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2013(Mon)

「少年十字軍」皆川博子著

読感/国内小説

「少年十字軍」皆川博子著/

13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻む―。直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。

↑本の内容紹介から。

皆川さんの新作は、第四期十字軍遠征に参加した少年たちと、史実を基にした歴史ものです。
天啓を受けエルサレムを目指す少年・エティエンヌの元に集まった少年少女。
孤児のルーや村に居残れば意にそぐわぬ結婚を強いられ、その際には領主の権限で花嫁の処女を奪われるというしきたりから逃れるために弟と一緒に村を出たアンヌなど。
彼らの目的地は聖地エルサレム――なのですけれど。
道中、エティエンヌの「奇跡」を利用し修道院を奪還すれば、彼の名が広まると同時に、エティエンヌに負けじと「天啓」を詐称する貴族の少年が現われれば、エティエンヌは名前すら奪われて……と。
まるで苦行に耐えるかのような、エティエンヌが切ない、切ない。
そうして、このお話はエティエンヌが軸にあるのですけれど、彼の視点で物語が語られることはなく。
(ルーや道中を共にすることになった↑貴族少年に仕えるガブリエルなどの視点で)
アンヌに時折こぼす言葉でのみ、エティエンヌの内心が語られるものの、それすらもどこまで本心なのか。
彼が何を思っているのかと、想像しながら読むのもいいかなと。
(もしかしたら、皆を巻き込んでしまったことを自分自身に責めているんじゃないかと……私は思った)
宗教のお話ではありましたが、神がいるか否かに関わらず、人は現実と戦いながら生きていくのだな――と。
しみじみと思いました。
元々児童劇団の脚本募集に書いたお話が元になっているとかで、どちらかというと児童向けな装いですが、大人でも十分に読み応えがありました。
馴染みのない歴史も、すんなりと入ることができるのはさすが皆川さん!
歴史が苦手な人にもオススメです!

少年十字軍 (一般書)少年十字軍 (一般書)
(2013/03/07)
皆川 博子

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