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2011(Sun)

「オーダーメイド殺人クラブ」 辻村深月著

読感/国内小説



「オーダーメイド殺人クラブ」 辻村深月著/

中学二年のふたりが計画する「悲劇」の行方
親の無理解、友人との関係に閉塞感を抱く「リア充」少女の小林アン。普通の中学生とは違う「特別な存在」となるために、同級生の「昆虫系」男子、徳川に自分が被害者となる殺人事件を依頼する。

↑本の内容紹介から。

中二病と称される世代まっただ中の、中学二年生のアンが主人公の青春小説です。
クラスの女子と上手くいかないことや価値観の合わない母親と、閉塞した現実から逃れるように自らの殺人計画を――ただ自殺して、消えていくのではなく、事件となることで多くの人たちの記憶に自分を「特別な存在」として刻みつけたいと考え――同級生に持ちかけてというのが基本的な筋。
その計画を練っていく過程を、この時期にありがちな心情。女子たちの間で日によって変化してしまうような微妙な人間関係を描く筆力はさすがと言いますか……過去に思い当たるようなことがあった私には、実に痛い、イタイよ(涙目)
アンのように「特別な存在」になりたいとかは、欠片にも思ったことはないのですが……。
ええ、何だか世のなかの全てを理解した気になって、勝手に絶望していた(生きるのが嫌になっていた)黒歴史は……うん、もう……。
(読みながら、嫌な汗が出てくる、出てくる)
それでも、アンと徳川くんが向かおうとする先が気になって、逃げられませんでした(笑)
(ネタバレ反転→最後に辿りついた先は、まあ自分を省みれば、そうだな、と。死にたいと思っていても、実際に死ぬ人は多くなく。時を過ぎれば、何であんなことに悩んでいたのだろうと
己の過去を思い出して、苦笑いが込み上げてきました。
昔の傷を抉られる感じですが、今笑って振り返ることができることは、良かったのだろうと思います。
ラストは恐らく、現在、それこそ閉塞感の真っただ中にいる子たち。
今、自分がいる場所が世界の全て、息苦しさを感じている子たちに読んで欲しいかな。
世界は不変ではなく、変化していくものですから今苦しくても、答えを早急に出す必要はないんだよ、と。

オーダーメイド殺人クラブオーダーメイド殺人クラブ
(2011/05/26)
辻村 深月

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