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松原冬夜

Author:松原冬夜
「夜の夢」というサイトで小説などを書いています。
現在、ブライスさんに夢中。
写真は家のお人形さん

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  • 2010
  • 09/28
  • Tue

「月と蟹」 道尾秀介著

「月と蟹」 道尾秀介著/

小学生の慎一と春也は「ヤドカミ様」なる願い事遊びを考え出す。100円欲しい、いじめっ子をこらしめる――他愛ない儀式はいつしかより切実な願いへと変わり、子供たちのやり場のない「祈り」が周囲の大人に、そして彼ら自身に暗い刃を向ける……。注目度ナンバー1の著者による最新長篇小説。鎌倉の風や潮のにおいまで感じさせる瑞々しい筆致で描かれる、少年たちのひと夏が切なく胸に迫ります。

↑本の内容紹介から。

転校生であることから、クラスで疎外感を感じている慎一君と春也君は、ヤドカリを生贄として願いを叶える「ヤドカミ様」遊びを考えだします。
小さな願いごとが実現する裏には、(ネタバレ反転→二人が互いに対する友情があったわけですが
願い事は少しずつ自分たちを取り巻く環境(親の再婚話など)に向けられ、ままならない世界に取り残されたような孤独感や何かに縋りつきたい焦燥感とでも言えばいいのか。
子供とはいえ、子供であることに甘えられない分、大人になろうとする。
だけど、心がついていかない胸の内側で育っていく、妬みや絶望といった闇が重く。
そういった心理が伝わってくる描写の巧さに、読んでいるこちら側も苦しくなりました。
「大人になるのって、難しい」という言葉が印象に残ってます。
ただ、私は「光媒の花」で描かれた闇と光が好きすぎるので、こちらの作品は少しだけ後味が悪かったかな。

多分、このラストから成長した先に、光はあるのだと信じられるけれど……。
この終わりの時点では、見えないせいかな


情景描写、心理描写は本当に丁寧で美しいです。
文学よりの作品がお好きな方には、オススメです。

(道尾さんらしい、どんでん返しなどといったミステリ要素を求める人には、向かないかも)

月と蟹月と蟹
(2010/09)
道尾 秀介

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  • 2010
  • 09/27
  • Mon

「背表紙は歌う」 大崎梢著

「背表紙は歌う」 大崎梢著/

「とある地方の小さな書店が経営の危機にあるらしい」よくある悲しい噂のひとつだと思っていたが、書店営業仲間の女性がそのことを妙に気にしていて…。個性的な面々に囲まれつつ奮闘する井辻くんは、東に西に今日も大忙し!出版社の新人営業マンの活躍を描いた、本と書店を愛する全ての人に捧げるハートフル・ミステリ。出版社営業・井辻智紀の業務日誌シリーズ第二弾。

↑本の内容紹介から。

「ビターな挑戦者」
「新刊ナイト」
「背表紙は歌う」
「君とぼくの待機会」
「プローモーション・クイズ」――五編、収録。

本好きと言えど、なかなか覗けない出版業界の裏側を舞台に、ちょっとした謎で綴っていく、中堅出版社の営業・ひつじ君(もとい、井辻くん)の日常の謎系シリーズの第二弾です。
今回も取次や文芸賞、新刊の販売促進などの、一般人では時々、?と思うこと(新刊なのに、既に色々な推薦文がついているのは何故かとか)の裏側が垣間見えて、興味深く読めました。
「君とぼくの待機会」は文芸賞の話。モデルはやっぱり、芥川・直木賞辺りなんでしょうね。
ノミネートで一喜一憂する出版社や作家さんの姿は、受賞に対して「凄い」とか「へー」とか、そんな一言では終わらないドラマがあるのね(笑)
評価して貰うのは嬉しいけれど、受賞しなければ駄目な部分を突き付けられる。
そんな書き手の心情なども描かれていて、ああ、ちょっとわかると共感したり。
第五話、「プローモーション・クイズ」では、大崎さんのもう一つシリーズ、書店・成風堂シリーズとの絡みもあって良かったです。(勿論、そちらを読んでなくとも大丈夫)

本好きさんは、読も読も(笑)

