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2010(Sun)

「ふたつの枷」 古処誠二著

読感/国内小説



思うことは多々あれど、上手く言葉に出来ずに情けなくありますが。
終戦記念日ということで、あえて読感を。

「ふたつの枷」 古処誠二著/

戦地で問われる"究極の選択"とは?

終戦前後、外地に送られた日本兵にも帰還の可能性が。だが既に抜き差しならない関係になった現地人や、病を得た上官・同期が、生還の希望を危うくして・・・人間性が試される状況を描く中編4編。

↑本の内容紹介から。

ニューギニア、ビルマ、サイパン、フィリピンを舞台にした戦争小説です。
「ワンテムシンシン」「帰着」「スコールに与えられた時間」「死者の生きる島」の四編が収録されています。
「帰着」「スコール~」は日本の敗色が濃くなり始め、追い詰められた頃。
「ワンテム~」と「死者~」は時間軸は日本が敗戦し、全面降伏した少し後。
まだ戦場では、その事実を受け入れられない兵士たちがいると同時に、あと少しすれば生きて帰れるという現状。
マラリアに犯された瀕死の仲間が死にゆく様を認められなくて、疑心に囚われる兵士の葛藤(「ワンテムシンシン」)
食糧調達に向かった兵士が捕えられた際、降伏することで生き伸びる道を与えられたが(「帰着」)――と。
四編のお話にはそれぞれ兵士の生き様、死に様が描かれておりました。
ときにズルく、ときに卑しさを嫌んで、生を選び、死を選ぶ。
読み終わって考えても、その場においては生と死、どちらを選ぶことが正しかったのかはわからず、ぐるぐると考え込んでしまいます。
ただ、こんな風に命の選択を求められる状況は、やはり「戦場」であったからだろうと思えば、人を追い詰める戦争は二度と起こって欲しくない。
そう願わずには居られませんでした。

自分の情を基準にする自由があれば戦そのものがこの世から消える。
(「ふたつの枷」 P184より)


古処さんの小説はノンフィクションではありませが、戦争を美化するわけでもなく、声高に非難するわけでもなく。
その当時を生きていたであろう人たちの狡さ、誠実さ、愚かさ、弱さ、強さといったものを真正面から真摯な視線で描こうとなされていて、心に響きます。

ふたつの枷ふたつの枷
(2010/07/26)
古処 誠二

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