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2009(Mon)

「線」 古処誠二著

読感/国内小説


「線」 古処誠二著

過酷な自然、重い疲労、マラリアの蔓延――。第二次世界大戦時のニューギニアを舞台に、冷徹なまでのリアリズムで、戦場の人間ドラマを描いた短編連作集。

この一線、超えるのか、踏みとどまるか――。

↑本の内容紹介から。

「下士官」「糊塗」「生木で作った墓標」「病兵の宿」
「銃後からの手紙」「たてがみ」「蜘蛛の糸」
「豚の顔を見た日」「お守り」全九編。

作品自体は短編で、お話は登場人物たちがそれぞれに違います。
しかし、ニューギニアの兵站線上での兵隊たちのお話です。それが共通しています。
この方の作品は、戦争という極限状態で剥き出しにされた人間の狡さ、弱さ、傲慢さや健気さ、儚さ、切なさ、強さといったものをそのまま描こうとしているように思えます。
(戦争の善悪を声高に主張したりせず、淡々とその場に生きたであろう人たちを誠実に描こうとしていると思う)
雑誌の方で発表されたのは、本に収録された順番通りではないようですが、本に収録されている順に読むことをオススメします。(この並びは秀逸)
徐々にマラリアや糧食不足が深刻化し、戦況が不利になっていく様子がわかります。
一番印象に残ったのは「たてがみ」かな。
徴兵されたのは人間だけではなかったというところが、目から鱗でした。

線
(2009/08/26)
古処 誠二

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