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January February March April May June July August September October November December
2010(Tue)

「暗殺のハムレット (ファージングⅡ) 」 ジョー・ウォルトン著

読感/翻訳小説



「暗殺のハムレット (ファージングⅡ) 」 ジョー・ウォルトン著/

ドイツと講和条約を締結して和平を得たイギリス。政府が強大な権限を得たことによって、国民生活は徐々に圧迫されつつあった。そんな折、ロンドン郊外の女優宅で爆発事件が発生する。この事件は、ひそかに進行する一大計画の一端であった。次第に事件に巻き込まれていく女優ヴァイオラと刑事カーマイケル。ふたりの切ない行路の行方は―。壮大なる歴史改変小説、堂々の第二幕。

↑本の内容紹介から。

ファージング三部作の第二弾です。
前作「英雄たちの朝」から数ヵ月後。
語り手の一人は貴族の娘でしたが、家を出て女優となったヴァイオラ(三十前半)。彼女の手記という形での一人称。
もう一人は前作同様、カーマイケル警部補です。こちらは三人称。
ヴァイオラの手記は彼女が捕まった状態から、事の始まりを追って語っていきます。
男女逆転の演劇が流行しているなか、「ハムレット」を演じることになったヴァイオラ。
彼女が立つその舞台には、ドイツのヒトラー総統と、「英雄たちの朝」でイギリスの首相となったノーマンビーが観劇するということ。
その矢先に、母親役をやるはずだった女優が爆弾によって死亡します。
その事件を捜査することになったカーマイケル警部補です。
そしてヴァイオラは、ヒトラー暗殺計画に否応なく巻き込まれて、片棒を担ぐことに。
計画は実行されるのか、否か。
警部補がそれを阻止できるか、阻止するのか。
と、今回はサスペンス風に味付けがされてあって、最後までハラハラドキドキしました。
細かいところで、登場人物が前作の登場人物と関連があったり、改変された世界も前作から続いているものなので、読む場合は順番に読むことをオススメします。

(ネタバレ反転→しかし、カーマイケル警部補は暗殺計画を阻止すればどうなるのか、考えていなかったというのは驚愕でした。てっきり、その事実を前に、阻止するか、否かという葛藤がこのお話のメインだと思っていたので……

何にしても、面白かったです。

暗殺のハムレット (ファージング?) (創元推理文庫)暗殺のハムレット (ファージング?) (創元推理文庫)
(2010/07/27)
ジョー・ウォルトン

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英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)
(2010/06/10)
ジョー・ウォルトン

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January February March April May June July August September October November December
2010(Mon)

「朝顔はまだ咲かない (小夏と秋の絵日記)」 柴田よしき著

読感/国内小説



「朝顔はまだ咲かない (小夏と秋の絵日記)」 柴田よしき著/

あたし、鏡田小夏、19歳。母と二人で暮らすマンションの一室が、たったひとつのあたしの城。高校時代のいじめから“ひきこもり”となったあたしを訪ねてくるのは、親友の宮前秋だけ。いつも、恋の話や自分がであった不思議な出来事の話をしてくれる。健気で一途な小夏、イマドキだけど天真爛漫な秋、大人未満の少女二人が織りなす、愛すべきストーリー。感動の青春ミステリ連作集。解説=早見裕司

↑本の内容紹介から。

「ひまわりの誘惑」
「黒い傘、白い傘」
「さくら、さくら」
「朝顔はまだ咲かない」
「見えない人」
「窓を閉めて」
「新学期――エピローグ――」

ひきこもりになってしまった少女が主人公の、日常の謎系青春ミステリです。
お話は主人公・小夏さんの一人称で語られます。
割とミステリの語り手というのは、探偵役の助手という立場が多いんだけど、このお話では小夏さんが秋さんの話の中などに謎を見つけ、答えを出すという、主人公=探偵役というちょっと珍しい感じかな(私があまり知らないだけかもしれないですが)
 
