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2010(Wed)

「海賊と刺繍女」ジェイン・ジョンソン著

読感/翻訳小説


「海賊と刺繍女」ジェイン・ジョンソン著/

ロンドンで手芸品店を営むジュリアは、5年越しの不倫相手に別れを切り出され、その上誤まって渡された古書を巡り、危ない事件に巻き込まれていく。それは、その本『お針子の喜び』に驚愕の史実が封じ込められていたからだった。 1625年、英国の港町から美少女がバルバリアの海賊に攫われ、白人奴隷として苦難の航海の末、モロッコに売られていく。彼女は刺繍の腕を見込まれ、生き延びていき…。

↑本の内容紹介から。

17世紀にイギリスから海賊に攫われたキャサリンと、現代でキャサリンが書いた手記を手に入れたジュリア。二人の話を軸に(後にもう一人加わる)描かれた歴史ミステリーです。
ミステリーとあるけれど、事件が起こるというよりは、海賊に攫われた女性の手記が何故、イギリスに残っているのか。
本物か否かという部分が「謎」の中心になります。
550ページ近い作品は、描写が細かく丁寧で、読み応えがありました。
17世紀の風俗、宗教の相違、それによる敵対心、モロッコの街並み、歴史などなど。
キャサリンの運命はロマンス小説が好きな人にはいいかも?
(攫われたキャサリンは、刺繍の腕を見込まれ、負傷した海賊の長の傷口の縫合を任される……そのことから、海賊の長との間に上下関係とは違う感情が生まれます。まあ、その後も色々とあって奴隷として売られるんですが)
奴隷という立場に落とされて、どうなるんだろう?という不安でハラハラ、ドキドキ。
(一応、ネタバレを注意して反転→キャサリンは割と好条件な感じで、それほど酷いシーンはないです。健康状態を確かめるために、裸に剥かれたりしますが
ジュリアの方は不倫相手との清算に貰った「お針子の喜び」が手違いで、相手が取り戻そうとしてくるけれど(特に危険なことはない
二人の女性が違う世界に触れて、何かを掴みとると言う形で、全体的には女性向けの作品かなと思います。

後、約一名、とてつもなく報われない人がいるのですが……それにああいうオチをつけたところが何か、「悪霊」呼ばわりしている感じがして可哀相な気がしました……。

個人的には登場人物に今一つ感情移入できませんでしたが、これは私の好みの問題かな。
ちょっと虚栄心がある気の強いキャサリンやクールな海賊など。好みに合えば、面白いロマンス小説だと思います。
私は歴史や風俗などの、描写の細やかさが気に入りましたが。

海賊と刺繍女 (集英社文庫)海賊と刺繍女 (集英社文庫)
(2010/06/25)
ジェイン・ジョンソン

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