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2011(Mon)

「幼き子らよ、我がもとへ 上・下」 ピーター・トレメイン著

読感/翻訳小説



「幼き子らよ、我がもとへ 上」 ピーター・トレメイン著/

疫病が国土に蔓延するなか、王の後継者である兄に呼ばれ故郷に戻ったフィデルマは、驚くべき事件を耳にする。モアン王国内の修道院で、隣国の尊者ダカーンが殺されたというのだ。このままでは二国間の戦争に発展しかねない。殺人現場の修道院に調査に向かったフィデルマは途中、村が襲撃される現場に行きあうが…。美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を解き明かすシリーズ第二弾。

「幼き子らよ、我がもとへ 下」ピーター・トレメイン著/

殺人現場の修道院で、調査を始めるフィデルマ。尊者ダカーンは、そこで何を調べていたのか?人々の証言から次第に浮かびあがるダカーンの真の姿。調べ進むうちに、なぜか絡まり合った幾本もの糸が、モアンと隣国の間にある小王国につながっていく。裁判の日が迫るなか、フィデルマは、祖国の危機を救うことができるのか。七世紀のアイルランドを舞台にした好評シリーズ第二弾。『蜘蛛の巣』に続くケルト・ミステリ。

↑本の内容紹介から。

日本刊行順では第二段になりますが、シリーズでは三番目です。
先日の「蜘蛛の巣」より前の話となります。
兄に呼ばれたフィデルマは、隣国名のある修道士の死を巡って、二つの王国内で戦乱へと発展しそうなる事態を回避すべく、調査を頼まれます。
この時代は「五王国」時代で、大王(ハイキング)の下、五王国、その下に小王国、そして氏族(クラン)という――国家体系があり、弁償という形で罪を償うことからによるものです。←このような当時のアイルランド社会が、個人的に興味深く読んでいて楽しいです。
(尊者として名高い司祭の死の責任を、モアン王国に隷属している小王国を寄越すことで償えと、隣国が要求してきて、当然ながら受け入れられないわけで)
大王の元で開かれる裁判までに、事態を回避できないかとフィデルマが事件調査に乗り出します。
シリーズを通してフィデルマのワトソン役を務めるエイダルフ修道士は今回は不在。
そんなエイダルフ修道士の不在を気にするフィデルマがちょっと可愛い(この時代は、修道士や修道女の結婚は認められていました)
と、そういうわけで、今回の助手役はフィデルマの兄の信頼が篤い戦士カース。ちなみにフィデルマと兄であるコルグーお兄さま(←何か好きなタイプで)は、互いを尊敬し合う仲の良い兄妹と言った感じでした。
調査に向かう途中で、フィデルマは疫病に侵されたという村出の襲撃場面に出くわします。
何とか生き残った子供たちを保護し、修道院へ向かった先では様々な思惑が絡まり、引き起こされた惨劇が読んでいて辛かった……。
(うん、ちょっと重いです。ネタバレ反転→今も昔も大人の欲に子供たちが犠牲になることは少なくないし……これはフィクションだと頭では理解してても、心がジクジクと痛む
その惨劇にフィデルマが怒り、その衝動からまた起こった出来事も……辛かった。
(ネタバレ反転→個人的にフィデルマとカースのコンビもそう悪くない気がしてたので
そうして、戦争を回避できるのか、お話の展開に最後までハラハラしました。

付け加えて、今回登場する大王は王位継承の際、フィデルマにとある事件を解決して貰っています。
そのエピソードは短編集「修道女フィデルマの叡智」に収録の「大王の剣」
(大王は公明正大な方だと思う)

幼き子らよ、我がもとへ〈上〉 (創元推理文庫)幼き子らよ、我がもとへ〈上〉 (創元推理文庫)
(2007/09/28)
ピーター トレメイン

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