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2013(Tue)

「探偵ダゴベルトの功績と冒険」バルドゥイン・グロラー著

読感/翻訳小説

「探偵ダゴベルトの功績と冒険」バルドゥイン・グロラー著/

20世紀初頭に入り爛熟期を迎えた文化都市ウィーン。音楽と犯罪学に打ち込む素人探偵ダゴベルトは、友人グルムバッハ夫妻との晩餐後、葉巻と珈琲を楽しみつつ、ハプスブルグ朝末期の社交界で起きる様々な難事件解決の顛末を披露する。「クイーンの定員」にも選出されたダゴベルト探偵譚から9篇を精選。オーストリアのコナン・ドイルと称される著者の本邦初となるオリジナル短篇集。

↑本の内容紹介から。

まだ貴族文化が根付く20世紀初頭のウィーンを舞台に素人探偵ダゴベルトの活躍を綴った短編集です。
そこそこに財産があるダゴベルトは、聖ペテロ風ヘアスタイル(言ってしまえば、頭の天辺が薄い……)の中年男性。
彼の趣味は探偵として活躍すること。
そうして素人探偵に心血を注ぐダゴベルトが友人夫妻に自らの活躍を披露するという形で綴らられます。
語って聞かせるという形なので、ほぼ会話で進行。この会話が楽しい!

「お願いがあるのだが」思い切ってグルムバッハが口を出した。「俺をあまりにもいてもいなくてもいい存在(カンテイテ・ネグリジアブル)みたいに扱わないでくれ。卑小な存在であるが、ここにいることには変わりはない」
「さきほどの侮辱は忘れていないぞ――君など空気と同じだ。ということで奥様、パーティーはあなたもご存じのように、とてもすばらしいものでした」(p296)


「あのね、ダゴベルト、いまは事実を知りたいの。話してくださらない」
「未開の西部の酒場では『ピアニストを撃たないでください。これでも一生懸命弾いているのですら』などという注意書きがよく貼ってあります。わたしもこうした法律上の恩典を要請したく思います。これでも一生懸命説明しているのですから」


滔々と自慢げに、時に話を脱線させては焦らそうとするダゴベルトと、真相が知りたくて堪らない夫人の突っ込み会話がね!
(ダゴベルトが事件の話を披露する番さんの場には夫人の旦那様がいるのですが、粗雑に扱われて、時折影が薄くなる。それがまた可笑しい)
先に述べた通り、まだ貴族文化が残る時代故に、事件は貴族の醜聞(スキャンダル)で脅されそうになっている人を救ったりといったものが多いです。
さすがにその解決方法はどうなの?と一部、思うところも無きにしも非ずでしたが。
会話を楽しむような感じなので、陰惨さもそうなく。テンポよく読めると思います!
面白かったよ!ダゴベルトの作品はまだあるみたいなので(もう一冊分?)出るといいな!

探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)
(2013/04/20)
バルドゥイン・グロラー

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