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2010(Sun)

読感。

読感/国内小説



「薔薇を拒む」 近藤史恵著

施設で育った内気な少年・博人は、進学への援助を得るため、同い年の樋野と陸の孤島にある屋敷で働き始めた。整った容姿の樋野には壮絶な過去が。博人は令嬢の小夜に恋心を抱くが、陰惨な事件で穏やかだった生活は一変する。それは悪意が渦巻く屋敷で始まる、悲劇の序章に過ぎなかった―。

↑本の内容紹介から。

陸の孤島のような、湖畔の淵に佇む洋館で紡がれる物語は、静穏の中に一滴の毒が緩やかに滲んでいくように進行します。
理数系が好きで大学進学を希望している主人公の博人さんは、孤児で施設育ち。そんな彼の下に持ち込まれたのは、数年、人里離れた別荘で住み込みで働けば、大学進学資金を援助してくれるというもの。
施設でも身の置き所がなかった博人さんは別荘地へ向かいます。そこには同じ条件で雇われた樋野くんも。
二人の共通点は帰る場所がないことと、整った容姿。
そして、別荘には二人と年頃が近い美少女が。博人さん、樋野君はやがてその少女に惹かれていくが……。
こう書くと、愛憎ドロドロのイメージを浮かべるかもしれませんが、お話は静謐です。
現実離れした感じのある空間に、ただ静かに……毒が(何者かによる思惑が)滲んでいく。
初めて落ち着ける場所を見つけた博人さんが、現状が一日でも長く続くことを願う中で、毒が内側から彼の夢を蝕んでいくような物語は、物悲しく、ラストはほろ苦かったです。
劇的な謎解きはなく、耽美な(っても、エロくはないよ)雰囲気を味わうお話でした。

薔薇を拒む薔薇を拒む
(2010/05/27)
近藤 史恵

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