 ~前略~ あたしはちゃんと、外に出ないといけない理由を知っているのかもしれない。自分以外のひきこもりの人たちが外に出ないといけない理由はわかっているのだ。いつまでも親に迷惑をかけてはいけません。~中略~
 でも、なぜ、あたしが、外に出ないといけないのか、それがわからない。(P18)


と、夜のお店を営業しているママに代わって主婦業をこなすことによって、自分に言い訳を与えてしまった小夏さん。マンションの一室から一歩も出ないまま数年、ママと時々遊びに来る秋さんだけが、小夏さんの世界だった。
そうした中、秋さんの話の中やマンションから見える景色の中に謎を見つけて――と。
謎は日常の中でのちょっとしたことなので、人が死んだりとかはないです。
その手のものが苦手な人でも安心して読めます。
まあ、ミステリでもあるけれど、少女の成長ものとして接した方がいいかもしれません。
ここで描かれる小夏さん秋さんの女の子は、素に近いというか。
気心が知れた相手の間で女の子同士が会話するようなお喋りやメールのやり取りが楽しいです。
ただ、ワイ談が(周りには誰もいない友達二人だけの間ですけどね)人によっては下品と感じるかもしれない……私も下ネタは苦手なので、ちょっと、どうかな?と感じる部分もなきにしもあらずでしたが。
とはいえ、それはほんの一部なので。

マンションの一室で完成されていた小夏さんの世界だったけれど。
ママの恋愛、自分の恋愛と、色々なことがあって変化していく周りに置いて行かれないように、追いつけるようにと、小夏さんが頑張る姿が爽やかさが、良かったです。

朝顔はまだ咲かない (小夏と秋の絵日記) (創元推理文庫)朝顔はまだ咲かない (小夏と秋の絵日記) (創元推理文庫)
(2010/09/29)
柴田 よしき

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20

January February March April May June July August September October November December
2010(Wed)

「英雄たちの朝 (ファージングI)」ジョー・ウォルトン著

読感/翻訳小説



1949年、副総統ルドルフ・ヘスの飛来を契機に、ナチスと手を結ぶ道を選んだイギリス。和平へとこの国を導いた政治派閥「ファージング・セット」は、国家権力の中枢にあった。派閥の中心人物の邸宅でパーティーが催された翌朝、下院議員の変死体が発見される。捜査にのり出したスコットランドヤードのカーマイケル警部補だが―。傑作歴史改変エンターテインメント三部作、開幕。

↑本の内容紹介から。

「ファージング」三部作の第一弾です。
ナチスと講和を結んだイギリスを舞台にした歴史改変ミステリということで、難しいかなと思っていたら、中身は犯人探しのミステリでした。(勿論、後からこの講和が、話の方向性に関わってきますが)
お話は二人を中心に語られて行きます。
一人は貴族の娘でありながら、ユダヤ人デイヴィッドと結婚したルーシー。彼女の一人称は手記という形で。
もう一人は事件を捜査するカーマイケル警部補。こちらは三人称で(ちなみに三部作を通して登場するようです)
この二人の視点が交互になって、お話は綴られています。
で、ナチスと講和を結んだイギリスは戦争が終わり(大陸では戦争は続いている)平和ですが、ユダヤ人への差別意識が根付いています(迫害はされていないけれど)
そんな中でユダヤ人と結婚したルーシーは、勿論、その結婚を反対されていたわけですが、母親から招待されて実家のパーティーにデイヴィッドと共に出席した翌日の朝、講和の立役者であった議員の一人が死体で発見された。
その死体にはユダヤ人の犯行をほのめかすような細工がされていて、デイヴィッドに疑惑の目が向けられる――と。
前半は、犯人探しをメインにしたミステリといっていいです。
難しいと構えることなく、するする読めます。
政治的なものか、人間関係のもつれか(不倫などが絡んで、なかなか犯人を絞れない)
そうする中、ルーシーと彼女の父が狙撃される。犯人はボルシェヴィキの党員らしい。
議員殺害と関係があるのか、いなか。
そうして後半、政権が交代したところから、ファシズムが色濃くなって、それに呑みこまれていく。
(これ以上は、ネタバレしそうなので口を噤みますが)
この改変されたイギリスの未来が大変、気になってきます。
(一応、事件の真相は答えが出されているけれど、続きが気になるよ!)

