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2008(Tue)

「ロードムービー」 辻村 深月著

読感/国内小説


「ロードムービー」 辻村 深月著

誰もが不安を抱えて歩き続ける、未来への“道”。子どもが感じる無力感、青春の生きにくさ、幼さゆえの不器用…。それぞれの物語を優しく包み込んで真正面から描く。「冷たい校舎の時は止まる」から生まれた珠玉の3編を収録。

↑本の内容紹介から。

「冷たい校舎の時は止まる」を読んでいなくても作品自体は単品として楽しめると思います。
が、やっぱり先に読んでおくことがお勧め。
辻村さんのお書きになる作品には、心にぐさりと突き刺さる痛みがあって、辛い、苦しい、重い、とか思うんですが。
多分、その痛みが生きているということを実感させる。
そして、その痛みが小説の登場人物を介して、他人に目を向けさせる。
(辻村さんの主人公はあまり共感できないところから入るんですが、読み終わった頃にはその人物の心理を理解している)
そういう考えの人もいるんだと、思わされる。
自分の痛みだけでなく、他人の痛みにも敏感になれる人間になりたいと、読み終わっていつも感じさせられます。
(いや、自分に対する痛みは鈍感な方がいいのか?)
子供時代特有の歪な人間関係は、本当に苦しくて。
表題作の「ロードムービー」は、何で、子供ってこうも残酷になれるんだろうと思うんですが、同じ子供でも真っ直ぐなまま揺るがない子もいて。
その強さが変わらないように、また苦しさに負けてしまわないようにと願います。
そして「道の先」で、少しだけ、世界が広がれば、大人になれば、苦しさを癒す方法を見つけられるはずだから――そう優しく教えてくれる。

とまあ、読みながら色々と感情を掻きまわされて。
だけど、その感情一つ一つに向き合えば、何か答えを見つけた気がする。
とても充実した読書でした。
良かったです!

ロードムービーロードムービー
(2008/10/24)
辻村 深月

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