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2010(Sat)

「光媒の花」 道尾秀介著

読感/国内小説



「光媒の花」 道尾秀介著

印章店を細々と営み、認知症の母と二人、静かな生活を送る中年男性。ようやく介護にも慣れたある日、幼い子供のように無邪気に絵を描いて遊んでいた母が、「決して知るはずのないもの」を描いていることに気付く……。三十年前、父が自殺したあの日、母は何を見たのだろうか?(隠れ鬼)/共働きの両親が帰ってくるまでの間、内緒で河原に出かけ、虫捕りをするのが楽しみの小学生の兄妹は、ある恐怖からホームレス殺害に手を染めてしまう。(虫送り)/20年前、淡い思いを通い合わせた同級生の少女は、悲しい嘘をつき続けていた。彼女を覆う非情な現実、救えなかった無力な自分に絶望し、「世界を閉じ込めて」生きるホームレスの男。(冬の蝶)など、6章からなる群像劇。大切な何かを必死に守るためにつく悲しい嘘、絶望の果てに見える光を優しく描き出す、感動作。

↑本の内容紹介から。

全六章からなる短編連作集です。
各話主人公が違います(前話に登場した人物が主人公になるといった感じで紡がれていく)
前半三作は、闇がまとわりついて沈んで行くかのように、重く苦しく切なかったけれど、息苦しさを覚え始めた後半に光が見えてきて、すごく良かったです。
細やかな心理描写もさることながら、絵になるなというような情景が描かれていて、花冠に表情を輝かせる由希ちゃんの笑顔が見えてくるようだった。
(私も思わず抱きしめたい衝動にかられた!)
第四章「春の蝶」と第五章「風媒花」が特に好きです。
「風媒花」では登場人物がちょっと騙されていたりするんですが、その欺かれ方が小気味いい感じで、清々しく。
前半の重さが苦しいのですが、最後まで読み続けて良かった。
これからも道尾さんの作品を追いかけて行きたいです!
(道尾さんの作品では、この本が一番好きかも知れない)
とにかく装丁も美しく、良い本でした!

光媒の花光媒の花
(2010/03/26)
道尾 秀介

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