ミステリ好きな人、歴史が好きな人(実際の歴史を踏まえて、違う歴史を語っているので面白く読めると思います)
後、イギリスの貴族社会に興味ある人に、オススメです!

ただ(ちょっと、同性愛者が多いです。まあ、性愛描写などはないので、安心して読める範囲かと)でもって、その設定も一部、今後へと繋がる鍵でもある。

英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)
(2010/06/10)
ジョー・ウォルトン

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January February March April May June July August September October November December
2010(Tue)

「太陽が死んだ夜」 月原渉著

読感/国内小説

「太陽が死んだ夜」 月原渉著/

第二次大戦中、ニュージーランドの捕虜収容所で、日本兵が謎の死を遂げた。数ヶ月後、収容所とは別の島にある全寮制女子校の教会堂で、少女の惨殺死体が発見された。そして四十一年後、同じ女子校の教会堂で美しい少女たちを襲った連続殺人―三つの事件を結ぶものは何か?ひとりの少女の祖母が遺したものそこに記されていた謎の言葉は何を語るのか…。第20回鮎川哲也賞受賞作。

↑本の内容紹介から。

プロローグは、第二次大戦中、ニュージーランドの捕虜収容所で起こった密室殺人事件。
そして四十一年後、このお話の語り手であるジュリアが女学校に編入するところから始まります。
ジュリアが持っていた祖母の手記には、その女学校で起こった少女の惨殺事件が記されていた。
親友のバーニィと共に手記の内容を調べ始めたところ、四十一年前に事件が起こったときと同じ状況に(一種の慣例で、代表数名が教会堂にお籠りするというもの)、そしてまた殺人事件が――と。
お話はプロローグと一部を除いて、ジュリアの一人称視点と祖母の手記で途中まで交互に語られます。
過去と現在の事件の謎が時を経て、明かされるという構成は好みでした。
教会堂での事件は女の子とシスターだけの中で、事件が起こり、女の子たちが解決します。
閉鎖されたなかで、一人一人犠牲になっていく緊迫感は、ハラハラしました。
でも、もう少し心理描写などもっと踏み込ん欲しかったかな。
ジュリアの一人称に限定されていたら、ジュリアが知ること、推測する範囲でしか読み手としても知りえないのだから、深く踏み込むというのは欲張り過ぎですが。
このお話では、一部でその形式を外れているから、だったら、犯人の心理とかもうちょっと書いて欲しかったと正直、思います。
色々あったと思うんだけど、殺人を犯すほどの狂気(というと、ちょっと違う気がするけれど)が理解できるかと言うと、説得力が薄い感じがする……。
謎解きとトリックがメインのミステリと言ってしまえば、そうなのかも知れないけれど。
戦争の悲哀などといった人間ドラマ的なものも持ち込んでいるので、その辺り、もう少し味付けを濃くして欲しかったです(好みの問題でしょうが)


新人さんなので、物足りなかった部分は次回作などで、厚みを増すんではないかなと期待してます。

太陽が死んだ夜太陽が死んだ夜
(2010/10/09)
月原 渉

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January February March April May June July August September October November December
2010(Mon)

「料理教室の探偵たち」J・B・スタンリー著

読感/翻訳小説

「料理教室の探偵たち」J・B・スタンリー著/

ダイエットの息抜きになればと、料理教室へ通いはじめた“デブ・ファイブ”のメンバー。美味しいメキシコ料理の数々に、ご機嫌で舌鼓をうっていたのもつかの間。メンバーの一人、ルーシーの心変わりで仲良し五人組の固い結束にひびが…。そんななか、料理教室の生徒が洞窟で殺される事件が起こり、教室は捜査会議の場へと様変わり。はたして“デブ・ファイブ”は解散の危機を乗り越え、無事に事件を解決できるのか。

