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2010(Sun)

「古書の来歴」 ジェラルディン・ブルックス著

読感/翻訳小説


「古書の来歴」 ジェラルディン・ブルックス著

100年ものあいだ行方が知れなかった稀覯本「サラエボ・ハガダー」が発見された。連絡を受けた古書鑑定家にハンナは、すぐさまサラエボに向かった。ハガダーは、ユダヤ教の「過越しの祭り」で使われる、ヘブライ語で祈りや詩篇が書かれた書である。今回発見されたサラエボ・ハガダーは、実在する最古のハダガーとも言われており、500年前、中世スペインで作られたと伝えられていた。また、ハガダーとしてはめずらしく、美しく彩色された細密画が多数描かれていることでも知られていた。それが1894年に存在を確認されたのを最後に紛争で行方知れずになっていたのだ。鑑定を行なったハンナは、羊皮紙のあいだに蝶の羽の欠片が挟まっていることに気づく。それを皮切りに、ハガダーは封印してきた歴史をひも解きはじめ……。

↑本の内容紹介から。

サラエボ・ハガタ―という貴重な本の修復に携わったハンナが、本の間に挟まっていた蝶の羽、留め具の痕跡、ワインの染み、塩の結晶、白い毛の謎を追う。
ハンナの物語を軸に、過去の物語が交互に語られるという構成です。
本に挟まれていたモノたちが語る過去のドラマは、
一九四〇年のサラエボ「蝶の羽」
一八九四年のウィーン「翼と薔薇」
一六〇九年のヴェネチア「ワインの染み」
一四九二年のスペイン、タラナゴ「海水」
一四八〇年のセリビア「白い毛」と、
本がユダヤ人迫害や宗教の異端審問などといった焚書の危機に晒されながら生き延びてきた過程を遡っていて、それらは実に濃厚で、一つ一つのエピソードも読みごたえがありました。
実際にその時代を目にしているかのような細やかな描写と、色彩のイメージが溢れていた。
「蝶の羽」と「白い毛」の話が印象的!
「蝶の羽」では、イサクとイナの兄妹が凍りついた川に向かったところが、切なかった。
こちらの本もまた、装丁が美しい!

屋根窓の霜で曇るガラスの向こうで、徐々に明るさを増す空が深い青色(ウルトラマリン)に変わって、星が薄れていった。ウルトラとは‘何かを超えた向こう側’、マリンとは‘海の’という意味。海路で瑠璃が運ばれてきたことにちなんで、その色は名づけられたのだ。
(P508より)


色の名前にも物語があるのね。

古書の来歴古書の来歴
(2010/01/21)
ジェラルディン ブルックス

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