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2009(Mon)

「葛野盛衰記」 森谷明子著

読感/国内小説


「葛野盛衰記」 森谷明子著

桓武帝に始まる平安京。帝に縁を持つ多治比の女の一族は、遠くから帝を見守り、長く都に想いを寄せ続けた。300年後、桓武平氏が歴史の表舞台に躍り出て、多治比一族に再び希望の光が射したのも束の間―。栄枯盛衰を繰り返す人間たち。ただ平安京のみが、変わらず栄え続けたが…。桓武天皇から平氏滅亡までを、都という存在に託して語る一大叙事詩。

↑本の内容紹介から。

平安京の盛衰を二つの一族を軸にして描かれた歴史小説です。
雰囲気的には同作者の「七姫幻想」に近いかな?
(こちらは長編で、ミステリ要素はないですが。女性たちの物語は根底にしっかりと描かれている)

二部構成に分かれており、第一部は寧楽から都が京に移り定着するまで。
第二部は平氏が都で権威をふるい、滅亡するまで。
第一部の一章は妖しい匂いを漂わせていたので、伝奇っぽい印象があったのですが、少しずつ歴史小説だと思わせるようになりましたが、最後まで読むと最初に感じた妖しい匂いにも意味があったことに、「あっ」と感嘆する。
そして、第一部では一族の再興を願う多治比一族(この末裔が平氏)と、敵対するような立ち位置の秦一族。
後の桓武天皇の寵愛を奪ったことで、何となく秦一族に悪印象が読んでいるなかでついたのですが、これがまた最後まで読むと、どちらが悪なのかと迷う。
(常盤(義経の母)が意外な形で関わって来たり)

お話の中心視点となる人物が章ごとに変わります。
(第一部、一章は多治比一族の娘・伽耶、第二章・藤原縄主、第三章・有智子親王。第二部が第一章・藤原宗子、第二章・平頼盛)
それら語り手が権力者に従う(支配されるというと、意味が少し違ってくる気がしますが、道が間違っていると注進するには弱い立場)なので、長い歴史のなかに翻弄される物悲しさがあり、色々と感慨深い物語で、興味深く読めました。

葛野盛衰記葛野盛衰記
(2009/10)
森谷 明子

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