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2011(Sun)

「サラの鍵」 タチアナ・ド・ロネ著

読感/翻訳小説


「サラの鍵」 タチアナ・ド・ロネ著/

パリで平穏に暮らす45歳のアメリカ人記者ジュリアは戦時中にこの街で起きたユダヤ人迫害事件を取材することに。しかしその事件が彼女の、そして家族の人生を深く、大きくゆさぶりはじめる…。

↑本の内容紹介から。

第二次世界大戦中フランス警察の手によって収容所に連行された少女サラと、その事実を知った現代の女性記者ジュリアの話が交互(前半)に語られます。
この本が語るのは、ユダヤ人迫害がナチスの意向があったものの、フランス警察が立案し実行した強制連行の事実です。
フランス自国の恥であることを長年フランスで暮らしてきたジュリア知らず、またフランス国民もまた知らない世代が増え続けていること。
↓の文章が、恐らくこの作家が書きたかったことなんだろうな、と思いました。

「わたし、自分が何も知らなかったことを謝りたいんです。ええ、四十五歳になりながら、何も知らなかったことを」
(「サラの鍵」P278より)


サラのパートでは、強制連行するために警察が現われた際、サラは四つの弟を隠し扉の向こうに隠します。
直ぐに戻って来るつもりで、そしてその方が弟は安全だと思って、かけた鍵。
自分たちの運命を知り、戻れないことでサラの心を押し潰さんばかりの後悔が、読んでいて辛かった。

「お父さんは教えてくれなかったじゃない。何も説明してくれなかったじゃない。こんなことになるかもしれないなんて、一度も話してくれなかったわ。ただの一度も! いったい、どうして? あたしはまだ子供だから、わからないだろうと思ったのね? 子供のあたしを守ろうと思ったのね? そうなのね?」
(「サラの鍵」P87より)


伏せられた真実を知ること、それによって何かが変わってしまうことに対する怖さを覚えるも、知らないふりを続けることが良いこととは思えないと感じる部分もあって、何だか色々と考えさせられました。
後半、ジュリア(というか、現代)の物語に収束してしまったのが、個人的に残念だったかな。
サラのことをもっと知りたいと感じていたので。
内容は重たかったけれど、読めて良かったです。

サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)
(2010/05)
タチアナ・ド ロネ

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