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2012(Thu)

「無菌病棟より愛をこめて」加納朋子著

読感/国内小説



「無菌病棟より愛をこめて」加納朋子著/

2010年6月、私は急性白血病だと告知された。愛してくれる人たちがいるから、なるべく死なないように頑張ろう。たくさんの愛と勇気、あたたかな涙と笑いに満ちた壮絶な闘病記。

↑本の内容紹介から。

好きな作家さんは山のようにいるけれど、五本の指の内に上げるとしたら、加納朋子さんは外せない!というくらい、大好きな作家さんです。
(私が日常の謎系のミステリにハマったきっかけは、加納さんのご本だったので)
そんな加納さんの久しぶりの新刊に、わーいとなっていましたが。実は、御自身の闘病記と知って、心臓が凍りつきました。
何しろ病名は「急性白血病」
病名から先行するイメージは、いわずもがな……。
そんな急性白血病を告知されてからの闘病記です。
治療の過酷さが伝わって来る中にも、前向きでユーモアを失わない加納さんの強さに敬服します。

髪の少なさ(抗がん剤治療で髪の毛が抜けているわけで)をテレビの俳優さんと競っては、勝った負けたと勝負したり。
無菌室に入れる機会はそうそうないと、携帯で写真を撮ったり、お医者さまに後に取材の約束を取り付けたりと。
決して諦めず、未来を考えている。
備えあれば憂いなしと、入院中も体力作りに運動をされたりと。
それが病棟で「一番元気な患者さん」に繋がったのかな。
加納家の親族は常に三十分前に集合場所に向かうといった家系で――その辺、加納さんだけではなく、ドナーになれるかもと弟さんは、加納さんの病気発覚と同時に禁酒したりと。
このご本も、単なる記録ではなく、知っていたら有効ではないかという情報発信の意図が大きいように感じられました。

絶食が続くと胃腸の粘膜が委縮し、細菌による感染の危険が増大する。患者の苦痛はさらに増し、その期間も延びてしまう。負のスパイラルだ。(P279より)

↑加納さんは口腔ケアをしていたので、治療で悩まされるという口内炎が出来ず、食事も自分の口から取られていた。また、イメージだけが先行する病気についても、御自身が噛み砕いて理解した言葉で綴ってくれるので、読んでいる方もわかりやすいです。

情報は、闘うための力です。ですがまず、情報に押し潰されないだけの強さと冷静さを、少しずつ育ててください。~

御自身の経験を他の方の役に、そして家族や友人、医療関係者だけではなく、知らない人たちにたいしても(あとがき参照)感謝の気持ちを忘れない――小説で触れたお人柄そのままの加納さんが、生きていらして、そのお言葉にまたこうして触れることが出来て、本当に、本当に良かったです。
どうか、御無理をなさらずに、お身体を大事にしてください。

無菌病棟より愛をこめて無菌病棟より愛をこめて
(2012/03)
加納 朋子

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