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January February March April May June July August September October November December
2012(Wed)

「フェリシアの旅」ウィリアム・トレバー著

読感/翻訳小説

「フェリシアの旅」ウィリアム・トレバー著/

男は車のミラーから彼女を凝視していた。映っていたのは、十七歳の少女フェリシア。連絡先も告げずに去ってしまった恋人を捜すためにアイルランドからイギリスにやってきた。何の手がかりもなく。車の男ヒルディッチは、町工場の食堂の責任者。だが彼には知られざる性癖があった。天才的な嗅覚で家出娘たちを捜し出し、巧妙に助けの手をのべ、感謝され、そして―。男は偶然の出会いを演出し、静かに、だが確実に、彼女を追いつめていく―。アイルランドの実力派による同名映画の原作。

↑本の内容紹介から。(一部、ネタバレっぽいところがあったので削除)

恋人が工場に勤めているという情報しか知らず、連絡先も知らない恋人の後を追って、アイルランドからイギリスへと渡って来たフェリシア。
捜す途中で出会ったのは、とある工場の社員食堂責任者であるヒルディッチ氏。
この二人の視点で大体、交互にお話は綴られています。
ヒルディッチ氏は大きな屋敷に住み、工場の皆にも慕われ、フェリシアにも親切な顔をして手を差し伸べてくるわけですが、これがね。
病の妻がフェリシアのことを心配してたとか、存在しない妻を入院させたり、死なせては葬式を出したりと(あくまで話の中でだけど)嘘八百並べ立てます。
過去にも何人かの家出少女にそうやって近づいていた。
そうして、フェリシアはというと、もう恋人に騙されていたというのが読み手には解かる感じで、とにかく世間知らず。
(そして、フェリシアは妊娠してしまった……)
フェリシアのお金を盗み、フェリシアの退路を断ち、そうしてフェリシアに子供をおろすようにと説得するヒルディッチ氏に、彼の思惑がわかっている読者としては「逃げて逃げて」とハラハラ。
語りが、過去や妄想が混沌としているので終盤辺りは狂気を感じさせて、ぞわぞわしました。
フェリシアの視点部分での、過去アイルランドの情景にひそむ哀愁がまた、個人的には好みでした。
サスペンス風でしたが、成長物語でもあったかな。
※結末に関して、ネタバレしていますので、注意寸前のところで、フェリシアは逃げ出して助かっていたんですが。行く先もない彼女は、もうホームレスとして堕ちるところまで。でも、自分の幼さというか愚かさを受け止めて、そして今を自ら選択しながら生きていくのだと彼女が学んだところに成長と逞しさを感じました

フェリシアの旅 (角川文庫)フェリシアの旅 (角川文庫)
(2000/02)
ウィリアム トレバー

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tag: 翻訳小説 ミステリ サスペンス

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January February March April May June July August September October November December
2012(Thu)

「掘り出し物には理由がある (アンティーク雑貨探偵)」シャロン・フィファー著

読感/翻訳小説

「掘り出し物には理由がある (アンティーク雑貨探偵)」シャロン・フィファー著/

アンティークのボタンに陶器、絵葉書に古い結婚式の写真―興味のない人にはただのがらくたでも、蒐集家にはうっとりするような宝の山。そんな貴重なアンティークを探し出すのが、蒐集家にしてフリーランスの「拾い屋」であるジェーンの仕事。といってもまだ駆け出しで、ついつい自分の好きな雑貨に目がいってしまうのが玉にきず。その日も七つ道具をひっさげ、お宝をさがしに朝からガレージ・セールへ。美しい植木鉢と出あい、最高に幸せな気分で帰宅した彼女に予期せぬ事態が!隣家の主婦が何者かに殺されたのだ。そして、遺体の服から消えていたアンティークのボタン。いったいなぜ?蒐集家の鋭い観察眼で事件の真相に迫る。