↑本の内容紹介から。

ダイエット・クラブシリーズの第三弾です。
第二弾「アイスクリームの受難」ではリバウンドしていたデブ・ファイブの面々ですが、運動の大切さをしり、今作では皆、順当に痩せていっています(がんばり屋さん)
まあ、それでも食事制限は辛いもので、週に一回、料理教室で美味しいメキシコ料理を楽しもうということに。
でも、保安官助手の試験を控えているルーシーは、ここで油断はしたくない。
そのせいで、仲間たちとの間にひびが入るなか、新聞記者マーフィーの親友が殺される事件が。
ルーシーの代わりにマーフィーが入って、事件の捜査を始めます。
同時に、ジェイムズとルーシーの関係にも暗雲が漂って……と、恋愛面では予想外の展開が!
(いや、まさか。そうなるとは……ネタバレを考慮してこれ以上は語りませんが)
ミステリ部分以外でも、相変わらず読ませます。
美味しそうな料理の描写や町の人たちのエピソード(今回は宝くじの話とか)が温かくて、心地良かったです。
それとジェイムズのパパのシリーズを通しての変化も、いいです。
時々、躓きながらも、それでも前向きに進んで行く人たちが、本当に読んでいて気持ちよく、続刊が楽しみです。
今回は作中に出てきたメキシコ料理のレシピも掲載されています。
料理好きな人にもオススメです!

料理教室の探偵たち ダイエット・クラブ3 (RHブックス・プラス)料理教室の探偵たち ダイエット・クラブ3 (RHブックス・プラス)
(2010/08/10)
J B スタンリー

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January February March April May June July August September October November December
2010(Sun)

「アイスクリームの受難」 J・B・スタンリー著

読感/翻訳小説



「アイスクリームの受難」 J・B・スタンリー著/

町にアイスクリーム店がオープン。長蛇の列ができ、カラフルなアイスやサンデーを手にした笑顔の客であふれていた。ところが目と鼻の先にダイエット教室がオープンしたことから、商売敵同士、熱い火花をちらすことに。ジェイムズも明日から始まる過酷なダイエットを前に最後のアイスを堪能していた。そんな矢先、アイスクリーム店が火事で全焼!火災原因に疑念を抱いたジェイムズは仲間と真相を探ることに。ダイエットと美食を応援するシリーズ第2弾。

↑本の内容紹介から。

ダイエット・クラブシリーズの第二弾です。
第一弾で順当に体重を減らしていたジェイムズたちでしたが、まあダイエットにつきものの、リバウンドでまた太り始めたメンバーたち(苦笑)
ここは外部の力を借りてと、町に新しくできたダイエット教室に入ることに。
そんなダイエット教室と同じ頃にオープンしたアイスクリーム屋は、ダイエット教室や町の美観を気にする人たちから目の敵にされ(でも、アイスクリーム屋の店主ウィリーは楽観的で前向きというか、凄くいい人)、そうして原因不明の火事で全焼。
ジェイムズたちは捜査することに。
と、ミステリ部分にも興味が惹かれるところですが、このシリーズの好きなところは、やっぱり町の人たちが絡んだエピソードだと思います。
今回は、図書館の資金集めのイベントが良かった。
いや、もう。まさか、豚レースで目頭が熱くなるとは思わなかったよ!(笑)
そうして、恋愛面では前巻でちょっといい雰囲気になっていたジェイムズとルーシーですが、バツイチ経験のジェイムズとしてはそれがトラウマになっていてなかなか積極的になれない所に、新聞記者のマフィーがアプローチしてきたりして、ルーシーが焼餅を妬いたりしてと色々。
(恋愛方面がどう転がるかも楽しみどころ。うん、だって三巻では――)
コージーなので、本格的なミステリをお求めの方にはぬるいかもしれませんが、実に楽しいシリーズですので、それこそお茶のお供にでも。

