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2010(Sun)

「音もなく少女は」ボストン・テラン著

読感/翻訳小説

もっと色々と書きたいことがあったように思えますが。
上手くまとめきれないまま、読感です。

「音もなく少女は」ボストン・テラン著/

貧困家庭に生まれた耳の聴こえない娘イヴ。暴君のような父親のもとでの生活から彼女を救ったのは孤高の女フラン。だが運命は非情で…。いや、本書の美点はあらすじでは伝わらない。ここにあるのは悲しみと不運に甘んじることをよしとせぬ女たちの凛々しい姿だ。静かに、熱く、大いなる感動をもたらす傑作。

↑本の内容紹介から。

恐怖に支配されながらも耐え忍び、守るために立ち向かった女性たちの物語。
神を信仰するクラリッサは聾者の娘を産んだ女性。
神を信じないフランは聾者の子を身ごもったことでナチの断種法により子宮と子供を奪われ、アメリカへ逃れてきた女性。
(断種法とは「聾者だけではなく、家族に聾者がいれば誰でも不妊手術を受けさせられる法律。ユダヤ人など関係なく」)
そして、クラリッサの娘で聾者のイヴ。
この三人が中心に、話が綴られいきます。
とはいえ、プロローグで事件が報道されている形で、それからイヴの誕生に遡って、イヴの成長を軸に辿られる。
夫であるロメインの支配に怯えながらもイヴに、出来る限り良い未来を与えたいというクラリッサの思いから、フランとクラリッサがイヴを通すことで、信頼関係を築いていくところが良かったです。

「わたし、強くなれなくて」
「ふたり一緒なら、強くなれる」

フランに出会ったことで、クラリッサもまたロメインに立ち向かう勇気が生まれたのだと思う。フランは孤独から解放された感がありました。
そうして、クラリッサはロメインとの離婚を決意するのですが……ロメインの暴力に殺されてしまい、フランとイヴはロメインがクラリッサを殺したことを確信しながらも、証拠がないためにどうにもできない。
イヴはフランと二人で現実に耐え忍びながら生活を続け、イヴは幸せを掴みかけたと思った時に…………(涙)

神様っていないんですかっ?
(思わず、叫びたくなるような展開でした)

法も神も助けてくれない状況で、自分たちを守るために彼女たちが選んだのは、戦うことでした。
そして、彼女らは卑怯に逃げ回った男たちと違って、その結果がもたらす運命にも受け止めようとする、強さが凛々しかったです。

フラン、イヴの二人も魅力的ではあったけれど、弱くも自分が捧げられるすべてで娘を愛したクラリッサの存在が一番印象的でした。
彼女が見せた母なる愛が、フランからイヴへ、そしてイヴからミミへと継がれていったように思えました。
内容は重いけれど、女性に読んで欲しい本だと思います。

しかし、自伝的作品ということなんだけれど。どこまでがそうなんだろう?

音もなく少女は (文春文庫)音もなく少女は (文春文庫)
(2010/08/04)
ボストン テラン

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