↑本の内容紹介から。

アンティーク雑貨を蒐集する駆け出し「拾い屋(ピッカー)」ジェーンが主人公のコージーミステリです。
広告業界で働いていたけれど、色々あって失業。前から趣味としていたアンティーク雑貨蒐集を依頼人などに代わって探すのがジェーンのいうところの「拾い屋」。
ドアノブや花挿し(剣山)、植木鉢やボタン、古い写真(ポストカード)といった雑貨がメイン。
アンティークというと、骨董品で値が張るイメージでしたが、ジェインが扱うものはそれこそ5ドルもしないようなもの。
ボタンひとつにも価値があって、これからモノを見るのが楽しくなりそうな一冊でした。
お話は、ガレージ・セールから帰って来たジェーンが車を借りていたお隣さんに返しにいけば、サンディの遺体を発見。
ご近所づきあいのパーティで、ジェーンはサンディの夫とキスをしてしまったことから、周囲には不倫を疑われていたものだから、まあ容疑者候補に。
(実際、深い関係にあるわけではなく。サンディとはむしろ、それがきっかけで前より距離が近づいていた)
そんななか実家から呼び出されたジェーン。その出先でも、幼馴染みのティム(花屋兼骨董屋をしている)の相棒が殺されるという事件が――と。
ジェーンの身の回りで、事件が次々と起こって、ハラハラドキドキ
(ジェーン自身、襲われたり!)
ジェーンと幼馴染みであるティムが、少女探偵ナンシー・ドールごっこをして、推理したりと。
このコンビが良かったです。
いや、この二人。ベッドで一緒に寝ちゃうくらい、仲が良い(ちなみにジェーンは別居中の夫がおり、ティムはゲイです。そういうわけで、ただ寝ているだけなので、ご安心を)
ジェーンの両親も好きだな。
コージーミステリとしては伏線も張ってあって、丁寧な方だと思います。
その分犯人は少しわかりやすい気がするけれど、ジェーンとティムとやり取りや、アンティークの蘊蓄など、個人的には楽しめました。
第二弾もティムとのコンビがあるのかな?(訳者あとがきにはその辺が触れられていなかったけれど)
実家の方で事件に巻き込まれるみたいなので、ティムやジェーンの両親が登場するのを楽しみに、続刊を待ちたいです。

掘り出し物には理由がある (コージーブックス)掘り出し物には理由がある (コージーブックス)
(2012/08/10)
シャロン フィファー

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tag: 翻訳小説 コージー ミステリ

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January February March April May June July August September October November December
2012(Tue)

「夜毎に石の橋の下で」レオ・ペルッツ著

読感/翻訳小説

「夜毎に石の橋の下で」レオ・ペルッツ著/

1589年秋、プラハのユダヤ人街を恐るべき疫病が襲った。
墓場に現れた子供の霊は、この病は姦通の罪への神の怒りだと告げる。
これを聞いた高徳のラビは女たちを集め、罪を犯した者は懺悔せよと迫ったが、名乗り出る者はなかった……。
神聖ローマ帝国の帝都プラハを舞台に、皇帝ルドルフ2世、ユダヤ人の豪商とその美しい妻、宮廷貴族、武将、死刑囚、錬金術師、盗賊団、道化、画家らが織りなす不思議な愛と運命の物語。
夢と現実が交錯する連作短篇集にして幻想歴史小説の傑作。

↑本の内容紹介から。

ルドルフ二世の時代のプラハを舞台にした幻想歴史小説です。
時代背景が皆川博子さんの「聖餐城」と近いので、気になってました。あと、幻想小説ということで。
お話は各話登場人物が入れ替わり、時系列がばらされたことで一編一編が短編として読めます。
最初のお話は疫病に悩まされるユダヤ人街で、疫病で死んだ子供の幽霊を見た芸人の二人が、高徳のラビにそのことを報告します。ラビは芸人たちに命じ幽霊から事情を聞きだせば、姦通の罪があるという。
そこで問いただすも、誰も名乗りを上げない。
ラビは幽霊の少女を呼びだして――と。
どこか寓意を含んだ伝承(訓話的な昔話とでもいいましょうか)と、史実が絡み合ったお話が凄く、好みで良かった。
第一話から過去に遡り、またはその後を語ったりと。
まったくバラバラのように見えていたものも、読み進めていけば繋がりが見え、消えた富の謎や薔薇とローズマリーの花に掛けられた魔法の謎も解けると、「愛と復讐(または罪)」の物語となる構成も面白かったです。
解説もどこまで史実に基づいたものか、また作家がどういった伝承をモチーフに選んだのかといったことを語ってくださって、色々と勉強になって良かったです。
読む前に気になっていた「聖餐城」との関係も、「ヴァレンシュタインの星」で、知った名前が出てきて秘かに興奮しました。
(どちらも史実を基にしているから、歴史を知っている人には当然のエピソードなのかもしれませんが)
実に、良い読書体験をしました。買って、良かった!(しみじみ)