アイスクリームの受難 (ダイエット・クラブ2) (ランダムハウス講談社文庫)アイスクリームの受難 (ダイエット・クラブ2) (ランダムハウス講談社文庫)
(2010/02/10)
J B スタンリー

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January February March April May June July August September October November December
2010(Thu)

「こめぐら」 倉知淳著

読感/国内小説

「こめぐら」 倉知淳著/

密やかなオフ会で発生した謎。男たちが真剣に探し求めるのは、とんでもないものの鍵だった!?キツネさん殺害事件の容疑者は当然ながら(?)どうぶつばかり。“非本格推理童話”の結末は?1994年の本格的作家デビュー以来、コミカルで上質なミステリの執筆に取り組んでいる著者が、16年のあいだに発表したノンシリーズ作品を集成。ボーナス・トラックとして、猫丸先輩探偵譚を一編収録。

↑本の内容紹介から。

コミカル系ミステリの短編集です。

「Aカップの男たち」
「「真犯人を探せ(仮題)」」
「さむらい探偵血風録 風雲立志編」
「偏在」
「どうぶつの森殺人(獣?)事件」
「毒と饗宴の殺人」

――六編が収録されています。

いやー、笑った笑った。
何というか、お馬鹿小説ですので、真面目な推理小説をお求めの方はご用心。
(でも、一応犯人当てなどありますが)
お馬鹿さん大好きという方には、楽しいです。
私はお馬鹿さん大好きだから、楽しめたけどね!
(うちのサイトの小説をアレとか読んだことがある方は、納得されると思いますが)
寛容な心で読める方だけ、オススメします。
一番ツボったのが「Aカップの男たち」です。

(色々と考慮して、一部反転でお送りします)
とあるオフ会に集った男たちが愛用しているのは「ブラジャー」!
彼らは別に「オカマ」さんではなく、それをつけた装着感が好きで、好きで、大好きらしい。
で、集まった先で皆が話す内容がもう、あのメーカーがいいとか、デザインはどれとか。
ガールズトークかっ?というような、内容。
そしてこのお話の視点・探偵役の東堂さんは、とある有名劇画の暗殺者によく似た顔立ちだという――その人が「半裸でブラジャーをつけている」姿を想像するだけで、もうお腹がよじれ、呼吸困難。
そうして、メンバーの一人が「鉄のブラジャー」なるものを持ってきて、それを見せたときの、面々の反応が熱いっ!
もう、女子だってあんなに熱く「ブラジャー」について語れんだろうというくらい、熱いです。

それを凄く真面目な文章で書かれていて、息が……。

「Aカップの男たち」のお馬鹿さんたちが愛しいです(マテ)

「さむらい探偵血風録 風雲立志編」は、とある時代劇の劇中の謎を見ている主人公の視点で追いかけるんですが。B級時代劇の主役の演技が臭く、それを突っ込む語りがまた笑う。
真相が、まあアレなんですが、それもお馬鹿小説ということで。
後、あとがきで作家様が作品に語っておられるんですが、それもまた可笑しく。
色々と楽しかったです。

一部の物好きさんには、オススメです(オイ)

こめぐら (倉知淳作品集)こめぐら (倉知淳作品集)
(2010/09/29)
倉知 淳

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January February March April May June July August September October November December
2010(Tue)

「あなたに贈る×(キス)」 近藤史恵著

読感/国内小説



「あなたに贈る×(キス)」 近藤史恵著/

感染から数週間で確実に死に至る、その驚異的なウィルスの感染ルートはただひとつ、唇を合わせること。昔は愛情を示すとされてその行為は禁じられ、封印されたはずだった………。
全寮制の学園リセ・アルビュスである日、一人の女生徒が亡くなった。人気者の彼女の死は学園に衝撃を与えた。さらに、死因が禁断の病によるものだとの噂が。誰が彼女を死に至らせたのか? 不安と疑いが増殖する中、学園内での犯人探しが始まった。甘やかで残酷な少女たちの世界を鮮烈に描く。

