20

January February March April May June July August September October November December
2010(Wed)

「英雄たちの朝 (ファージングI)」ジョー・ウォルトン著

読感/翻訳小説



1949年、副総統ルドルフ・ヘスの飛来を契機に、ナチスと手を結ぶ道を選んだイギリス。和平へとこの国を導いた政治派閥「ファージング・セット」は、国家権力の中枢にあった。派閥の中心人物の邸宅でパーティーが催された翌朝、下院議員の変死体が発見される。捜査にのり出したスコットランドヤードのカーマイケル警部補だが―。傑作歴史改変エンターテインメント三部作、開幕。

↑本の内容紹介から。

「ファージング」三部作の第一弾です。
ナチスと講和を結んだイギリスを舞台にした歴史改変ミステリということで、難しいかなと思っていたら、中身は犯人探しのミステリでした。(勿論、後からこの講和が、話の方向性に関わってきますが)
お話は二人を中心に語られて行きます。
一人は貴族の娘でありながら、ユダヤ人デイヴィッドと結婚したルーシー。彼女の一人称は手記という形で。
もう一人は事件を捜査するカーマイケル警部補。こちらは三人称で(ちなみに三部作を通して登場するようです)
この二人の視点が交互になって、お話は綴られています。
で、ナチスと講和を結んだイギリスは戦争が終わり(大陸では戦争は続いている)平和ですが、ユダヤ人への差別意識が根付いています(迫害はされていないけれど)
そんな中でユダヤ人と結婚したルーシーは、勿論、その結婚を反対されていたわけですが、母親から招待されて実家のパーティーにデイヴィッドと共に出席した翌日の朝、講和の立役者であった議員の一人が死体で発見された。
その死体にはユダヤ人の犯行をほのめかすような細工がされていて、デイヴィッドに疑惑の目が向けられる――と。
前半は、犯人探しをメインにしたミステリといっていいです。
難しいと構えることなく、するする読めます。
政治的なものか、人間関係のもつれか(不倫などが絡んで、なかなか犯人を絞れない)
そうする中、ルーシーと彼女の父が狙撃される。犯人はボルシェヴィキの党員らしい。
議員殺害と関係があるのか、いなか。
そうして後半、政権が交代したところから、ファシズムが色濃くなって、それに呑みこまれていく。
(これ以上は、ネタバレしそうなので口を噤みますが)
この改変されたイギリスの未来が大変、気になってきます。
(一応、事件の真相は答えが出されているけれど、続きが気になるよ!)

ミステリ好きな人、歴史が好きな人(実際の歴史を踏まえて、違う歴史を語っているので面白く読めると思います)
後、イギリスの貴族社会に興味ある人に、オススメです!

ただ(ちょっと、同性愛者が多いです。まあ、性愛描写などはないので、安心して読める範囲かと)でもって、その設定も一部、今後へと繋がる鍵でもある。

英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)
(2010/06/10)
ジョー・ウォルトン

商品詳細を見る

Edit