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松原冬夜

Author:松原冬夜
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  • 2013
  • 06/01
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「シスターズ・ブラザーズ」パトリック・デウィット著

「シスターズ・ブラザーズ」パトリック・デウィット著/

粗野で狡賢い、冷血漢の兄・チャーリー。ふだんは心優しいけれど、切れると大変なことになる弟・イーライ。悪名轟く凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ―理由はよくわからぬまま。兄弟は何に出遭い、何を得て、そして何か失うのか?ゴールドラッシュに沸くアメリカ西海岸、名高き殺し屋シスターズ兄弟の、目も当てられないダメな旅路。総督文学賞など4冠制覇、ブッカー賞最終候補作。

↑本の内容紹介から。

兄のチャーリーと弟のイーライの、シスターズ兄弟は提督の下で働く、殺し屋です。
その提督に命じられて、一人の男を殺しにゴールドラッシュで賑わうサンフランシスコへと向かう、西部劇かつロードノベルといいましょうか。
(謎解きがあるミステリではないです)
語り手は弟のイーライ。どちらかというと兄に指図されて動く大男(少しのっそりとしたイメージかな?)
死んだ馬の代わりに少し太った馬を与えられ、不満を持っているも、馬がクマに襲われたなら飛び出したり、別のいい馬を手に入れたのに、その駄目な馬を選んだりと。
割といい人っぽいんですが、なかなかどうして。
イーライの一人称で綴られるお話は、淡々と乾いた口調で、感情の揺れ幅が少ないながらも、多彩な色合いを見せる感じだな。
馬の話や女性の話など人情的な面がありながらも、野蛮で滑稽で(一攫千金を狙う人々は傍から見ると滑稽だし)、時に残酷。(時代が時代なので、金と銃が物をいうといいますか。人を簡単に殺すし、人が簡単に殺されたりする)
でもね、全体的にどこかしら物悲しい感じが漂っているんですよ。
イーライが殺し屋を止めたいと思っているからかな。
何と言うか「汚れてしまった悲しみ」とでも申しましょうか。
帰りたいけど、帰れない。戻りたいけど、戻れない。
そんな哀愁が滲む、不思議な味わいのお話でした。
うん、手を汚すのは、堕ちるのは簡単だけど、それ以前に戻るのは難しいよね、と。
そんな感慨をしみじみと抱きました。
表紙のトリック絵的なセンスも好き!

シスターズ・ブラザーズシスターズ・ブラザーズ
(2013/05/11)
パトリック・デウィット

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