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松原冬夜

Author:松原冬夜
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「孤児の物語 I (夜の庭園にて) 」キャサリン・M・ヴァレンテ著

「孤児の物語 I (夜の庭園にて) 」キャサリン・M・ヴァレンテ著/

昔ひとりの女童がいて、その容貌は糸杉の木と水鳥の羽毛を照らす新月のようであった。彼女は魔物と呼ばれ、おそれられ、スルタンの宮殿を取り巻く庭園で野生の鳥のように暮らしていた。そこに訪ねてきたのはスルタンの息子。女童は自らの瞼に精霊によって記された物語を彼に語って聞かせる。つぎつぎと紡ぎ出され織り上げられてゆく、物語の数々。合わせ鏡に映しだされる精緻な細密画のような、果てしない入れ子細工の世界。比類なき迷宮体験。現代のシェエラザードが語る稀代の書。ミソピーイク賞受賞作。

↑本の内容紹介から。

スルタンの庭園に住まう女童には瞼と目の周りに暗く深いインクを流したような痣があり、それ故に皆から魔物と見なされてる。追い出せば魔物たちの怒りを買うのではと、ある意味放置状態の女童。
誰にも顧みなかった彼女の元に、スルタンの息子が近づいてきます。度胸試しのようだった接近で童子は女童から、この文様は精霊に刻まれ、そこには沢山の物語が記されていると聞かされます。
その話を求める彼に彼女は、

「だれも近寄らぬわたしに、あなたは優しかった。お礼にさしあげられるのは、わたしの物語だけ。~略~」

と、庭園の彼女の隠れ場所で物語を語り始めます。
その物語は、語り手の話の中で物語が語られ、さらにその物語のなかで語り手が変わり、また新たな物語が語られるという入れ子細工のような構造。
顔に醜い疵を作った老魔女の話、その老魔女の鵞鳥の娘を殺してしまった王子の話、魔女の祖母の話、狼の話、石の娘の話、祖母の師の話、王子の父と母の話、王子が旅だった先で出会った居酒屋の主人の話、主人が実は熊だった頃の話と――。
語り手から語り手にバトンタッチされていくので、最初はなかなか把握し辛かったのですが、段々と繋がりが見えてくるとですね。
滅ぼされた国やら、復讐やら、予言やらと色々と私のツボを突いて来る来る。
それに語られるお話のモチーフに童話など(童話も昔話などの民話が元になっているから)、これじゃないかなと思うようなものを見つけては興奮。
(あくまで原型が似ている感じで、お話自体は違うものです)
女童の語る物語に魅了されて、話をねだっていた童子との関係も、どこか初恋のような匂いをやがて漂わせつつ、童子の姉が二人の邪魔をしては、童子を塔に閉じ込めれば、女童は塔の蔦を登って彼のもとへ。

「その……あなたが話の続きを聞きたいだろうと思って」

壮大な物語の中にも、この二人の可愛いお話にニヨニヨしつつ。
バラバラに思えた物語の断片が大きな物語を描きだす様は圧巻でした。
お話は大きく「草原の書」と「海の書」に分かれており、
「海の書」もまた、「草原の書」とは異なる展開で、
北の港街での少女が出会った女性の話、その女性が故郷で出会った三人の僧侶の話、僧侶が語る黄金の宗教都市の諍い、それによる死者の復活、死体を渡り歩く妖術師、復活した黒の女教皇の魔術によって狂わされ起こった惨劇――と広がっていけば、終盤で「草原の書」の登場人物が出てきて、繋がってきたりと。
二重三重の輪を描いて、広がるといいますか。
もう何か、凄い。面白かったです!

ラストに女童が告げる、この殺し文句が何と言うか。

「そう。もっと不思議でもっと面白いのを明日話してあげる。あなたが<庭園>に、そうわたしのもとに戻って来るなら……」

行くよ! だから聞かせておくれ!
続編が早く読みたいです。

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