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2010(Sun)

「琉璃玉の耳輪」 津原泰水著(尾崎翠・原案)

読感/国内小説

「琉璃玉の耳輪」 津原泰水著(尾崎翠・原案)/

時は昭和三年―名探偵・唐草七郎の一番弟子にして閨秀の女探偵・岡田明子のもとへ舞いこんだ、摩訶不思議な依頼。「三姉妹を探して下さい。手掛かりは、三人とも左の耳に、一粒の琉璃玉が嵌った白金の耳輪をしています」阿片窟の女傑・女掏摸・生人形の少女・男装の麗人・旅芸人一座・変態性慾の男・老刑事・放蕩の貴公子…奇想天外、魑魅魍魎、百花繚乱、女探偵・岡田明子の事件簿。

↑本の内容紹介から。

昭和初期の時代に執筆活動していた女流作家・尾崎翠が映画の公募に出した原稿を元に、津原さんがお書きになった探偵小説です。
原案(「尾崎翠集成」の下巻に収録されている)には目を通していないので、どこまでが原案によるものなのかわかりませんが。
映画公募の原稿が元であったことから、娯楽映画的な雰囲気を意識されたのではないかなと感じました。
後、私は尾崎翠著作は「第七官界彷徨」しか知らないのですが、そちらで感じた独特の雰囲気は、こちらでも出ていたように思えます。
活劇ちっくでどこに転がるかわからない展開にドキドキします。(三姉妹を探す色々な人の思惑が交差し、出し抜いたつもりがまた攫われたりと)
小説的な語りで幻想的な世界へと引きずり込まれたり、(「冬」に描かれた夢の描写とか、津原さんの幻想小説っぽい印象があったのですが)大変面白かったです!
そうして、津原さんの筆によって描かれた登場人物たちは、脇役に至るまで存在感を放なっていました。
主人公の明子さんからして、自己催眠で男性人格を作り出したりと、登場人物の設定も奇抜。
また津原さんによるオリジナルキャラ・唐草探偵が何気に裏で暗躍しつつ、カッコ良かった。
他にも八重子さん、木助さんとか。
そうして娯楽を意識しながらも、小説の向こう側からは伝わってくる願いがありました。
舞台は昭和三年のお話ですが、今現在読む人間があの出来事を知っていることを思えば……うん。まさに。
(ネタバレを考慮するとあまり言えませんが)
この時代に、この作品が蘇る必然性はあったのだと感じました。

琉璃玉の耳輪琉璃玉の耳輪
(2010/09/10)
津原 泰水

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尾崎翠集成〈下〉 (ちくま文庫)尾崎翠集成〈下〉 (ちくま文庫)
(2002/12)
尾崎 翠

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