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松原冬夜

Author:松原冬夜
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「荊の城(上・下)」 サラ・ウォーターズ著

読感です。

「荊の城(上・下)」 サラ・ウォーターズ著

19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、故買屋の一家とともに暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師がある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その財産をそっくり奪い取ろうというのだ。スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。

スウが侍女として入ったのは、俗世間とは隔絶した辺鄙な地に建つ城館。そこに住むのは、スウが世話をする令嬢、モード。それに、彼女の伯父と使用人たち。訪ねてくる者と言えば、伯父の年老いた友人たちだけという屋敷で、同い年のスウとモードが親しくなっていくのは当然だった。たとえその背後で、冷酷な計画を進めていようとも。計画の行方は? 二人を待ち受ける運命とは?

↑上下巻、本の内容紹介から。

ネタバレに注意すれば、書きたいことの半分しか書けなかったけれど。

第一部はスウ、第二部はモード、第三部がスウの一人称で語られます。
お話は、陰鬱な雰囲気を漂わせるロンドンの下町と辺鄙な城、精神病院を舞台にしています。
ハッキリ言って、明るさは欠片にもありません(でも、読後はそんなに悪くない)
孤児のスウは育ての親サクスビー夫人に大事に育てられ、その育ての親のために詐欺師「紳士」が持ってきた話に乗ります(この養い親を慕うスウが後々、切ないんだ)
そして、侍女となって令嬢モードを騙すことになるんですが、孤独なモードを騙すという立場から、同情しては母性本能的な感情から、モードに惹かれていく。
モードも孤独であったところに、自分を認めて甲斐甲斐しく世話してくれるスウに惹かれていく。
だけど、騙す者と騙される者であるが故に、すれ違う。(スウは養い親を裏切れない)
視点を交互にして話が語られているので、実は裏で彼女はこんなことを考えていたとか、沈黙した意味とか、嘘をついたのはこういう想いがあってとか、読んでいる人間には明らかになるんですが、登場人物には当然わからない。
行き違う想いが、切なくて。「違うよ、そうじゃないよ――」と叫びたくなる。
(また、スウとモードの関係だけじゃなく、色々と切ない部分がある)
そうして、二転三転とどんでん返しが起こる。どうなるんだろうと、先が気になります。
前にも書きましたが、同性愛傾向にあります(レズ)
その辺りが苦手ではなく(私自身、BLなどは苦手傾向にありますが、この作品にはすんなりと感情移入できた)、切ない話、どんでん返しが好きな方には、一読の価値ありだと思う。

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