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松原冬夜

Author:松原冬夜
「夜の夢」というサイトで小説などを書いています。
現在、ブライスさんに夢中。
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「たまさか人形堂それから」津原泰水著

「たまさか人形堂それから」津原泰水著/

OLをリストラされたことをきっかけに、祖父母から譲り受けた「玉阪人形堂」店主となった澪。人形制作に関しては素人の澪だったが、押しかけアルバイトの人形マニア・冨永と、高い技量を持つ訳あり職人・師村の助けもあって、人形堂はそこそこにぎわいを見せていた。一時店はは閉店の危機に見舞われたが、資産家の坊(ぼん)でもあった富永が共同経営者の立場に立つことで、その危機は去った――。今日もこの小さな店には人形に関する様々な難題が持ち込まれる。赤いマーカーの汚れがついてしまったリカちゃん人形、グループ展でなぜか壊されてしまう人形作家の「ある作品」、髪が伸びる市松人形とその作者の謎、盲目のコレクターが持ち込んだ小田巻姫の真贋――。思いがこもった人形は、実は人間にとても身近な存在であることを、津原氏は円熟の筆で描きます。今まで自分の近くにあった人形は何であったか、自分の込めた思いは何であったか、その追憶と郷愁も誘う絶品「人形」連作集の第二弾。

↑本の内容紹介から。

「香山リカと申します」「髪が伸びる」「小田巻姫」
「ピロシキ日和」「雲を越えて」の五編収録。
人形修理という隙間産業をメインに、そこそこに繁盛している「玉阪人形堂」を舞台に綴られる、「たまさか人形堂」に続く、短編シリーズ第二弾です。
油性ペンで口紅を落書きされたリカちゃん人形。簡単に修復できると思いきや、ソフトビニール素材には色が浸透して直せない――などの人形の蘊蓄も豊富ながら、リカちゃんの家族構成などなど。
知ってるような、知らなかったようなことに「へぇ」とか唸りながらも、やはり大量生産の子供玩具故に軽く扱われてしまうところに、澪さんが落ち込んだりと。
素人に近い店主なれど、澪さんの人形に対する思いには、最近お人形さん愛に芽生えた私としては前作以上に親近感を覚えました。

「代えがきかない人形もあれば、代えがきく人形もある。長期間にわたって代えをきかせるための企業努力を、一点ものをやっている僕らが軽視しちゃいけないって、最近よく思うんだ。人形個々の価値や役割を決めるのは持ち主。僕らじゃない」(P11より)

持ち主によって価値観が変わるものなれど、そこへ込められた創作者の想い、商売と趣味、スランプに対する葛藤など。
何でも器用にこなしていた富永君が初めての壁にぶつかるところなどは、創作者としても覚えのあるような感じでして。
自分が作っているものの価値が、自分でもわからなくなった時の痛みとか……(ああ、もう、ね!)
それでいて、人形職人の手技の凄さに触れたときの師村さんの言葉もまた、

「人の手業の奥深さに、感じ入っております。無限だ。澪さん、私は嬉しいんです。私の人生はどうやら無駄ではなかった。無限へと繋がっておりました」(P99より)

作り手としては末端なれど、それでもその世界は無限の広がりがあるのだとすれば、色んな可能性を秘めているのだと思えば希望が出てくる。
ユーモアにクスクス笑いつつ、ほんわかと温かくって、また作り手の立場になったときにはちょっと苦くてと、読みどころが沢山。
淡い恋や失恋などもありつつ。
最後の人形視点のお話も大好き。
また、人形堂のお話が読めたらいいな! シリーズが続くといいな!
お人形が好きな人もそうでない人にも。また物を作る人もそうでない人にも、オススメです!

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(2013/05/24)
津原 泰水

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