夜毎に石の橋の下で夜毎に石の橋の下で
(2012/07/25)
レオ・ペルッツ

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聖餐城 (光文社文庫)聖餐城 (光文社文庫)
(2010/04/08)
皆川 博子

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tag: 翻訳小説 幻想・怪奇

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January February March April May June July August September October November December
2012(Sat)

「わたしが眠りにつく前に」SJ・ワトソン著

読感/翻訳小説

「わたしが眠りにつく前に」SJ・ワトソン著/

「わたし」クリスティーン・ルーカスは、特殊な記憶障害を負っている。毎朝目覚める度、前日までの記憶が失われてしまうのだ。いまは長年連れ添った夫とふたり暮らし。毎日彼が誰かすらわからなくなるわたしを、夫は献身的な愛で受け入れてくれている。そんなある日、医師を名乗る若い男から電話がかかってくる。聞けば、すこし前から夫に内緒で彼の診察を受けているのだという。医師はここ数週間、あなたは毎日の出来事をひそかに書き綴ってきたと言い、日誌を見るように告げる。わたしは言われるまま、それを読み始めた。その先に何が待つのかも知らずに…。CWA最優秀新人賞受賞作。

↑本の内容紹介から。

眠りについて目覚めたら記憶を維持できない主人公のお話です。
登場人物紹介に主人公クリスティーンの名前しかないという、斬新さ。
事故で記憶障害を負ったらしい(←夫の説明)目が覚めたら、前日までの記憶が失われているそんなクリスティーンの一人称と日記で、お話は綴られています。

冒頭、クリスティーンが目覚めたところから始まります。
彼女の記憶にあるのはまだ若い頃の自分で、目覚めてベッドで横に眠っている夫と名乗る男性が、誰かもわからない。
鏡を見れば、彼女は予想外に自分が年を取っていることを知り、そして夫から↑上記のような事情を教えられます。
戸惑う彼女は、夫が仕事に出掛けている間に電話が掛かって来て、日誌の存在を知らされます。
とはいえ、眠りについて目覚めたら記憶を失ってしまう彼女だから、日誌などつけられるはずがない。
そこで毎日、医師が電話を掛けてきて、日誌の存在を教えられていた。
彼女はそれまでの出来事を読み、そしてその日にあったことを記す。
でもその行為は、夫に内緒にしていた。
だから夫はクリスティーンが知らなくていいようなことを教えずにいて(クリスティーンが小説家として一冊本を出していたことや、子供がいたこと、など)仕事に出かける。
その留守中に日記を読み、思い出そうとする努力で、記憶がフラッシュバックするように蘇ることがあれば、クリスティーンは帰って来た夫に詰め寄る。
また日記を読んだことを内緒にして、鎌を掛ける。
そうすると、夫は隠していことを告げる、でも翌日にはクリスティーンの記憶はまたも消えている、と。
そうして日記の存在を知らされ、また読み、書いてと。
少しずつと情報が積み重なっていく、情報の齟齬に誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついているのかと、不審感が募って行けば読んでいるこちらも、どうなるんだろう?と、ハラハラしました。
(ネタバレ反転→献身的な夫に対し、クリスティーンの過去の裏切りなど色々とわかってくれば、夫に味方したり。でもなんか変だぞ?という言動をみせれば、クリスティーンに味方したりと、実に忙しなく、ハラハラ(笑
中盤の日記の章が、ちょっと長く感じられたかな。
もう少し短くても良かった気もしますが、面白かったです。

わたしが眠りにつく前に (ヴィレッジブックス)わたしが眠りにつく前に (ヴィレッジブックス)
(2012/07/20)
SJ・ワトソン

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tag: 翻訳小説 ミステリ サスペンス

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January February March April May June July August September October November December
2012(Tue)

