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2010(Sun)

「香菜里屋を知っていますか」 北森鴻著

読感/国内小説


では、読感。

「香菜里屋を知っていますか」 北森鴻著

お客さまが持ち込む謎と、その解決。それが当店の裏メニューです。マスターの工藤が作るちょっとした料理と、アルコール度数の異なる4種のビールが自慢のビア・バー香菜里屋が消えた…。人気「香菜里屋」シリーズ完結編。

↑本の内容紹介から。

文庫化を待っていたのですが、作者様の訃報に手を取りました。

シリーズを通して、全体的にほろ苦く、切ないお話が多いです。
舞台がビアバーであることから、登場人物たちの年齢層が高く、大人向けといったところでしょうか。
勿論、なかには読後爽やか、ほのぼのと言ったお話もあります。短編連作なので、色々な趣向が楽しめます。

そんな、「花の下にて春死なむ」「桜宵」「 螢坂」に続く香菜里屋シリーズの最終巻。

お話のテーマがお別れ(旅立ち)で、読んだこのタイミングもあるかもしれないけれど、色々と感慨深いです。
「ラストマティーニ」などは、もう……。
最終話「香菜里屋を知っていますか」では、もう会えないと思っていた他のシリーズのキャラが出てきて、嬉しかった。
(雅蘭堂の越名さんや安積ちゃん。しんみりとした雰囲気の中で、この二人のやり取りはコミカルで楽しい)
お話に添えられる、工藤マスターの作る料理はやっぱり美味しそうです。

ポイントは二種類の玉ねぎなのだそうだ。といっても、炒めかたが違うだけのこと。一方は、あめ色になるまでじっくりと炒めた玉ねぎで甘みとコクを出し、一方はしゃきしゃき感を残した玉ねぎで歯ごたえと香りを出すのだとか。恐れ入りましたとしかいいようがない、ひと口ミートコロッケの出来上がりであります。圧倒的に肉が多いからミートコロッケ。でも断じてメンチカツではない。

(「香菜里屋を知っていますか」 P108より)


他にも、ジャガイモと牛肉を甘辛く煮詰めたいわゆる肉じゃがを中味にしたオムレツだとか。
作り方の手順も書かれているので、いつか挑戦したい。
香菜里屋の閉店に、お別れは寂しいけれど、ごちそうさまでした。
ありがとうございました、と言いたいです。

北森さんの作品には、お酒や美味しそうな料理がよく登場します。
その辺りの描写も「お酒」や料理の名前だけで片づけない。
ので、ミステリということに拘らず、美味しい料理やお酒が好きな方は、読むと胃が刺激されるのではないでしょうか。

香菜里屋を知っていますか香菜里屋を知っていますか
(2007/11/29)
北森 鴻

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