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2012(Tue)

「冬の灯台が語るとき」ヨハン・テオリン著

読感/翻訳小説


「冬の灯台が語るとき」ヨハン・テオリン著/

エーランド島に移住し、双子の灯台を望む屋敷に住みはじめたヨアキムとその家族。しかし間もなく、一家に不幸が訪れる。悲嘆に沈む彼に、屋敷に起きる異変が追い打ちをかける。無人の部屋で聞こえるささやき。子供が呼びかける影。何者かの気配がする納屋…そして死者が現世に戻ってくると言われるクリスマス、猛吹雪で孤立した屋敷を歓迎されざる客たちが訪れる―。スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長篇賞、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞、「ガラスの鍵」賞の三冠に輝く傑作ミステリ。

↑本の内容紹介から。

「黄昏に眠る秋」に続く、スウェーデンのエーランド島を舞台にしたシリーズの第二弾です。
前作のその後(季節が一周してるのかな?)ですが、事件自体は別物なので、このお話から入っても大丈夫です。
(前作のネタバレもないので)
夏の観光シーズン以外は寂れているエーランド島のどこか物哀しげな雰囲気が、個人的にはとても好きで、楽しみにしてました。
舞台は冬で、灯台を望む屋敷に越してきた一家に訪れた悲劇を主軸に、前作同様に喪失の深さとそれを乗り越えていく過程が読ませます。
現代パート(といっても1990年代)の間に挟まれるのは屋敷の不幸の歴史。
主人に手をつけられ子と共に死産した女中、ウナギ漁の途中で氷河の亀裂に呑み込まれた兄、などなど)百年以上に渡るそのエピソードが、読んでいるこちらに家が「呪われている」という暗示をかけてくるというか。
だから、何かが起こりそうという不安がじわじわと積み重ねられる中で、悲劇が起こる。
呪い」的なものを感じてしまっているせいか、とにかく、耳を澄ませば死者の気配が聞こえてきそうな雰囲気を感じる。
なもので、大切な人を失くしてしまったヨアキムが、還って来るはずないとわかっていながら、求めちゃいけないとわかっていながら、それでも心のどこかで「もしかして」と思ってしまう……その心情に同調して読んでいて、切ない。
そうして、作品の中では幽霊の存在は否定も肯定もせず、その辺りは読み手に預けられているところがまた、ニクイ(笑
お話はゆったりと淡々と流れていくので、人によってはじれったいと思うかもしれませんが、私は喪失にどこか感情が麻痺してしまったような(そういう時って、時間がやたらと長く感じられると思うんですよね)感じが存分に表現されているように思えて、とても良かったです。
「黄昏~」ともども、タイトルもいいよね!
というわけで、シリーズの春が今から楽しみです。

冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
(2012/02/09)
ヨハン テオリン

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(2011/04/08)
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