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2013(Sat)

「鏡の花」道尾秀介著

読感/国内小説

「鏡の花」道尾秀介著/

製鏡所の娘が願う亡き人との再会。少年が抱える切ない空想。姉弟の哀しみを知る月の兎。曼珠沙華が語る夫の過去。少女が見る奇妙なサソリの夢。老夫婦に届いた絵葉書の謎。ほんの小さな行為で、世界は変わってしまった。それでも―。六つの世界が呼応し合い、眩しく美しい光を放つ。まだ誰も見たことのない群像劇。

↑本の内容紹介から。

第一章「やさしい風の道」
第二章「きえない花の声」
第三章「たゆたう海の月」
第四章「かそけき星の影」
第五章「つめたい夏の針」
第六章「鏡の花」

「光媒の花」の姉妹編(とは言っても、直接関係ないので、これだけを読んでも大丈夫です)の短編連作集です。
お話の土台は同じなのだけれど、章が変わることに、登場人物の家族関係などに変化がみられます。
第一章では空想癖がある少年が、ある家を訪ねるところから始まります。
かって両親が暮らしていた家に向かうその少年につきそう姉。
でも話を読み進めていくと(この姉は、既に亡くなっている
そうして第二章ではある老婦人が主人公で、これを読み進めていくと「アレ?」となります。
どうやら老婦人の亡くなった夫というのが、第一章で少年を迎えた老人で、そこでは妻の方が亡くなっていた
こちらでは「生ている人」が、こちらでは「死者」であったりと、各章に見られる食い違いが気になる。
それは鏡に映る姿が、ときにさかしまだったり、ときに歪んでいたりするかのようで。
これがどういう風に繋がっていくのかと、ページを捲らされます。
そうしながら、喪失に対するもしもあの時、という後悔の闇が切なくもあり。
描かれる情景の美しさも素敵。
喪失を知るから、そのものに対しての大切さを知るのか。
知らないから、不満を持つのか。
読みながらも、読み終わった後も色々と沁みてくる。
とても良い読書でした! オススメです。

鏡の花鏡の花
(2013/09/05)
道尾 秀介

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光媒の花 (集英社文庫)光媒の花 (集英社文庫)
(2012/10/19)
道尾 秀介

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