↑本の内容紹介から。

唇と唇を合わせたキスで死に至るソムノスフォビア(唾液感染性睡眠恐怖症)という病が蔓延する近未来を舞台にした青春ミステリです。
この病気、キャリア(ウイルス保持者)は感染しないけれど、それ以外の人が感染すれば、致死率100パーセントというもの。
それ故に、唇と唇を合わせるキス(この時代では「キス」はほっぺやおでこにするもので、口づけを「キス」と呼ぶことを十代は知らない)は法律で禁止され、小説や映像からも削除。
純潔が尊ばれ、ソムノスフォビアに感染するということは、いやらしいと認識されています。
そんな中で、主人公・美詩(みうた)さんの憧れていた先輩(女子)が亡くなる。
その死因がソムノスフォビアだと噂され、誰が彼女に「キス」をしたか。
キャリアは誰? キスはどういった意図によって、彼女にされたのか(愛情表現だったのか、それとも意図的に殺すために?)という、謎を追う。
同性愛というとちょっと違うと思いますが、いわゆるお姉さま感情によって憧れていた先輩の死に、ショックを受けます。
淫乱というイメージが付きまとうキスを自らしたわけがない、誰かに殺されたのだと謎を追っていくことで、知っていたようで実は先輩のことをよく知っていなかったこと。
それと同時に、色々と知っていくことで「キス」が嫌悪の対象としてではなく、崇高な儀式のように感じていくようになる辺りは、大人から与えられる知識だけが全てではないと語っているようでした。
そうして、先輩がキスした相手とは――。
十代の繊細でどこか大胆な(破壊衝動とでも言いましょうか)心理描写が、丁寧に描かれていたと思います。

ラストで好みは分かれると思うけれど。
ない方が良かったかなと思うけれど、この毒がある意味、作品として強く印象付けている気もします

生きるということ、大人になることは、綺麗なままではいられない。
ちょっと苦さが残りますが、設定など面白かったです!


あなたに贈るキス (ミステリーYA!)あなたに贈るキス (ミステリーYA!)
(2010/07/28)
近藤史恵

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06

January February March April May June July August September October November December
2010(Wed)

「アリアドネの弾丸」 海堂尊著

読感/国内小説

「アリアドネの弾丸」 海堂尊著/

東城大学病院で再び殺人事件が!「この事件はすべてが不自然すぎる。絶対にどこかがおかしいんだ」東城大学病院に導入された新型MRIコロンブスエッグを中心に起こる事件の数々。さらには、病院長に収賄と殺人の容疑がかけられてしまう!殺人現場に残されていた弾丸には、巧妙な罠が張り巡らされていた…。不定愁訴外来の担当医師・田口公平が、駆けつけた厚生労働省のはぐれ技官・白鳥圭輔とともに完全無欠のトリックに挑む。

↑本の内容紹介から。

「チーム・バチスタの栄光」シリーズの最新刊です。
(ちなみに私は、「チーム・バチスタ~」と「ジェネラル・ルージュの凱旋」しか読んでいません)
というわけで、作家さんの作品全てに通じているわけじゃないので、登場人物の関係図が見えなくて時々「?」を浮かべてしまいました。
バチスタシリーズ以外でも「螺鈿迷宮」は押さえておいた方が良かったみたいです……桜宮関係。
お話は、東城大学病院主体で新たに建設される死後画像診断センター(エーアイセンター)のセンター長に、語り手である田口先生が任命されたところから始まります。
まあ、いつもの高階院長の策略による面倒事の丸投げ人事(笑)
というわけで、エーアイセンター創立に関係して、新型MRIコロンブスエッグが導入され、技術者の不審な死が冒頭で提示されるものの、事件自体は遅め。
エーアイやMRIなどと言った説明がちょっと多いですが、専門委ではない田口先生という存在を通すことで、割とわかりやすく理解できると思います。
この作家様は、小説を通して医療現場の実情などを訴える形をとっているので、この辺りくどく感じてしまうかもしれませんが、司法対医療の対決構図とか、興味深く読めました。
で、今回は割と早くから(事件が起こる前から)白鳥さんが登場。
いや、もう、言動がやや迷惑な人ですが、本当に仕事面に関しては有能だよね!
コロンブスエッグで起こった殺人事件の犯人として現場で、高階院長が捉えられるというピンチに対して、白鳥さんが大活躍です。
スキャンダルから病院を守るため、限られた時間の中で高階院長が嵌められた罠の謎を解くという緊迫感のなか、ロジカルモンスターの本領発揮!
ただ、その半面で田口先生が……単なる語り手になっているような。
まあ、白鳥さん以外に濃いキャラ達が出てくるので、影が薄くなるのはしょうがないような気もしますが。
登場人物の立ち位置がこの作品だけでは把握できないのが難と言えば難ですが、面白かったです。

