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2010(Sat)

「パンドラ、真紅の夢」 アン・ライス著

読感/翻訳小説



「パンドラ、真紅の夢」 アン・ライス著/

アウグストゥス帝治世下のローマに、パンドラは元老院議員の娘として生まれたが、政争により一族は崩壊、彼女は独りギリシャのアンティオキアに逃れる。エジプトの女神イシスを崇拝するようになっていたパンドラは、そのころから自分が血を飲む不思議な夢に悩まされていた。そんな折、彼女の前に現れたのは、かつて好意を寄せていた男性マリウスだった。いかなる運命がパンドラを“ヴァンパイア”に変えたのか…。シリーズに光芒を放つ美女パンドラが語る、流転と遍歴の物語。

↑本の内容紹介から。

吸血鬼ものを読みたくなって、図書館通いをしていた頃、読んだことある「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズを思い出したら、読んでいないサイドストーリーが発売されているのを発見。
この間、ブックオフで買えたので、読みました。
実際のところ、パンドラって誰だっけ?と、かなり記憶が曖昧だったんですが。
(もうかなり昔に読んだもので、シリーズ全体も大まかなことしか覚えていないし、第一にパンドラはメインキャラではなかったので)
でも、読み始めたら、パンドラが魅力的で惚れました!
パンドラが生まれたのは紹介文にあるように古代ローマです。
そんな彼女はヴァンパイアになり、二千年を生きてきた現代で、ヴァンパイアの仲間、デイヴィッドに過去を書き記して欲しいと頼まれる。
自分の過去を思い出すのは辛いと断るけれど、パンドラはノートに自分の過去を書き記し始めると、そのことに対して高揚している感じが伝わって来る文章に惹き込まれました。
パンドラの回想からなる一人称は、美しく丁寧に情景を描写していて、実際に古代を目にしているかのよう。
ただ、回想なので唐突に現代に思考が戻るので、浸りきるということはできませんでしたが。
当時の歴史を絡めながら語られる彼女の物語は、とある策謀で父親が貶められ、家族全員が皆殺し(そういう法律なっていたそう)という直面に突き当たる。
パンドラは父親が手配していた人たちの手を借りて、ローマからギリシャに逃げます。この時、パンドラは深い絶望に襲われるとともに、血を飲む夢に悩まされることから、狂いそうになる。
でもそこから立ち上がるパンドラが、魅力的でした。
ローマの貴婦人として、まず生活を立て直そうと、身の回りの世話をしてくれる奴隷を求めての、交渉シーンは笑いました。
(なにぶん、貴族だったので、世間知らずな部分があったの。その辺の失敗もユーモアを含んで語られるから、嫌みなく、むしろ可愛いと思えた)
そうして、父親を陥れ、彼女も捕まえようとする敵を前にしたパンドラは誰に頼ることなく、己の弁舌で自らの窮地を切り抜けていく。
もうカッコいいったら、ない!

その後はマリウスとの再会があり、パンドラがヴァンパイアになる過程があり、また別離など……。
この辺はシリーズを読んでいないと、わからないかな~。

また、終盤はやや蛇足かなと思っていたのですが、最後の数ページ、パンドラが案山子に話しかけた言葉がこう、グッときて、また彼女が好きになりました。
久しぶりに魅力的な女性キャラに会えて、読書が楽しかったです。

シリーズものなので、一概にオススメとは言えないんですが、女性が自らの足で立って人生を切り開いていく――的なお話が好きな方は参考にしてみてください。
(やっぱり、シリーズを知らないと誰が誰?という部分はあると思うのですが、人間だった頃は知らなくても楽しめるかな?)

パンドラ、真紅の夢 (扶桑社ミステリー)パンドラ、真紅の夢 (扶桑社ミステリー)
(2002/05)
アン ライス

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