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松原冬夜

Author:松原冬夜
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  • 2010
  • 04/04
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「古書の来歴」 ジェラルディン・ブルックス著


「古書の来歴」 ジェラルディン・ブルックス著

100年ものあいだ行方が知れなかった稀覯本「サラエボ・ハガダー」が発見された。連絡を受けた古書鑑定家にハンナは、すぐさまサラエボに向かった。ハガダーは、ユダヤ教の「過越しの祭り」で使われる、ヘブライ語で祈りや詩篇が書かれた書である。今回発見されたサラエボ・ハガダーは、実在する最古のハダガーとも言われており、500年前、中世スペインで作られたと伝えられていた。また、ハガダーとしてはめずらしく、美しく彩色された細密画が多数描かれていることでも知られていた。それが1894年に存在を確認されたのを最後に紛争で行方知れずになっていたのだ。鑑定を行なったハンナは、羊皮紙のあいだに蝶の羽の欠片が挟まっていることに気づく。それを皮切りに、ハガダーは封印してきた歴史をひも解きはじめ……。

↑本の内容紹介から。

サラエボ・ハガタ―という貴重な本の修復に携わったハンナが、本の間に挟まっていた蝶の羽、留め具の痕跡、ワインの染み、塩の結晶、白い毛の謎を追う。
ハンナの物語を軸に、過去の物語が交互に語られるという構成です。
本に挟まれていたモノたちが語る過去のドラマは、
一九四〇年のサラエボ「蝶の羽」
一八九四年のウィーン「翼と薔薇」
一六〇九年のヴェネチア「ワインの染み」
一四九二年のスペイン、タラナゴ「海水」
一四八〇年のセリビア「白い毛」と、
本がユダヤ人迫害や宗教の異端審問などといった焚書の危機に晒されながら生き延びてきた過程を遡っていて、それらは実に濃厚で、一つ一つのエピソードも読みごたえがありました。
実際にその時代を目にしているかのような細やかな描写と、色彩のイメージが溢れていた。
「蝶の羽」と「白い毛」の話が印象的!
「蝶の羽」では、イサクとイナの兄妹が凍りついた川に向かったところが、切なかった。
こちらの本もまた、装丁が美しい!

屋根窓の霜で曇るガラスの向こうで、徐々に明るさを増す空が深い青色(ウルトラマリン)に変わって、星が薄れていった。ウルトラとは‘何かを超えた向こう側’、マリンとは‘海の’という意味。海路で瑠璃が運ばれてきたことにちなんで、その色は名づけられたのだ。
(P508より)


色の名前にも物語があるのね。

古書の来歴古書の来歴
(2010/01/21)
ジェラルディン ブルックス

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  • 2010
  • 04/03
  • Sat

「光媒の花」 道尾秀介著



「光媒の花」 道尾秀介著

印章店を細々と営み、認知症の母と二人、静かな生活を送る中年男性。ようやく介護にも慣れたある日、幼い子供のように無邪気に絵を描いて遊んでいた母が、「決して知るはずのないもの」を描いていることに気付く……。三十年前、父が自殺したあの日、母は何を見たのだろうか?(隠れ鬼)/共働きの両親が帰ってくるまでの間、内緒で河原に出かけ、虫捕りをするのが楽しみの小学生の兄妹は、ある恐怖からホームレス殺害に手を染めてしまう。(虫送り)/20年前、淡い思いを通い合わせた同級生の少女は、悲しい嘘をつき続けていた。彼女を覆う非情な現実、救えなかった無力な自分に絶望し、「世界を閉じ込めて」生きるホームレスの男。(冬の蝶)など、6章からなる群像劇。大切な何かを必死に守るためにつく悲しい嘘、絶望の果てに見える光を優しく描き出す、感動作。

↑本の内容紹介から。

全六章からなる短編連作集です。
各話主人公が違います(前話に登場した人物が主人公になるといった感じで紡がれていく)
前半三作は、闇がまとわりついて沈んで行くかのように、重く苦しく切なかったけれど、息苦しさを覚え始めた後半に光が見えてきて、すごく良かったです。
細やかな心理描写もさることながら、絵になるなというような情景が描かれていて、花冠に表情を輝かせる由希ちゃんの笑顔が見えてくるようだった。
(私も思わず抱きしめたい衝動にかられた!)
第四章「春の蝶」と第五章「風媒花」が特に好きです。
「風媒花」では登場人物がちょっと騙されていたりするんですが、その欺かれ方が小気味いい感じで、清々しく。
前半の重さが苦しいのですが、最後まで読み続けて良かった。
これからも道尾さんの作品を追いかけて行きたいです!
(道尾さんの作品では、この本が一番好きかも知れない)
とにかく装丁も美しく、良い本でした!

光媒の花光媒の花
(2010/03/26)
道尾 秀介

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