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2009(Sun)

「千年の黙 異本源氏物語」 森谷明子著

読感/国内小説

読感です。

「千年の黙 異本源氏物語」 森谷明子著

帝ご寵愛の猫、『源氏物語』幻の巻「かかやく日の宮」――二つの消失事件に紫式部が挑む。平安の世に生きる女性たち、そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を鮮やかに描き上げた、大型新人による傑作王朝推理絵巻!

↑本の内容紹介から。

三部構成のお話です。
第一部は紫式部(藤原香子)が源氏物語の「桐壷」をほそぼそと書いている頃、彼女に仕える「あてき」という女童が動いて、式部が安楽椅子探偵的なポジションから、帝ご寵愛の猫が消えた謎を推理するというもの。

第二部は源氏物語には消えた巻があるという説を元にして書かれたフィクション。
式部が中宮に献上した十一帖の物語の内「かかやく日の宮」が消えていた。誰がその物語を握りつぶしたのかという謎に迫ります。
第三部は第二部の解決編とでもいいましょうか。

第一部では創作に悩んでいる式部が描かれていて、そんな彼女に共感したり。
家族を大事に思う式部にほんわかしたり。
夫である宣孝さまから情報を引き出すために、ツンとデレを使い分けたりする式部に、思わず、ツンデレと心の中で叫んだり。
第一部はあてきの初恋物語でもあって、岩丸を心配して奔走したりするところとか、可愛いなー、とほのぼのしたりしました。
式部やあてき(後に小少将)だけではなく、全体を通して、宣孝さまや忠義に厚い小侍従とか、中宮彰子様などなど、他にも味のある人物たちが沢山。
この本を読んでいると実際に「かかやく日の宮」という物語が描かれ、そうして握り潰されたように思わされる。
何というか、実際に千年昔の平安当時を目にしているかのようでした。
それは登場人物が実に生き生きと、魅力的に描写されていたからなんじゃないかな。
第一部と第二部、第二部と第三部の間では、数年の時が経過しているんですが。やはり当時の寿命は短いから、登場人物がなくなっていたりして、切なさを覚えてしまった。
それくらい、このお話に出てくる人物が好きでした。
源氏物語への興味をかき立てられたりと、読んでて実に楽しかったです。
充実した読書時間、ありがとうございました!


千年の黙―異本源氏物語千年の黙―異本源氏物語
(2003/10)
森谷 明子

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