↓お話のなかにあった謎々。作品のプロモーションをなぞって、載せてみる。
ヒントは載せないけど(お前ね)

青森生まれの木村チズコちゃんと、
広島生まれの浅野ミツハルくんが、
サッカーの試合を見に行きました。
沖縄生まれの高石ヨウマくんが、シュートを決めて勝ちました。
勝ったのはどのチームでしょう。 
(P217より)

背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)
(2010/09/11)
大崎 梢

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  • 2010
  • 09/26
  • Sun

「琉璃玉の耳輪」 津原泰水著(尾崎翠・原案)

「琉璃玉の耳輪」 津原泰水著(尾崎翠・原案)/

時は昭和三年―名探偵・唐草七郎の一番弟子にして閨秀の女探偵・岡田明子のもとへ舞いこんだ、摩訶不思議な依頼。「三姉妹を探して下さい。手掛かりは、三人とも左の耳に、一粒の琉璃玉が嵌った白金の耳輪をしています」阿片窟の女傑・女掏摸・生人形の少女・男装の麗人・旅芸人一座・変態性慾の男・老刑事・放蕩の貴公子…奇想天外、魑魅魍魎、百花繚乱、女探偵・岡田明子の事件簿。

↑本の内容紹介から。

昭和初期の時代に執筆活動していた女流作家・尾崎翠が映画の公募に出した原稿を元に、津原さんがお書きになった探偵小説です。
原案(「尾崎翠集成」の下巻に収録されている)には目を通していないので、どこまでが原案によるものなのかわかりませんが。
映画公募の原稿が元であったことから、娯楽映画的な雰囲気を意識されたのではないかなと感じました。
後、私は尾崎翠著作は「第七官界彷徨」しか知らないのですが、そちらで感じた独特の雰囲気は、こちらでも出ていたように思えます。
活劇ちっくでどこに転がるかわからない展開にドキドキします。(三姉妹を探す色々な人の思惑が交差し、出し抜いたつもりがまた攫われたりと)
小説的な語りで幻想的な世界へと引きずり込まれたり、(「冬」に描かれた夢の描写とか、津原さんの幻想小説っぽい印象があったのですが)大変面白かったです!
そうして、津原さんの筆によって描かれた登場人物たちは、脇役に至るまで存在感を放なっていました。
主人公の明子さんからして、自己催眠で男性人格を作り出したりと、登場人物の設定も奇抜。
また津原さんによるオリジナルキャラ・唐草探偵が何気に裏で暗躍しつつ、カッコ良かった。
他にも八重子さん、木助さんとか。
そうして娯楽を意識しながらも、小説の向こう側からは伝わってくる願いがありました。
舞台は昭和三年のお話ですが、今現在読む人間があの出来事を知っていることを思えば……うん。まさに。
(ネタバレを考慮するとあまり言えませんが)
この時代に、この作品が蘇る必然性はあったのだと感じました。

琉璃玉の耳輪琉璃玉の耳輪
(2010/09/10)
津原 泰水

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尾崎翠集成〈下〉 (ちくま文庫)尾崎翠集成〈下〉 (ちくま文庫)
(2002/12)
尾崎 翠

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  • 2010
  • 09/22
  • Wed

「愛おしい骨」キャロル・オコンネル著

「愛おしい骨」キャロル・オコンネル著/

十七歳の兄と十五歳の弟。ふたりは森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止まったかのように保たれた家。誰かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつずつ置いてゆく。何が起きているのか。次第に明らかになる、町の人々の秘められた顔。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。『クリスマスに少女は還る』の著者渾身の大作。

