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2008(Fri)

「伯林蝋人形館」 皆川博子著

読感/国内小説


読感です。

「伯林蝋人形館」 皆川博子著

陸軍幼年学校から軍人の道を歩むはずが、ジゴロとなったアルトゥール。帝政ロシアからドイツに亡命し、シナリオライターを夢見るナターリャ。ミュンヘン市民のプロレタリアートでルンペン暮らしから這い上がり、ナチ党員となるフーゴー。裕福なドイツ系ユダヤ人の家に生まれ、義勇軍に参加した後、大富豪となるハインリヒ。薬を常用する蝋人形師マティアス・マイ。カバレット“蝋人形館”の看板歌手ツェツィリエ。彼らの人生は、様々な場所、時代で交錯し、激動の歴史に飲み込まれていく―。『死の泉』から九年、壮大な歴史ミステリー長篇。

↑本の内容紹介から。

内容紹介にあるアルトゥール、ナターリャ、フーゴー、ハインリヒ、マティアス、ツェツィリエの六人の人物が描いた(?)短編と、作者略歴という構成からなる作品。
重なっているようで、事実がズレているので、帯にあった「誰の物語が真実なのか」と頭を悩ませながら、真実を探って行く感じで読み耽ってしまいました。
薬に溺れた者、心が壊れた者が紡いだ感じで描かれる、短編部分はときに幻想小説的で。
やがて紡ぎだされる一つの真実を描き出すミステリー小説。
しかし、第一次世界大戦からヒットラーが出てくる辺りの時代背景を描いた歴史小説とも言えるような。
何というか、一粒で二度美味しいといいますか、一冊で一つの長編でもありながら、それぞれの人生を描いた短編集としても楽しめるような。
面白かったです。

伯林蝋人形館伯林蝋人形館
(2006/08)
皆川 博子

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