アリアドネの弾丸アリアドネの弾丸
(2010/09/10)
海堂 尊

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January February March April May June July August September October November December
2010(Mon)

「隻眼の少女」麻耶雄嵩著

読感/国内小説

「隻眼の少女」麻耶雄嵩著/

自殺する場所を求め寒村の温泉宿を訪れた大学生の種田静馬は、少女の首切り事件に遭遇する。犯人の罠により殺人犯と疑われた静馬を見事な推理で救った、水干姿の隻眼の少女探偵・御陵みかげ。静馬は助手見習いとして、みかげと共に事件の謎に挑む。みかげは父を失いながらも難事件を解決するが、18年後に同じ村で再び惨劇が……。本格ミステリ界のグラディエーターが放つ、超絶の問題作登場です!

↑本の内容紹介から。

1985年冬と2003年冬の、二部構成の長編本格推理小説です。
母親が殺人事件の被害者であり、それを犯したのが父親で、その父親を事故に近い形だけれども殺してしまった静馬さんが、自殺場所求めて訪れた村は、スガル様という独自の神様を祭るどこか閉鎖的な村。
(この辺、横溝的なミステリが好きな方には、舞台設定など揃っていてツボではないかと思います)
そのスガル様の後継者として修業していた少女の首切り死体が発見され、静馬さんが犯人の罠によって疑われる。そんな彼の疑いを水干姿に隻眼の少女探偵(デビュー前)御陵みかげが晴らし、静馬さんを助手にして捜査を始める。
しかし、探偵の先を行くように犠牲者は増え、ついにはみかげさんの父親まで――。
消沈するみかげさんを励まし、結ばれながら、何とか事件を解決というのが、第1部です。
そうして18年後、事件後色々あって再び村へと舞い戻ってきた静馬さんの前に、みかげさんが現われ、さらに同じような事件が――という。

ええ、もう、紹介文にあるように、問題作だと思いますよ。(笑)
とにかくこの作家様は、「名探偵」の書き方が一般的とは言い難いですからね。
推理をしない「貴族探偵」然り。
今回も水干姿という奇抜な衣装に、ちょっとツンデレな「御陵みかげ」という名探偵が何と言うか。ある意味、強烈。(ネタバレを考慮すると、これ以上はあまり語りにくいので省略)
そうして、事件の真相も意外でした。
うん、ミステリとしては面白かったです。

ただ、犠牲になる女の子たちが罪もない子たちで、動機が××だったこと。
前半で構築されたドラマ(一応、反転→静馬さんが自殺志望という先行きのないところから、みかげさんの支えになりたいという前向きさを取り戻した部分が)が後半で何と言うか、容赦なく踏みつぶされたような気がしたのが、ちょっと個人的に残念だったかな。
まあ、(それでも静馬さんには支える者が残った)わけですが。
とりあえず、名探偵のみかげさんは(後半の、3代目みかげさんが)好きです。がんばって、名探偵になってください!

↓とりあえず、カバーは実物写真。
で、カバー外した表紙が、インパクトありの装丁でした。
(目力というか、目が合うと怖い……)
隻眼の少女隻眼の少女
(2010/09)
麻耶 雄嵩

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