかったけれど、小説として面白なかったかというと、そんなことはないです。
教訓というか、そういうものを考えられましたので。

怖さでいえば、この間読んだ実話怪談本の方が怖かったかな。

祝山 (光文社文庫)祝山 (光文社文庫)
(2007/09/06)
加門 七海

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24

January February March April May June July August September October November December
2009(Mon)

「鉛を呑まされた男」 ジャン=フランソワ パロ著

読感/翻訳小説


「鉛を呑まされた男」 ジャン=フランソワ パロ著

1761年パリ。ルイ15世の娘アデライード王女の側近であるリュイセック伯爵の館で、変死体が発見された。醜くしぼんだ老人のような遺体は、なんと伯爵の若き子息のものだった。現場は密室で、伯爵も息子は自殺したのだと主張するが、警視ニコラは殺人だと直感する。伯爵は何を隠そうとしているのか?持ち前の妄想力と正義感で捜査を始めたニコラは、事件の裏に、ある秘密組織の存在を嗅ぎつけ…。人気シリーズ第2弾。

↑本の内容紹介から。

「ブラン・マルトー通りの謎」の続巻。とはいえ、事件は一話完結なので、この話からも入れます。
前作から数年が立っているので、ニコラも成長した感じ。割と悩むことなく、捜査を進めていっています。サルティンから面倒ごとを丸投げされているのにね!
読んでいるこちらとしてもスムーズにお話に乗ることができました。

まあ、途中、「ちょっと待て! ニコラ」と思う場面もありましたが。
幾ら流されたとはいえ、尋問している相手と情事は……

奇妙な殺人事件の犯人は、割と直ぐにわかると思う(密室のトリックもそんなに奇抜じゃないので)
けれど、幾人もの思惑によって、王宮内の権力争いや国王暗殺の陰謀など、複雑に絡まり、ニコラも時折ピンチに陥ったり、と。
先が気になって、しょうがなかったです。
それと、このシリーズは描写が細かく、実際に18世紀のその場にいるような感じで、作品世界に思いっきりひたり、楽しい読書時間を過ごすことができました。
第三弾の刊行は決まっているので、今から楽しみ!
できれば、その後のシリーズも出して欲しいな。

鉛を呑まされた男 ニコラ警視の事件2 (ランダムハウス講談社文庫)鉛を呑まされた男 ニコラ警視の事件2 (ランダムハウス講談社文庫)
(2009/08/10)
ジャン=フランソワ パロ

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22

January February March April May June July August September October November December
2009(Sat)

「ペニーフット・ホテル受難の日」 ケイト・キングズバリー著

読感/翻訳小説

「ペニーフット・ホテル受難の日」 ケイト・キングズバリー著

ここはペニーフット・ホテル。海辺の田舎町にひっそりと建つ、上流階級に人気の快適な宿だ。そのホテルで宿泊客の婦人が墜落死した。事故、それとも?ホテルの評判を守ろうと、勝ち気で行動的な女主人セシリーは、冷静で忠実な支配人のバクスターと共に、宿泊客らに事情を聞いてまわるのだが…。優雅なホテルで起こる事件の数々と、紳士淑女の人間模様を描くシリーズ第一弾。

↑本の内容紹介から。

エドワード王朝時代のイギリスの田舎町のホテルを舞台にした、ドタバタミステリ。
今作では、私の直感が「怪しい」と思った人が、そのまんま犯人だったので、少し拍子抜けしてしまいましたが。
(コージーはそこまで複雑な謎ときはないから、割と直感で犯人がわかる)
ホテルの評判を守ろうと奔走する、亡くなった夫の跡を継いで、ホテルを切り盛りしようとする女主人セシリーと、ホテルの支配人でセシリーを見守る(亡くなった主人に頼まれ、それを律儀に守ろうとするため、若干過保護な)バクスター。
二人の関係が今後のシリーズ展開でどんな風に変わっていくのか、ちょっと楽しみです。
時代的に女性は、男性に守られるべきだと思っているバクスターが(社会的には出しゃばるなといった感じ←世上的な感覚です。バクスターとしては、セシリーには日常、穏やかに過ごして欲しいと思っているんだろう)
自立しようとするセシリーの行動に、ハラハラしたりやきもきしながら、振り回されるのがいい。


