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2009(Thu)

「月光亭事件」 太田忠司著

読感/国内小説

「月光亭事件」 太田忠司著

引退した名探偵・石神法全の後を継いで探偵事務所を営む野上英太郎の元に、ある日猫を連れた少年が訪れる。卓越した推理力を持つその少年・狩野俊介は、石神との出会いを契機に探偵を志していた。野上は彼を助手として、直後に舞い込んだ依頼―大病院の院長の妻に取り入り、一家の館に居座る奇妙な宗教家の正体を暴くこと―に乗り出すが。少年探偵・狩野俊介シリーズ第一弾。

↑本の内容紹介から。

昔に発売されていた本の新装版です。過去の本は読んだことはありませんが、イラストの可愛らしさに惹かれて手に取ったら、もう。
中身は本格推理小説です。でも、文章は読みやすく、サクサク読めます。一気読みしてしまった!
少年探偵の活躍が描かれていますが、視点は大人の野上さんの一人称によるものなので、大人でも十分に楽しめると思います。
名家の愛憎劇(そこまでドロドロしていませんが)大がかりなトリック、古い手鞠唄といった小道具を配置しながら、だけど何だろ。根底に凄く温かいものを感じました。
それは突然訪れた俊介君をすんなりと向かい入れた野上さんとかいった登場人物たちから感じる優しさかな。
普通、探偵志望といって現われた(一応、紹介があるわけだけど)少年をそうすんなり向かい入れるかな?と懐疑的になりましたが、よくよく考えれば名探偵と称される石神さんが何の当てもなく、俊介君を野上さんのところに預けるはずがない。
任せて大丈夫と感じたからこそ預けたのであって、同時に野上さんは石神さんが寄越した俊介君を一人前として受け入れた。
文章には書かれていないけれど、その信頼関係に気づいたら、もう何というか、この作品に魅了されていました。
子供が遭遇するには、事件が陰惨だけれど。
純真と言える俊介君という存在があることによって、事件を起こした人間の愚かさが際立ってくる。
何というか、俊介君の目に自分が映ることがあったなら、彼の目から逃げたくなるような恥ずかしい大人になっていたくないなと思いました。
純真な俊介君が可愛いし、彼の愛猫ジャンヌもいい!野上さんも包容力があって素敵だし、アキさんも好きだな~。
シリーズの続きが創元社から出るようなので、追いかけたいと思います。

月光亭事件 (創元推理文庫)月光亭事件 (創元推理文庫)
(2009/06/25)
太田 忠司

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