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2013(Sat)

「世界が終わるわけではなく」ケイト・アトキンソン著

読感/翻訳小説

「世界が終わるわけではなく」ケイト・アトキンソン著/

可愛がっていた飼い猫が大きくなっていき、気がつくと、ソファの隣で背もたれに寄りかかって足を組んでテレビを見ている!そして…という「猫の愛人」、真面目な青年と、悪さをしながら面白おかしく暮らす彼のドッペルゲンガーの物語「ドッペルゲンガー」、事故で死んだ女性が、死後もこの世にとどまって残された家族たちを見守ることになる「時空の亀裂」等々、十二篇のゆるやかに連関した物語。千夜一夜物語のような、それでいて現実世界の不確実性を垣間見せてくれる、ウィットブレッド賞受賞作家によるきわめて現代的で味わい深い短篇集。

↑本の内容紹介から。
「シャーリーンとトゥルーディのお買い物」
「魚のトンネル」「テロメア」「不協和音」「大いなる無駄」
「予期せぬ旅」「ドッペルゲンガー」「猫の愛人」「忘れ形見」
「時空の亀裂」「結婚記念品」「プレジャーランド」

ちょっと現実からずれたようなお話だったり、一個人の人生譚だったりと、揺り幅が広い12編の短編が収録された短編集です。
登場人物などに繋がりがあり、最初と最後がプロローグやエピローグ的な意味合いを持っていることから言えば、短編連作になるのかもしれないけれど。
その辺りの繋がりは、人によっては微妙に感じてしまう部分もあるやもしれませんが、短編集として楽しめると思います。
いや、最初の「シャーリーン~」は二人の女性がお喋りしているんですが、その二人の会話とは裏腹に、そこにある背景は、どうにもテロや地震で世界が壊れているかのような。
なのにまったく、彼女たちはそれを知らないかのような感じで、生活を続けている。
えっ? どっちが現実なの?と、頭の中に「???」
なんだろうな、これはと。戸惑いの方が大きかったんですけれど、幾つか読んでいくと、これっていわゆる「現実逃避(というか、そうすることで心を支えている)」なのではないかな、と。
そうしてくると、「魚のトンネル」の少年が自分は「魚の王」だと夢想して、母親が少年に対して魅せる諦めにも似た感情から、守っているのかな?と、読める。
ちょっと奇妙なお話に、そんな解釈を自分なりにすれば、あれ、面白い!
ときにその解釈が当てはまらないものもあって、似た傾向の話ばかりじゃないから、次にどんな話が繰り出されるのか、ワクワクしながら読めました。
そうして最終話に辿りついたら、何となく解釈があっていたわけで。
私の中では、パズルのピースがピタリとハマって面白かったです。
一番好きなのは、八歳の感情をあまり見せない少年と子守りの女性とのお話「予期せぬ旅」が、凄く好き。
(貯めていた感情が溢れだすシーンとか、ラストなど)
他には「テロメア」「大いなる無駄」「忘れ形見」「時空の亀裂」が好きかな。
(どれも面白かったですが、あえて挙げるなら)
猫が愛人になるというようなファンタジーっぽいお話もあったりするんですが、かといえば、ゲームやテレビなどの文化がね。現代的で。ホント、幅が広い。
どうでもいいけど作家さんは「バフィー(吸血鬼ドラマ)」が好きなのかしら(笑)

世界が終わるわけではなく (海外文学セレクション)世界が終わるわけではなく (海外文学セレクション)
(2012/11/29)
ケイト・アトキンソン

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