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2010(Mon)

「朝顔はまだ咲かない (小夏と秋の絵日記)」 柴田よしき著

読感/国内小説



「朝顔はまだ咲かない (小夏と秋の絵日記)」 柴田よしき著/

あたし、鏡田小夏、19歳。母と二人で暮らすマンションの一室が、たったひとつのあたしの城。高校時代のいじめから“ひきこもり”となったあたしを訪ねてくるのは、親友の宮前秋だけ。いつも、恋の話や自分がであった不思議な出来事の話をしてくれる。健気で一途な小夏、イマドキだけど天真爛漫な秋、大人未満の少女二人が織りなす、愛すべきストーリー。感動の青春ミステリ連作集。解説=早見裕司

↑本の内容紹介から。

「ひまわりの誘惑」
「黒い傘、白い傘」
「さくら、さくら」
「朝顔はまだ咲かない」
「見えない人」
「窓を閉めて」
「新学期――エピローグ――」

ひきこもりになってしまった少女が主人公の、日常の謎系青春ミステリです。
お話は主人公・小夏さんの一人称で語られます。
割とミステリの語り手というのは、探偵役の助手という立場が多いんだけど、このお話では小夏さんが秋さんの話の中などに謎を見つけ、答えを出すという、主人公=探偵役というちょっと珍しい感じかな(私があまり知らないだけかもしれないですが)
 
 ~前略~ あたしはちゃんと、外に出ないといけない理由を知っているのかもしれない。自分以外のひきこもりの人たちが外に出ないといけない理由はわかっているのだ。いつまでも親に迷惑をかけてはいけません。~中略~
 でも、なぜ、あたしが、外に出ないといけないのか、それがわからない。(P18)


と、夜のお店を営業しているママに代わって主婦業をこなすことによって、自分に言い訳を与えてしまった小夏さん。マンションの一室から一歩も出ないまま数年、ママと時々遊びに来る秋さんだけが、小夏さんの世界だった。
そうした中、秋さんの話の中やマンションから見える景色の中に謎を見つけて――と。
謎は日常の中でのちょっとしたことなので、人が死んだりとかはないです。
その手のものが苦手な人でも安心して読めます。
まあ、ミステリでもあるけれど、少女の成長ものとして接した方がいいかもしれません。
ここで描かれる小夏さん秋さんの女の子は、素に近いというか。
気心が知れた相手の間で女の子同士が会話するようなお喋りやメールのやり取りが楽しいです。
ただ、ワイ談が(周りには誰もいない友達二人だけの間ですけどね)人によっては下品と感じるかもしれない……私も下ネタは苦手なので、ちょっと、どうかな?と感じる部分もなきにしもあらずでしたが。
とはいえ、それはほんの一部なので。

マンションの一室で完成されていた小夏さんの世界だったけれど。
ママの恋愛、自分の恋愛と、色々なことがあって変化していく周りに置いて行かれないように、追いつけるようにと、小夏さんが頑張る姿が爽やかさが、良かったです。

朝顔はまだ咲かない (小夏と秋の絵日記) (創元推理文庫)朝顔はまだ咲かない (小夏と秋の絵日記) (創元推理文庫)
(2010/09/29)
柴田 よしき

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