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2011(Wed)

「開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―」 皆川博子著

読感/国内小説

「開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―」 皆川博子著/

18世紀ロンドン。増える屍体、暗号、密室、監禁、稀覯本、盲目の判事……解剖医ダニエルとその弟子たちが辿りついた真実とは? 18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が……解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくときに哀しい不可能犯罪に挑む。

↑本の内容紹介から。

18世紀のロンドンを舞台にしたミステリです。
まだ解剖学に偏見があるこの時代、ダニエル先生と五人の弟子・エド(エドワード)、ナイジェル、クラレンス、ベン(ベンジャミン)、アル(アルバート)の解剖教室で妊婦の遺体を解剖しようとしていたところ、治安隊員(この時代、警察と呼べるような組織はまだない)が乗り込んで来たところから、お話の幕が上がります。
解剖医学を発展させるには、肝心の遺体が足りない故、解剖に必要な遺体を墓守から融通して貰っている現状、後ろ暗いわけで。慌てて、遺体を隠すわけです。
そうして追っ払って、解剖を再開しようと遺体をひき出したら、今度は治安判事本人が登場。
さすがに言い逃れできず、遺体を隠していた包みを開いたら、四肢を切断された違う死体が出てくる!
と、序盤はドタバタと喜劇の様相を見せながら、キャラの魅力やユーモアありと、読みどころが沢山あって、面白かったです。
ダニエル先生が解剖医学以外の方面には無頓着というか、裏表がない実直さで、弟子たちが敬愛するのが、わかるな。
そして、それが(ネタバレ自重で黙ります)
他にも、解剖医であるダニエル先生を主役にするため医学がまだ明るくないこの時代、舞台設定にしたのかなと思っていましたが、そうじゃない。
この時代ならではというか、この時代でしか成立しないといいますか(ネタバレになるので黙る)、舞台を遺憾なく使っているところも凄い。
話は二転三転と、思わぬ方向に転がり、どんでん返しもあって最後まで、目が離せませんでした。
ラストの解剖ソングに絡めた幕引きの余韻が、もうね、素晴らしかったです。
始まりや終わりは舞台劇を意識した様な構成で、上質な悲喜劇を鑑賞させて貰ったかのよう。
凄く、凄く、良かったです!

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2011/07/15)
皆川 博子

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