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2012(Thu)

「烏に単は似合わない」阿部智里著

読感/国内小説



「烏に単は似合わない」阿部智里著/

人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合うが、肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか?

↑本の内容紹介から。

松本清張賞を受賞した新人さんの本です。あらすじで、何だか面白うと、飛び着いたら、直感に従って良かった。面白かったです。
お話は平安時代辺りをモデルにした、人が烏に変化する(どちらかというと、烏が人の姿をしている世界で、貴族は滅多に鳥形になることがない)という独創的な世界設定。
そんな八咫烏が支配する世界で、世継の若宮の后候補として登殿した四人の姫君たち。
第一章の視点となる春殿、あせびの君は身体が弱く別邸で暮らし、世間知らずなおっとりした姫君。
寵愛を競い合う他の姫君、夏殿の浜木綿(はまゆう)は凛としたどこか男っぽい女性で、若宮にはあまり関心がなさそう。秋殿の真赭の薄(ますほのすすき)は華やかで自信たっぷりの女性で、冬殿の白珠(しらたま)は人見知りの美少女。
彼女らと対面することで、あせびの君は自分が世間の常識など何も知らないことに気づいて――と。
無知な姫君の成長ものかと思っていたら、登場人物たちの印象が次から次へとひっくり返されて、ビックリでした。
いや、あまり書くとネタバレになりそうですが。もう本当に、可愛いなーと思っていた印象が、××よっ!となったり。
ちょっとどうなのかしら、この人はと思っていた人が、実は健気で素敵だったりと。
第一印象が見事に覆されました。
お話自体も色彩豊かで、柔らかく、優しい感じを受けていましたが、第五章でピリリと引き締まると言うか。
油断していたところでひっくり返されて、わーわーわー。
独特の世界設定が設定だけではなく、この世界でなければ成り立たない。ちゃんと、この世界のお話である必然性というのが仕掛けにも現われていて、ファンタジー設定が生きているのも良かったですし。
それぞれの個性あるキャラも、うん明確で、良かった。
(個人的には、秋殿のファンになった。彼女、いいです。素敵(多分、彼女が一番成長して、大人になった
約一年、姿を見せなかった若宮も、五章しか登場していないのに「わーかーみーやー(やや低い声で)」と、何度唸らされたことかと。
(多分、読んだら、私の気持ちはわかって貰えるかと)
まあ、でも、結構(彼女に対しては策を弄したという感じで、不器用っぽい)一面も見せつつ。
淡い初恋や身分差の恋など、少女小説などが好きな人にオススメです。
ミステリ読みの人も、そう来るかで、楽しいと思います。是非是非!

烏に単は似合わない烏に単は似合わない
(2012/06/24)
阿部 智里

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