ペニーフット・ホテル受難の日 (創元推理文庫)ペニーフット・ホテル受難の日 (創元推理文庫)
(2009/05/05)
ケイト・キングズバリー

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2009(Tue)

「しをんのしおり」 三浦しをん著

読感/その他


「しをんのしおり」 三浦しをん著

「漫画の王国」に生れた小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、わきあがる妄想の楽園に遊ぶ…色恋だけじゃ、ものたりない!なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開―日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ!「読んで楽しく希望が持てる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。

↑本の内容紹介から。

妄想炸裂のエッセイ本です。
あー、何と言いますか……。

その妄想にはついていけません!(涙)

という、感じかな。

私も大概、妄想するたちですが、レベルが違うよ!
この方の妄想レベルに、私のレベルが追いつききれませんでした。
全部が全部ではなかったので、本全体としては嫌いじゃないですけれど。
置いてきぼりを食らった箇所が幾つかあったのが、残念。
多分、妄想レベルに自信がある人は(←何、それ)かなり共感できて、楽しいかもしれない。
普通の人も、楽しめる内容かもしれません。
(面白い人が面白いことを喋っていると、素直に笑えるかも)
ただ、私にはちょっとあわない部分もあって……まあ、私がBLが苦手だというところが、大きな要因だと思いますが。

ツボにはまれば、かなり楽しい読み物だと思います。

私はあとがきが一番、面白かったかな(←何か、色々と台無しな発言してる気がするんですが、妄想についていけなかっただけで、普通のことを面白おかしく書いている部分は楽しかった。別のエッセイにまた機会があれば、挑戦したいです)

しをんのしおり (新潮文庫)しをんのしおり (新潮文庫)
(2005/10)
三浦 しをん

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2009(Sun)

「何か文句があるかしら」 マーガレット・デュマス著

読感/翻訳小説

「何か文句があるかしら」 マーガレット・デュマス著

演劇修業で訪れたロンドンで電撃結婚したチャーリー。愛しい旦那様のジャックと、故郷サンフランシスコに帰還した彼女をホテルのスイートで出迎えたのは、身元不明の全裸死体だった。さらに親戚やみずからの運営する劇団をも災難が襲うにいたり、チャーリーは素人探偵として活動を始める。だが、旦那様にも何やら秘密があることを知って…。セレブな新婚夫婦の華麗なる?活躍。

↑本の内容紹介から。

大金持ちで劇団を所有するチャーリーが、演劇修行で訪れていたロンドンで、海軍からの除隊を待っていたジャックと出会い、六週間で結婚。
サンフランシスコに帰ってきた二人が泊まるホテルの一室で死体が発見されるという波乱の冒頭から、さらにチャーリーの過保護な叔父、ハリーの調査によるとジャックには経歴の裏に、謎があるよう。
そうしたところへハリーの娘シスが誘拐されて――と。
序盤はジャックの謎めいた部分に翻弄されました。
ジャックだけじゃなく、謎めいたキャラは他にも大勢。
料理人のゴードンやジャックの友人マイクとか。
よもや、まさかと、疑心暗鬼から、ハラハラドキドキ。
中盤を過ぎると、それぞれの立ち位置がわかってくるんですが、今度はチャーリーの劇団を中心にきな臭いにおいが。
終始、ハラハラさせられました。
チャーリーとジャックの熱々新婚カップルぶりに、若干目のやり場を困らせながら、(いや、書かれていないけどね)主人公二人だけではなく、その他大勢のキャラが魅力的で。
ゴードンも気になるけれど、ボディガードのフランクも終盤のあれに、思わずキュンとなるような(笑)
文字を目で追うのが楽しかったです。

何か文句があるかしら (創元推理文庫)何か文句があるかしら (創元推理文庫)
(2009/06/25)
マーガレット・デュマス

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tag: 翻訳小説 ミステリ コージー

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