↑本の内容紹介から。

二十年ぶりに帰郷した主人公・オーレン(軍の犯罪捜査部に在籍していた。美形で一見控えめですが、知的でカッコ良い!そして女性にモテモテ)
そんな彼が目にしたのは頑なに変化を拒む家(父親)と、二十年に失踪した弟の骨が還ってきている事実。
――という不穏な出足から始まります。
オーレンの弟のジョシュアは、無邪気なカメラ好きの少年で、誰が弟を殺したのか?
骨が見つかったことで、失踪事件が殺人事件として動き出すのですが、証言者たちによって謎は明らかになるばかりか複雑に深まっていく――と。
お話がどこへ転がっていくのかわからないので、ついつい先が気になります。
(何しろ、オーレン自身が第一容疑者の嫌疑をかけられているのに、アリバイを語らないから、読んでいる側もドキドキしちゃう)
だけどお話は、終始緊迫感を強いられるようなわけではなく、時にはユーモアのある描写にくすりと笑ったり。
オーレンの幼馴染みとでも言いましょうか、イザベルとの関係が……ちょっと、笑う。
(イザベルはオーレンとのすれ違いざまに、向う脛キックを繰り出してきたり、互いに意識しあっているんだけど、無視しまくったりと。なに、このツンデレな人たち!みたいな。←かなりツボった)
個々の抱える秘密や不安が作り出したすれ違いが苦しかったり、切なかったりしました。
何と言うか、色々な愛の形を見せつけられた。
(親子愛を筆頭に友情というか……もう、切ない)
とにかく個性的な登場人物か多く登場するけれど、一番魅力的なのは家政婦のハンナさんかな。
(オーレン、イザベルの他にもスワンとかも好きですが)
後、事件の謎もそうだけれど、幼い恋がねじれた原因も大変気になった謎でした(笑)

この作家さんの著作「クリスマスに少女は還る」も大好きですが、こちらの「愛おしい骨」も大好きです。
人が人を想う、その多様な形の在り方など、一読の価値あり。
オススメです!

愛おしい骨 (創元推理文庫)愛おしい骨 (創元推理文庫)
(2010/09/11)
キャロル・オコンネル

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クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)
(1999/09)
キャロル オコンネル

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  • 2010
  • 09/21
  • Tue

「謎解きはディナーのあとで」 東川篤哉著

「謎解きはディナーのあとで」 東川篤哉著/

「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」令嬢刑事と毒舌執事が難事件に挑戦。ユーモアたっぷりの本格ミステリ。

↑本の内容紹介から。

「殺人現場では靴をお脱ぎください」
「殺しのワインはいかがでしょう」
「綺麗な薔薇には殺意がございます」
「花嫁は密室の中でございます」
「二股にはお気をつけください」
「死者からの伝言をどうぞ」――の、六編収録。

メイン三人のキャラが濃いです。
まず、複合企業の総帥令嬢・宝生麗子刑事。警察内部には、お嬢様っていうのは内緒。警部の下では普通に部下してます(心の中では、警部に対して色々と突っ込んでいる)
結構庶民的で、お嬢様というより勝気娘かな。ツンをイメージすると良いです。
そんな麗子さんの上司が、自動車会社風祭モータースの御曹司・風祭警部。典型的な坊ちゃまで、無能というか、わかりきったことをさも大発見のように語る人(笑)
そして宝生家に仕える執事・影山。
麗子さんと風祭警部が事件現場を捜査して、麗子さんが家に帰って影山さんにその話を聞かせて、執事が事件の謎を解くという安楽椅子探偵ものですが。

内容紹介にあるように、執事の影山さんがさりげなく無礼!

「失礼ながらお嬢様――この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」

口調は丁寧なのに、言ってること酷いな!(笑)
そうしてお嬢様がツンですから、

「クビよ、クビ! 絶対クビ! クビクビッ、クビクビクビクッ、ビクビクビクビクッ」
「まあまあ、そう興奮なさらないでくださいませ、お嬢様」
「これが興奮せずにいられるかっつーの!」


とまあ、上記のように二人の会話が楽しい。
刑事としては事件を解決したいので、屈辱に悶えながらもおねだりするわけで(笑)
事件に関係ないところでは、影山さんもお嬢様に媚びたりと。
やりとりが楽しく、笑いました。
ミステリとしても安定していて、面白かったです。

謎解きはディナーのあとで謎解きはディナーのあとで
(2010/09/02)
東川 篤哉

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  • 2010
  • 09/11
  • Sat

「ベーカリーは罪深い」 J・B・スタンリー著

「ベーカリーは罪深い」 J・B・スタンリー著/

とうとう体重125キロを超えた図書館長ジェイムズ。バツイチでデブ。そんな負け犬はもう嫌だ!思い切って、誘われたダイエット・クラブに入ってみることにした。その名も、“デブ・ファイブ”。ところが、敬愛する町一番のベーカリーで殺人事件が起こったものだから、みんなで犯人探しへ乗りだすことに。なんとも美味しそうな事件現場のケーキにクッキー、焼きたてパン。甘い誘惑にも負けず、みごと事件解決なるか!?コージーミステリ・シリーズ第1弾。

