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2013(Wed)

「猫語の教科書」ポール・ギャリコ著

読感/翻訳小説

「猫語の教科書」ポール・ギャリコ著/

ある日、編集者のもとへ不思議な原稿が届けられた。文字と記号がいりまじった、暗号のような文章。“£YE SUK@NT MUWOQ”相談を受けたポール・ギャリコは、それを解読してもっと驚くはめになる。原稿はなんと、猫の手になる、全国の猫のためのマニュアルだった。「快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」ひょっとしてうちの猫も?描き下ろしマンガ(大島弓子)も収録。

↑本の内容紹介から。

謎めいた原稿を受け取った編集者から、相談を受けたポール・ギャリコ氏がその原稿を見て暗号めいた部分に気づき(タイプライターで、一文字押すところを周りの文字も押したらしいという推測から)読み解いたという設定の……小説。
これ、小説と言っていいんですよね?と迷うような、こちらは猫が若い猫たちのために書いた、人間の家を乗っ取る方法を記した手引書です(笑)
乗っ取ると言っても、猫が大きくなったり、宇宙人的に侵略者となるようなファンタジーでも、SFでもありません。
猫は猫のまま、ちょっと賢い猫が人間のタイプライターで、若い猫たちのために自分の経験談などを語って記した形です。
この賢いメス猫ちゃんが、お母さんを事故で亡くし、生きていくために人間の家に入り込むところから始まれば。
メス猫なので、視線が女性(後に母となる)で、もう男性である家の主人を手のひらの上で転がす様は、魔性の女というか。小悪魔というか。

 ~何が面白いといって、猫嫌いだと思いこんでる男を降参させるくらい痛快なことはありません。(P28)

 男は「ちぇっ、わかったよ」とわめくと、私を抱き上げ、懐中電灯をもって外にでました。おっかなびっくり抱いていて、私が彼のあごの下に頭を入れると「やめろってば、チビ」ともぐもぐいうの。私はその瞬間、その場で彼をモノにできることがわかりました。彼のおひげにちょっぴり頭をこすりつけてゴロゴロやればいいんだわ……
 でも私は急ぎませんでした。だって、もういつでも彼を好きにできるって、わかっているんですもん。いつか徹底的に私の奴隷にするためにも、ここで彼の抵抗力を弱めておこうと心に決めました。~(P33)


声なきニャーオや喉をゴロゴロ鳴らすことで、人間を完全に手玉にとり、メロメロにさせちゃう猫の賢さに震えました!
いや、もう、こんな小悪魔なレディに魅入られたら、男性はイチコロですね。
(男性に限らず、猫好きの人間は)
猫にふたまたを掛けられても、まさかと信じない入れ込み具合といい。食卓でのおねだりにおける、二人(主人と猫)との間に生まれる秘密は――奥さんに内緒で付き合っている愛人関係のような、匂いが。
猫の話であったんだけど、男女の恋愛駆け引きを読んでいるような(笑)
猫好き、動物好きの人は勿論、小悪魔さんや策士ものが好きな人も読んで楽しいかも!
とっても面白かったです!

猫語の教科書 (ちくま文庫)猫語の教科書 (ちくま文庫)
(1998/12)
ポール ギャリコ、スザンヌ サース 他

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