「修道院の第二の殺人」「エジンバラの古い柩」アランナ・ナイト著

読感/翻訳小説

「修道院の第二の殺人」アランナ・ナイト著/

煙ただよう古都、ヴィクトリア朝エジンバラ。パトリック・ハイムズは修道院で働く妻と、そこの学校の教師だった女性を殺した罪で絞首刑に処された。しかし、彼は妻の殺害は認めたが、第二の殺人は頑として否認したまま死んだのだった。彼の最後の訴えを聞いたファロ警部補は、新米医師である義理の息子のヴィンスと再捜査を始める。歴史ミステリの大家が贈る、軽快な犯人捜し。

↑本の内容紹介から。
修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)
(2012/03/10)
アランナ・ナイト

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「エジンバラの古い柩」アランナ・ナイト著/

エジンバラ城の崖下で男の遺体が発見された。捜査をはじめたファロ警部補は現場付近で男性の肖像が描かれたカメオを拾う。さらに警官だった父の遺品から、40年前に城の壁の中から赤ん坊の遺体を納めた古い柩が発見されたという事件の記録と、現場で発見したものと対のメアリー王女のカメオを見つける。ふたつの宝飾品が示す驚愕の真相とは?英国史を覆しかねない大胆な傑作。

↑本の内容紹介から。
エジンバラの古い柩 (創元推理文庫)エジンバラの古い柩 (創元推理文庫)
(2012/07/21)
アランナ・ナイト

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ヴィクトリア朝エジンバラを舞台に、男やもめのファロ警部と新米医師で義理の息子ヴァンスのコンビ(コンビというほどではない気がしますが)が活躍するミステリです。
第一弾の「修道院の第二の殺人」でファロ警部は、最愛の妻を亡くし悲しみにくれている――という入りだったんですが、えーと、ある女性に一目惚れしては恋に舞い上がるといった感じで。
えっ? 最愛の妻は?
(妻のリジーに対しての想いも……何だかなーというような印象で、ポカーン)

正直、ファロ警部の魅力がわからんのですけど!
惚れっぽく、うぬぼれが強く、嫉妬深いというか……。(皆に人気のある若い警官に対する嫉妬がね、何と言うか、器を小さく感じさせて)
そしてヴァンスもそれほど出張っているわけではないので、登場人物に愛着がわかないまま読み進め、ヴィクトリア朝というところを期待して見れば、あまり……。
エジンバラという舞台も生きていない……。
犯人もわかりやすい……。
と、まあ、うーんと唸りながら読了。
それでも、離れて暮らす二人の娘からのお手紙が何だか可愛かったし、あとがきでは登場すると語られていたので、もう少し付き合ってみようかと。

そうして「エジンバラの古い柩」の読んでみれば、エジンバラ城の崖下で発見された遺体。
捜査を始めれば、昔の警部の父親の事故死とも繋がり、さらには多くの不審死が――と。
おお、今度はエジンバラという舞台が生きてる!
(ヴィクトリア女王の不人気とか、メアリー女王への崇拝といいますか)
王家の秘密に迫る魅力的な謎と、さらにその後が気になる終わり方や(ファロ警部、脅されてるよっ!)、娘たちが行方不明になった下りは、ハラハラしたりと、今回は面白かったです。
(ネタバレ反転→ただ、大風呂敷を広げた結果、犯人は個人的にわかりやすかったけど……
でも、やっぱり、ファロ警部の魅力はわからんけどね!
今回も登場する若い女性に心騒いで、惚れられては葛藤というか――浮かれているというか。
その辺りの恋愛部分が、個人的にはあまり相性が良くない感じですが。
もう少しだけ、付き合ってみようかな。
イギリスの歴史に興味ある人は、「エジンバラの古い柩」は楽しめるのではないかな?

