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2012(Sun)

「三本の緑の小壜」D・M・ディヴァイン著

読感/翻訳小説

「三本の緑の小壜」D・M・ディヴァイン著/

ある日、友人と遊びにいった少女ジャニスは帰ってこなかった―。その後、ジャニスはゴルフ場で全裸死体となって発見される。有力容疑者として町の診療所勤務の若い医師が浮上したものの、崖から転落死。犯行を苦にしての自殺と目されたが、また少女が殺されてしまう。危険を知りながら、なぜ犠牲に?真犯人への手掛かりは意外にも…。英国本格の名手、待望の本邦初訳作。

↑本の内容紹介から。

気になっていたけれど、読んだことがなかった作家なんですが、新刊が出るということでポチリ。
ちょっと積んでいたけれど、読んでみたら、何と言うかね。
もっと早く読んでおけば、良かったよ!というくらい、好みでした。
お話は少女が殺害され、犯人と目された医師は転落死。事件は終わったかに見えたが、新たに少女が殺されて――と。
各章にプロローグが付きます。それは三人称で、それから五章に分けられた部分は三人の人間による一人称という構成。
視点を変えながら綴られるお話は丁寧に伏線が張られながらも巧に惑わされ、最後までこっちが、いやあっちが怪しいと、ミステリとしての面白さを味わいました。
トリックはないし、お話自体は地味です。
ハリウッド映画のような派手さを求める人には向かないけれど、イギリスのテレビドラマ(←あくまでイメージ)丁寧に作り込まれた人間描写などは、好きだな。
語り手の一人であるマンディは、眼鏡を外したら美人なんですが、過去に恋愛で傷ついて野暮ったい恰好を自らすすんでしているという、精神的な鬱屈とか。
マンディの異母妹シーリア(彼女も語り手の一人)は、発育障碍故に母親から甘やかされて(?)我儘に育って、周りからは手がつけられないと見られながらも、彼女のパートでは冷静に(あくまで13歳の範囲ですが)大人たちを観察していたり。
※犯人のことに触れているので、注意。ネタバレ反転→読み終わって思ったのは、このシーリアの性格が多くは語られなかった犯人像を間接的に語っていると思うんですよね。シーリアのカッとなりやすい凶暴性って、うん、遺伝だと思うの。そういう遺伝を強調するところがあった
また、視点が変わることによって、仲が悪い姉妹も何だかんだと割と信頼しているところが垣間見えたりと。
ちょっぴり恋愛要素もあって、それが「うふっ」と終わるところも読後、いい感じでした。
というわけで、この作家さんの本、他にも読んでいたり。
(他のも面白いです。ただ、似たような設定が出てくるので、立て続けに読んでると既視感を覚えるところもなきにしもあらずと言ったところですが)
純粋な犯人当てのミステリが好きな人にはオススメです。

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)三本の緑の小壜 (創元推理文庫)
(2011/10/28)
D・M・ディヴァイン

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