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2013(Wed)

「遮断地区」ミネット・ウォルターズ著

読感/翻訳小説

「遮断地区」ミネット・ウォルターズ著/

バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に監禁されて…。現代英国ミステリの女王が放つ、新境地にして最高傑作。

↑本の内容紹介から。

母親とある家庭に身を寄せていた少女がある日、失踪――。
その少女が住んでいた地区に、昔住んでいた小児性愛者が越してきたという情報を耳にした、メラニー。
あまり治安が良いとは言えない団地で暮らす彼女は子供を守るため、抗議デモをしようとします。出所してきたばかりのメラニーの恋人ジミーは止めるようにいいますが、抗議するだけで大袈裟になるとは考えていないメラニーは行動に出ます。
けれど、抗議デモがドラッグでハイになった少年たちに煽られ、暴徒化。バリケードで閉じられた団地には警察も介入できない状況。
少女失踪事件と、団地内の暴動。
お話は多数の視点を切り替えて進むので、今あの人たちはどうなっているのだろうと、終始ハラハラと緊張感をたたえて展開します。
この辺、感情移入して読むタイプの人にはめまぐるしくて、入りづらい部分もあるかな。
でも、暴動の中、メラニーや彼女のお腹の中にいる子供を救おうとするジミーや暴徒に襲撃され立て籠った老人と息子に、捕まってしまった女医のソフィー。少女失踪事件を追うタイラー警部と、軸となる人たちが把握出来たら、登場人物の多さもそんなに苦にならないような。
「こんなことになるとは思わなかったのよ」と言い訳するのは簡単だけれど、その責任を負うか否かで、人の真価は証明されるんだろうなと、ゲイナやメラニーから感じました。
(本当は漏らしちゃいけない情報を口から滑らせた××の最後までの悪あがきなどを読むと、特に)
曖昧な情報で動くことや、差別、虐待などなど。
社会問題に考えさせられ、とても読み応えがありました。
なかなか、重たいというか、厭な気分にさせられる部分もありましたが!
(娯楽として読むには、爽快感などなくて辛いかもしれないけど。現代社会に生きているなら、一読しておいて損はないんじゃないかな?)
ラスト、ある人物の名前に象徴される人々の勇気というか、自分で考えて動く理性ある行動など、印象的でした。

遮断地区 (創元推理文庫)遮断地区 (創元推理文庫)
(2013/02/27)
ミネット・ウォルターズ

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