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2010(Tue)

「あなたに贈る×(キス)」 近藤史恵著

読感/国内小説



「あなたに贈る×(キス)」 近藤史恵著/

感染から数週間で確実に死に至る、その驚異的なウィルスの感染ルートはただひとつ、唇を合わせること。昔は愛情を示すとされてその行為は禁じられ、封印されたはずだった………。
全寮制の学園リセ・アルビュスである日、一人の女生徒が亡くなった。人気者の彼女の死は学園に衝撃を与えた。さらに、死因が禁断の病によるものだとの噂が。誰が彼女を死に至らせたのか? 不安と疑いが増殖する中、学園内での犯人探しが始まった。甘やかで残酷な少女たちの世界を鮮烈に描く。

↑本の内容紹介から。

唇と唇を合わせたキスで死に至るソムノスフォビア(唾液感染性睡眠恐怖症)という病が蔓延する近未来を舞台にした青春ミステリです。
この病気、キャリア(ウイルス保持者)は感染しないけれど、それ以外の人が感染すれば、致死率100パーセントというもの。
それ故に、唇と唇を合わせるキス(この時代では「キス」はほっぺやおでこにするもので、口づけを「キス」と呼ぶことを十代は知らない)は法律で禁止され、小説や映像からも削除。
純潔が尊ばれ、ソムノスフォビアに感染するということは、いやらしいと認識されています。
そんな中で、主人公・美詩(みうた)さんの憧れていた先輩(女子)が亡くなる。
その死因がソムノスフォビアだと噂され、誰が彼女に「キス」をしたか。
キャリアは誰? キスはどういった意図によって、彼女にされたのか(愛情表現だったのか、それとも意図的に殺すために?)という、謎を追う。
同性愛というとちょっと違うと思いますが、いわゆるお姉さま感情によって憧れていた先輩の死に、ショックを受けます。
淫乱というイメージが付きまとうキスを自らしたわけがない、誰かに殺されたのだと謎を追っていくことで、知っていたようで実は先輩のことをよく知っていなかったこと。
それと同時に、色々と知っていくことで「キス」が嫌悪の対象としてではなく、崇高な儀式のように感じていくようになる辺りは、大人から与えられる知識だけが全てではないと語っているようでした。
そうして、先輩がキスした相手とは――。
十代の繊細でどこか大胆な(破壊衝動とでも言いましょうか)心理描写が、丁寧に描かれていたと思います。

ラストで好みは分かれると思うけれど。
ない方が良かったかなと思うけれど、この毒がある意味、作品として強く印象付けている気もします

生きるということ、大人になることは、綺麗なままではいられない。
ちょっと苦さが残りますが、設定など面白かったです!


あなたに贈るキス (ミステリーYA!)あなたに贈るキス (ミステリーYA!)
(2010/07/28)
近藤史恵

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