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2013(Tue)

「わたしのリミット」 松尾由美著

読感/国内小説

「わたしのリミット」 松尾由美著/

坂崎莉実は父親と二人暮らしの高校二年生。ある朝目覚めると父親の姿はなく、代わりに「うちの保険証を使って、彼女を莉実として病院へ入院させてほしい」という不可解な書き置きとともに、見知らぬ少女がいた―。やむなくリミットと呼ぶことにした少女はどう見ても年下なのに、莉実の身のまわりで起こった奇妙な出来事の話を聞くだけで、見事に謎を解いてしまう。不思議に大人びた彼女は、いったいどこから来た、何者なの?莉実とリミット、二人の少女がすごすひと月を、愛情溢れる筆致で描く、“謎と奇跡”の物語。

↑本の内容紹介から。

舞台は1990年代。携帯電話が出回り始めた頃です。
お話は主人公の女子高生、莉実さんの一人称で綴られます。
父と二人暮らしの女子高生・莉実さん。ある日、書き置きを残して消えた父親と入れ替わるように現われた不可思議な少女リミットを病院に連れて行くことになって――。
(リミットというのは、本人が名乗らない(名乗れない)のでつけられた、仮の名。莉実、に「ット」とくっつけた。リミットの感覚では「ちいさい莉実」らしい(キチネットやメゾネットみたいな意味合いで)
と、松尾さんの作品には幽霊やパラレルワールドなどといった不思議が介入してくるお話が多く、今回も。
(だから、リミットの正体は松尾さんの作品を読んでいると、察しがつくかと思います)
莉実さんの身の回りで起こった謎を病院に入院した少女・リミットに話します。
三着のサイズ違いのパジャマを買うお客、朝から雨の日に消えた学校から消えた傘の謎、影を失くした男などなど。
そうして推理すれど、答えはあくまで「かもしれない」という形です。
このスタイルに不満を抱く人もいるかもしれないけれど、最後に莉実さんが自分で考えて辿りつく少女の謎――それへの前置き(自分で答えを見つけないと納得できないでしょう?という)なら、私はありかなと思う。
それに私は、事件は解決して欲しいけど、謎は謎のままでもいい派ですから。
母親を亡くしているので大人びいて、感情の起伏が少ないけれど面倒見が良い莉実さんに、古風で頑固なリミットも可愛く。
なかなか気づかれない恋心などといった、仄かなロマンスが、ああで、こうで(←ネタバレを考慮してます)
(深見君とか、あれですよねー)
このお話は、好きでした。

わたしのリミットわたしのリミット
(2013/09/28)
松尾 由美

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