↑本の内容紹介から。

体重125キロの男性が主人公のコージーミステリ「ダイエット・クラブ」シリーズの第一弾。
若干、人見知りがちで気弱だけど心優しい本の虫、ジェイムズが主人公。
(体重は125キロですが、身長は180弱あり、痩せていたらハンサムらしいです(笑)表紙イラストでは大変可愛らしいけれど)
そんなジェイムズは大学で教授をしていたのですが、離婚、そして母親が亡くなり、独りになった父親の世話をするために田舎へ帰ってきます。(そして、図書館長になる)
そんな彼は気がつけば、体重125キロになっていて、図書館にダイエット・クラブのちらしを貼りに来たリンディに誘われて、ダイエット目的の料理クラブに入ることに。
このダイエット仲間のデブ・ファイブの面々が事件を追うのですが、作品のなかには美味しそうな食べ物が出てくる!(笑)
そしてデブ・ファイブの面々も誘惑に屈しちゃったり(つい食べては仲間に告白、慰め合って、またがんばる)
ダイエットが最終目的というわけではなく、その向こうに目指すものがあって(特にルーシーは、保安官代理になりたい)前向きにがんばる人たち(デブ・ファイブ以外にも、この話の中ではなかなか辛い目に遭うホイットニーを初め、図書館を充実させたい双子の兄弟など)が大勢出てきてます。
美味しそうな食べ物の描写だけではなく、ハロウィンパレードなどの様子は読んでいて、気持ちがウキウキしたり、ジェイムズが提案したことが良い方向に回転していくのが喜ばしかったり、読んでいるこちらの気持ちも豊かになる本でした。
あと、このお話の中には様々な親子関係や友情などが書かれてあって、ミステリやコメディ以外のところでも色々と考えさせられ、心に触れました。
大好き!

ベーカリーは罪深い ダイエット・クラブ1 (ランダムハウス講談社文庫 ス 5-1)ベーカリーは罪深い ダイエット・クラブ1 (ランダムハウス講談社文庫 ス 5-1)
(2009/06/10)
J B スタンリー

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  • 2010
  • 09/09
  • Thu

「ロードムービー」 辻村深月著


「ロードムービー」 辻村深月著/

まだ見ぬ道を、手探りで。ノベルス最新刊!どうして大人はかんたんに諦めるのか? 譲れない問題に直面した小学校五年生のトシは、友人ワタルと、子どもだけで町を出る決意をして……。
表題作「ロードムービー」他二編に加え、短編「トーキョー語り」と、特別書き下ろし「街灯」を収録。

↑本の内容紹介から。

単行本も読んでますが、ノベルスも。
今回収録の「トーキョー語り」
辻村さんの作品は、読み始めたときは共感できないキャラが読後には享受できてしまう。不思議。
(「トーキョー」では、一美さんタイプのキャラは苦手なんですが、最後の方はいい面も悪い面も含めて、人というのは成り立つのだろうと思ってみたり)
コンプレックスというか、妬みという感情の描き方が鋭いんだけど、最終的に柔らかく包み込まれる感じで良かったです。
「街灯」も、ほんわかと胸に明かりが灯るようで良かった。

辻村さんの作品は講談社だと、作品にリンクする部分があるんだけど。
「ロードームービー」のノベルス版に収録された「トーキョー語り」はリンクしてないよ、ね? ……多分。
一応、「こちら」の公式サイトで確認したけれど。

(他の話は、デビュー作「冷たい校舎の時は止まる」に関連した話なので、「冷たい~」を読了後に読むことをオススメします)
ロードムービー (講談社ノベルス ツI- 11)ロードムービー (講談社ノベルス ツI- 11)
(2010/09/07)
辻村 深月

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冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)
(2007/08/11)
辻村 深月

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冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)
(2007/08/11)
辻村 深月