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07

January February March April May June July August September October November December
2012(Tue)

「ご近所美術館」森福都著

読感/国内小説

「ご近所美術館」森福都著/

平凡なサラリーマンの「ぼく」こと海老野が勤める会社の近所に、突如できた小さな美術館。居心地のよさと旨いコーヒー目当てに常連となった海老野は、引退した館長に代わってやって来た川原姉妹の姉・菫子に一目惚れする。来館者から持ち込まれる不可思議な謎を解いて菫子を振り向かせようと、生意気でオタクなその妹・あかねの力を借りつつ奮闘を重ねるが…。恋する一青年が、美術館専属の探偵となって活躍するほんわかミステリ連作集。

↑本の内容紹介から。

「ペンシル」「ホワイトボード」「ペイパー」
「マーカー」「ブックエンド」「パレット」「スケール」の七編収録。

日常の謎系ということで、気になってたミステリ。
読んだことがない作家さんなので、どうしようかなーと迷いつつ、購入しました。
個人経営の美術館(かつて、四コママンガでそこそこに活躍していたマンガ家の親族が記念で立てた)の新館長に一目惚れした常連サラリーマン・海老のん(あだ名だよ)が館長妹のあかねぶー(あだ名ですよ)の助けを借りて、素人探偵する短編連作です。
婚約者の浮気に引きこもりになった美人姉・董子さんに、同人で人気のマンガ家の妹・あかねさんは、おデブでひっつめ髪に黒縁メガネと、よく似ていない姉妹だけど、姉の引きこもりを心配してあかねさんは館長を董子さんに任せます(初代から最初に引き受けたのは、あかねさん)
海老野さんは初代から常連で、その後あかねさんともまあまあ仲良し。(海老のん、あかねぶーとあだ名で呼び合う)
というわけで、新館長になった董子さんに一目惚れした海老のんをあかねさんが応援して、何とか恋を成就させようとするわけですが。
うかつ者の董子さんの前には、彼女が落とした財布を拾ったという男が近づいて来て。
海老のんは、下心アリと色々推測するところから、素人探偵の始まり。
話数を重ねるごとに、少しずつ探偵も板についてくるところが良かったです。

帯に「ほんわか」とあったけれど読んでいる途中は、「ほんわか?」と首を傾げていましたが(「ホワイトボード」なんかは、どう考えてもほんわかとは言えないじゃんっ!と)、でも最後まで読んだら「ほんわか」しました。
ラストがね、うふっという感じで。
(個人的に、そうなったらいいなと思っていた方向に進んだので!)
収録作では「マーカー」が好きかな。
とある家族の、父と娘の間での謎の掛合いといいますか。正直、面倒臭い家族だな!と思わなくもないですが。
パパのその後の試練が気になります(笑)
欲を言えば、それぞれのキャラが面白い設定なので、コミカルに突き抜けても良かったんではないかなと思わなくもなかったんですが。
(オカマなコンビニマスターとかもいるんだよ)
まあ、それは好みの問題なので。

↓表紙、書影ではわかりづらいと思うけど。よーく見ると、細かくて、丁寧なお仕事されてます。
ご近所美術館 (創元クライム・クラブ)ご近所美術館 (創元クライム・クラブ)
(2012/07/27)
森福 都

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05

January February March April May June July August September October November December
2012(Sun)

「少年は残酷な弓を射る 上・下」ライオネル・シュライヴァー著

読感/翻訳小説

「少年は残酷な弓を射る 上」ライオネル・シュライヴァー著/

キャリアウーマンのエヴァは37歳で息子ケヴィンを授かった。手放しで喜ぶ夫に対し、なぜかわが子に愛情を感じられないエヴァ。その複雑な胸中を見透かすかのように、ケヴィンは執拗な反抗を操り返す。父親には子供らしい無邪気さを振りまく一方、母親にだけ見せる狡猾な微笑、多発する謎の事件…そんな息子に“邪悪”の萌芽を見てとるが、エヴァの必死の警告に誰も耳を貸さない。やがて美しい少年に成長したケヴィンは、16歳を迎える3日前、全米を震撼させる事件を起こす―。100万人が戦慄した傑作エモーショナル・サスペンス。女性作家の最高峰・英オレンジ賞受賞作。

↑本の内容紹介から。

「少年は残酷な弓を射る 下」ライオネル・シュライヴァー著/

16歳の誕生日の3日前、“事件”は起こった。異常なまでに母に執着する息子と、息子を愛せない母。二人が迎える衝撃の結末とは―?100万人が戦慄した傑作エモーショナル・サスペンス。2005年英オレンジ賞受賞作。

