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2010(Wed)

「小さいおうち」 中島京子著

読感/国内小説

読感です。

「小さいおうち」 中島京子著/

赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々を振り返るタキ。そして60年以上の時を超えて、語られなかった想いは現代によみがえる。

↑本の内容紹介から。

老女が女中として勤めていた時代を回想する手記の中に秘められた想いが、時を経て解かれるという構成。
戦争が本格化する前を回想する手記の中には、戦争という言葉がもたらす悲愴さはなく、現代の甥っ子がタキさんの手記を読んでは、こんなはずがないと言うのですが。
実際、当時は情報も良いことばかり(日本の勝利とか)伝えられていたわけで、日本国内ではまだ戦争は遠いことだったのだろうな。
そんな時代の幸せな家庭が描かれ、そこに潜む秘密の恋ややがて無視できない現実がタキさんと奥様を引き離す。
戦時、再会した奥様とタキさんが何を食べたいかと、語るシーンが二人の間で止まっていた時が動き出したかのようで、一番好きでした。
そうして、六十年の時を経て、解かれたもの。
胸の奥底にあったのは秘密だけだったのかな?と、読んだ後も思いを巡らせます。

老女の回想、美しい奥様、秘密、戦争……といったところで、前に読んでいた「リヴァトン館」が思い出され、そちらのイメージが少し邪魔をして、個人的にのめり込めなかったのが残念と言えば残念……。
(「リヴァトン館」は悲劇というものを前面に突き出していましたが、こちらは戦争がもたらす別離はあるものの、悲劇ではないです)

小さいおうち小さいおうち
(2010/05)
中島 京子

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