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2010(Mon)

「虚栄の肖像」 北森鴻著

読感/国内小説

「虚栄の肖像」 北森鴻著/

花師にして絵画修復師の佐月恭壱。二つの顔を持つ佐月の元に、肖像画修復の報酬が古備前の甕という奇妙な依頼が舞い込む表題作他、藤田嗣治の修復をめぐり昔の恋人に再会する「葡萄と乳房」、女体の緊縛画を描いた謎の絵師を追う「秘画師遺聞」の全三篇を収録。絵画修復に纏わる謎を解く極上の美術ミステリー。

↑本の内容紹介から。

絵画修復師・佐月恭壱シリーズの第二弾です。
前作の「深淵のガランス」では佐月さんがクールで、うん、クールすぎて、個人的に他のシリーズの主役キャラたちより取っつき難い印象を受けていました。
でも、今作では佐月さんの過去が見えたからか、親しみを覚えました。
「葡萄と乳房」、「秘画師遺聞」は佐月さんの昔の恋人との再会――そして、別離と。
遺されたものに託された願いというか想いが、切ないです。
表題作「虚栄の肖像」では、他のシリーズの登場人物である「冬の狐」(このシリーズでは、佐月さんに仕事を依頼する形で度々、登場します)経由で回された仕事を巡って、様々な人間の思惑が入り乱れたりして、ドキドキしつつ。
絵画修復時における描写や蘊蓄など、読み応えがあっただけに、シリーズの続刊が出ないことが惜しいです。
(作家様は、今年の一月にお亡くなりになってます……(涙)
解説に書かれていた、文庫化する際に短編を書き下ろされる予定だったと知り、読みたかった!
佐月さんの過去についてもまだ明かされていない部分があるし、色々と構想があったと思われるだけに。
まだ未読の本があるので、大切に読んで行きたいです。

虚栄の肖像 (文春文庫)虚栄の肖像 (文春文庫)
(2010/09/03)
北森 鴻

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