↑本の内容紹介から。

生まれてきた子供を愛せなかった母親のエヴァ。息子のケヴィンは16歳の誕生日を迎える三日前に「最悪(学校で生徒や教師を含めた多人数を射殺するという)」な事件を起こした――。
話は事件後、エヴァが夫への手紙という形でケヴィンの誕生(正確に言うと、生まれる以前)から過去を振り返って綴られています。
手紙という形で、実に一方的かつどこか愚痴めいたところがあったので、正直、こんな母親の下で育っていれば子供はやはり歪むのでは――?と、読み始めの所感で抱きました。
何しろ世界中を飛び回っている彼女は、留守中に夫を置いて行く罪悪感や万が一、夫が居なくなったときのための「コピー」として、子供を作ろうと思い立って。
でも、妊娠、出産と通してエヴァから感じるのは「こんなはずじゃなかった」的なもの。
……そんな「モノ」的な感覚で、接せられたら……人格否定も、いいところじゃないかと。
でも、読み進めていくうちに、成長するケヴィンからは狡猾さといったものが感じられて、ぞわぞわと。
(父親の前では、人懐っこい良い子を見せておき、その仮面を利用して教師を貶めたりといった)
「最悪」なことが起こったのだから「最悪」が待っていることがわかっていても、何とか止められないものかと、思いながらページを捲っていました。
もうね、エヴァが二人目の子供を産む辺りとか……。どう考えても、火に油を注ぐ行為にしか思えなくって(エヴァはシーリアを産んだことで、母親らしい子供への愛情を実感することが出来たけれど)
……そうして「最悪」は想像以上でした。
(ネタバレ反転→「手紙」という、一方的な構成の主旨がわかったといいますか……。
読み終わって思うのは母と息子の話として書かれているけれど、ケヴィンの憎悪の対象は父親だったのではないかな。
父親のフランクリンは、良い子としての一面しか、ケヴィンを見ていなかった気がします。そうして良い父親ぶっているフランクリンの愛情を軽蔑していのではないかと。

決して、楽しい読書経験ではなかったけれど、色々と考えさせられるお話でした。
考えさせられて、今も答えらしい答えを見つけ出せないでいるけれど。
子供の罪に親はどれぐらい責任があるのか?とか。
子供が罪を犯したとき、親は子供を守るべきなのか、否かとか。
(裁判の際に弁護士を雇うというエピソードで、思った)

こんな風に大事件を起こす子供は、そうそういない(いたら困る)わけですが。
でも、学校でのいじめ問題とかね。……子供が加害者になる場面は、あるわけで。
親となる人、親に限らず、身内が加害者になる(そんなことを考えるのは嫌ですが。果たして、自分が見ているそれがその人の全てかどうかは、わからないわけで)可能性を秘めている現実があれば、他人事とも言い切れないことに、ずっしりと重みを感じました。

たしかに子どもって、壊すのが大好きよね。ものを壊すのは、作るよりも簡単。あの「木曜日」の準備がどんなにたいへんでも、彼らと親しくなることに比べれば、それほど厄介じゃなかった。なにかを壊すことはある種の手抜きだと思うの。それでも、作ることと同じような満足感をもたらす。我壊す、ゆえに我あり、というわけ。それに、壊す行為には解放感もある。さらには、なにかを壊すことによって、それを自分のものにしたような気になることもできるわ。それにより身近に感じ、ほかの人には渡さなかったと感じることができる。~略~
(「少年は残酷な弓を射る・下」P39より)



映画化もされてます→「少年は残酷な弓を射る・映画公式サイト

少年は残酷な弓を射る 上少年は残酷な弓を射る 上
(2012/06/24)
ライオネル・シュライヴァー

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少年は残酷な弓を射る 下少年は残酷な弓を射る 下
(2012/06/24)
ライオネル・シュライヴァー

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January February March April May June July August September October November December
2012(Wed)

更新。

更新報告。

「秘密を閉じ込めて」、「甘くて苦い」更新しました。

進んでるのか、後退しているのか。
停滞しているような、どこで道を間違えたのか……シリアスしているような。

あれ、コメディが書きたいのにな!

そんな感じです。
(どんな感じだ)

じわじわと迫って行こうかと思いつつも、予定は未定ということで……。
どうなることやら。


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