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  • 2010
  • 09/06
  • Mon

「雨恋」松尾由美著

昨日、雷雨が激しかったので電源落としてから、本読み。
雨が降っていたからというわけじゃないんですが、下記の本を一気読み。
というわけで、読感です。

「雨恋」松尾由美著/

ある晩、マンションの居間で彼女は語りだした。「わたしは幽霊です。そういうことになるんだと思います」。OL・小田切千波は自殺したとされていた。だが、何者かに殺されたのだ、と訴えた。ぼくは彼女の代わりに、事件の真相を探ることにする。次々と判明する驚愕の事実。そしてぼくは、雨の日にしか会えない千波を、いつしか愛し始めていた。名手が描く、奇跡のラブ・ストーリー。

↑本の内容紹介から。

主人公・沼野渉さんが、叔母のロサンゼルス滞在中の留守を預かるために引っ越したマンションにいたのは、二匹の猫だけと思いきや……雨の日だけに現われる女性の幽霊・小田切千波さん。
彼女は自殺しようとしていたけれど、止めようと決心した矢先に、誰かに殺されたらしい。
姿の見えない彼女はそう渉さんに語りかけ、それがわからないからこの世に留まっているみたいだと。
というわけで、渉さんは千波さんの死の真相を探り始めます。
素人ながらルポライターなどと偽って、情報を集めてわかっていく事実。
最初は姿が見えなかった千波さんも納得していくごとに、少しずつ姿が見えてくるわけなんですが、まあ、それが、なんというか、足だけとか、下半身とか、下から徐々に。
首なしとか、想像すると結構、怖い気もするんですが……少しずつ存在感を増していく彼女を意識し出して、そして彼女も……という。
ミステリとしては伏線も張られていて、丁寧な感じです。
そして、恋愛部分はもう(相手が幽霊なわけですから!
しっとりと染みてくる雨のような小説でもありました。
あと、二匹の猫も可愛かった!

松尾由美さんの本は「ハートブレイク・レストラン」「人食い鬼モーリス」「スパイク」「雨恋」と四冊読んだけれど、ミステリ要素を含みながら、少し不思議な(SFというか、ファンタジーというか)感じを含んでいます。
ちょっと変わったミステリを読んでみたいときに、オススメです。

雨恋 (新潮文庫)雨恋 (新潮文庫)
(2007/08)
松尾 由美

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  • 2010
  • 09/04
  • Sat

「瑠璃の契り」 北森鴻著



「瑠璃の契り」 北森鴻著/

魑魅魍魎が住まう骨董業界を生き抜く孤高の美人旗師・冬狐堂こと宇佐見陶子。目利きの命である眼を患った彼女を食い物にしようと、同業者がわけありの品を持ち込む。それは、不思議と何度も返品されてくる和人形だった―「倣雛心中」。他、表題作を含め全四篇を収録した古美術ミステリーの人気シリーズ第二弾。

↑本の内容紹介から。

冬狐堂シリーズの短編集第二弾です。
(長編の方は、講談社文庫から「狐闇」「狐罠」の二冊でています)

何度も返品される人形(「倣雛心中」)
陶子さんの美大生時代、その才能に打ち負かされ画業を諦める原因となった女性、その彼女の遺作を集めた画集が二十年の時を経て復刻された謎(「苦い狐」)
ガラス切り子(「瑠璃の契り」)
陶子さんの昔の夫であるプロフェッサーDが人形の謎を追って旅に出、陶子さんもまたDの後を追い、生き人形の謎に迫る(「黒髪クピド」)
の四編が収録されています。
うち二編が人形を取り扱ったもので、人形という題材が好きな私は大変興味深く読めました。
人形から陶磁器などといった蘊蓄も広がりをみせ、知識欲が刺激されるとともに、目の病を患い、脆く崩れそうながらも、それを乗り越える陶子さんが相変わらず、カッコよいです。
脆さと逞しさという相反するものを内側に秘め、人情深い面もある陶子さんが本当に魅力的です。
あー、もっと陶子さんのお話を読みたかったな。
これで冬狐堂シリーズ最後だというのが惜しいです。
(作家様がお亡くなりになられたのが、切なくてしょうがありません)

瑠璃の契り―旗師・冬狐堂 (文春文庫)瑠璃の契り―旗師・冬狐堂 (文春文庫)
(2008/01/10)
北森 鴻

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