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2010(Tue)

「太陽が死んだ夜」 月原渉著

読感/国内小説

「太陽が死んだ夜」 月原渉著/

第二次大戦中、ニュージーランドの捕虜収容所で、日本兵が謎の死を遂げた。数ヶ月後、収容所とは別の島にある全寮制女子校の教会堂で、少女の惨殺死体が発見された。そして四十一年後、同じ女子校の教会堂で美しい少女たちを襲った連続殺人―三つの事件を結ぶものは何か?ひとりの少女の祖母が遺したものそこに記されていた謎の言葉は何を語るのか…。第20回鮎川哲也賞受賞作。

↑本の内容紹介から。

プロローグは、第二次大戦中、ニュージーランドの捕虜収容所で起こった密室殺人事件。
そして四十一年後、このお話の語り手であるジュリアが女学校に編入するところから始まります。
ジュリアが持っていた祖母の手記には、その女学校で起こった少女の惨殺事件が記されていた。
親友のバーニィと共に手記の内容を調べ始めたところ、四十一年前に事件が起こったときと同じ状況に(一種の慣例で、代表数名が教会堂にお籠りするというもの)、そしてまた殺人事件が――と。
お話はプロローグと一部を除いて、ジュリアの一人称視点と祖母の手記で途中まで交互に語られます。
過去と現在の事件の謎が時を経て、明かされるという構成は好みでした。
教会堂での事件は女の子とシスターだけの中で、事件が起こり、女の子たちが解決します。
閉鎖されたなかで、一人一人犠牲になっていく緊迫感は、ハラハラしました。
でも、もう少し心理描写などもっと踏み込ん欲しかったかな。
ジュリアの一人称に限定されていたら、ジュリアが知ること、推測する範囲でしか読み手としても知りえないのだから、深く踏み込むというのは欲張り過ぎですが。
このお話では、一部でその形式を外れているから、だったら、犯人の心理とかもうちょっと書いて欲しかったと正直、思います。
色々あったと思うんだけど、殺人を犯すほどの狂気(というと、ちょっと違う気がするけれど)が理解できるかと言うと、説得力が薄い感じがする……。
謎解きとトリックがメインのミステリと言ってしまえば、そうなのかも知れないけれど。
戦争の悲哀などといった人間ドラマ的なものも持ち込んでいるので、その辺り、もう少し味付けを濃くして欲しかったです(好みの問題でしょうが)


新人さんなので、物足りなかった部分は次回作などで、厚みを増すんではないかなと期待してます。

太陽が死んだ夜太陽が死んだ夜
(2010/10/09)
月原 渉

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